SL北びわこ号の廃止で思う事 | 鉄道きさらんど

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前のエントリで日常輸送の列車より観光列車に肩入れするJR西日本の姿勢を批判しておいて矛盾しているようでなんだが、SL北びわこ号の廃止は衝撃を受けた。この列車は去年は運転計画があったものの運休し北陸線をSLが走行せず、今年はもともと運転計画がないので嫌な予感がしたが結局廃止だと発表があった。

 

客車が老朽化してお守りが困難だというのはわかるが、SLのばい煙が原因で換気がやりづらく感染リスクがあるから廃止というのはとってつけたような理由だと思う。SLやまぐち号は客車が置き換わって安全性や快適性、保守性が劇的に向上したがばい煙でなかなか窓を開けられないだろう。(空調の性能の違いはあるだろうが、山口線はトンネルが多いのではないか。)

 

換気がしづらいから安全でないから列車を廃止というのはとってつけた理由だと思う。ばい煙の心配はないが電車気動車も常時窓を開けっぱなしにならず閉める人もいるし、12系と35系の残るかなくすかの違いが換気性能にあるなら日常輸送でも古い国鉄型は感染リスクがあり危険だから廃止でなければいけない。結局はもうけが薄いとか面倒くさい列車を廃止する理由が欲しかっただけでは。

 

勿論未曽有の大赤字だから利益率の悪い列車を見直すのは当然と言えども恣意的なものを感じる。JR西は奥出雲おろち号も再来年で廃止と表明しているがこちらは去年も運転して再来年まで猶予がある。この期間に地元が支援を設ければ別の観光列車の可能性もあるしじっくりJRと沿線自治体が今後を検討をする余裕がある。それに比べ北びわこ号は「突然死」だった。

 

邪推すると政治的な問題はありそうだ。山口や島根は与党の有力政治家がゴロゴロ居て有力政治家の一族が地域を牛耳っている。それに比べて滋賀は大物政治家が現在不在である。(昔は短期の内閣だったが総理を輩出した宇野一族が親子で議席を持っていたが所詮短命総理だったし、昔の滋賀の有力政治家といえばさきがけの武村正義氏であって中国地方のような保守王国と言い難い。)JR西日本は経営基盤が本州3社で一番脆弱で新車投入や設備改良に補助金頼みの自治体に頭が上がらない体質で、東海のように政治家の横やりが入ってもわが道を行く路線ではなく政治的な配慮や忖度で動きがちである。そうなると政治力がある地域にはいろいろ配慮するがそうでないと遠慮なしにやるという違いがありそう。

 

一方で前エントリで書いたようにJR西は新たな観光列車を投入する。今まで定着していた列車を経営環境や利用環境の変化やコロナ対策を理由に消す一方、津山線に新たな観光列車がデビューするらしい。津山線の経営環境はコロナ自粛以前から吉備しい・・・もとい厳しいはずではなかったか。しかも新車ではなく国鉄型。客車と気動車との違いがあるとはいえ安全ガーというなら整備性も空調も劣る老朽化した既存車両の改造の列車を換気しづらいトンネルの多い線区に投入するのは...とついついいいたくなってしまう。

 

勿論JR西は日常輸送も大削減する。JR西日本の路線は実用の足としても不便で、観光のアトラクション的列車も減る。しかし一方でいきなり別の区間には観光列車が走る予定。一貫性がないと思うのは自分だけか。