【相鉄】“ネイビーブルー”当面は見送り?10702×10が従来色で運用復帰

スポンサーリンク

相鉄では、2024年度までに引き続き使用する車両の“YOKOHAMA NAVY BLUE”化を進めてきたほか、E231系世代の10000系の機器更新工事を進めていました。

2編成目となる10702×10(10702F)についても2020年度に機器更新が施工されましたが、前回とは異なり従来色で営業運転に復帰し、11000系そっくりの外観で異彩を放っています。

2編成目の機器更新

出場試運転で本線上に姿を見せた10702×10

相鉄では2017年に創立100周年を迎えるとともに、悲願の都心方面への直通運転に先駆けて「デザインブランドアッププロジェクト」を進めてきました。

駅・車両・制服など幅広いリニューアルを施し、相鉄グループのブランドイメージ・認知度向上を目指しています。

新造された東急線直通用の20000系、JR線直通用の12000系では“YOKOHAMA NAVY BLUE”(横浜ネイビーブルー)の採用とともに“横浜らしさ”を追求した前面形状、内装をグレートーンとするなど他社の車両と一線を画す新形式となりました。

従来車となる8000系・9000系・10000系・11000系についても、両直通運転開始以降も線内運用で使用される編成を対象にリニューアルが進められることとなり、まずは更新時期となっていた9000系について2016年から2019年まで実施されました。

その後は2020年に8000系(8709×10)・10000系(10701×10)のリニューアルが実施されていますが、9000系に比べてメニューが簡略化されています。

メニュー数を絞りつつも当初発表されていた2024年度までの完遂を優先するかと思われていた矢先、2021年度の設備投資計画では従来記載されていたリニューアルについて触れられておらず、今後が心配されていました。

そして、2020年度にJR東日本長野総合車両センターで機器更新工事を施工されていた10702×10はライト移設工事が目撃されていたものの、従来の“SOTETSUブルー”・“SOTETSUオレンジ”のカラーリングのまま2021年5月25日に出場試運転を行い、5月28日深夜の回送・29日朝より営業運転に復帰しました。

これまで塗装変更とライト移設は各形式ともにセットで行われていたため初めての仕様となっており、E233系世代の11000系によく似た外観となりました。

営業運転初日

減収影響で後回しに?

“完成形”の10701×10 (10701F) 筆者撮影

8000系8709×10・10701×10のリニューアルではメニューを絞って全編成に波及させる狙いが想像できた一方で、2024年度とされているリニューアル完了時期と残数・過去の工事入場期間を加味すると、2020年度後半から現在まで一切手をつけていない点に違和感を覚えます。

今回営業運転に復帰した10702×10についても、状況を考えると何らかの事情で“YOKOHAMA NAVY BLUE”化を見送ることになったものと考えることが自然です。

設備投資計画で2021年度のみ触れられていなかったように、昨今の急激な減収の煽りなどを受けて工事を後回しとする変更が加わった可能性がありそうです。

特に今回の編成の長野総合車両センター入場に先立ち、同所でE257系の廃車体を使用して濃青色の塗装試験も実施されており注目されていました。現在まで類似した塗装を施した車両が登場していないことから、10000系の機器更新工事とともに外装の変更も同所で“外注”することが想定されていたのではないか?という見方が出来る状態でした。

時系列としては10701×10の機器更新→長野で塗装試験(2020年3月頃)→10701×10の塗装変更等()→10702×10の機器更新入場となっていました。

10701×10の入場期間が3ヶ月半(2019/10/3〜2021/1/20)・10702×10の入場期間が4ヶ月(2020/10/30〜2021/3/1)となっていました。

同世代のE231系の機器更新入場期間、初回で余裕を持たせていたことが想像できる10701×10の入場期間を考えても長い入場期間となっていました。

塗装試験の実施を加えると、当初は長野総合車両センターで全ての工事を実施する計画だったが何らかの事情で見送りとなったと考えることが出来そうです。

長野へ出入りする甲種輸送(貨物列車としての輸送)は季節の臨時列車策定時点で設定されることから、工事メニューが減少されても甲種輸送の設定は変更されなかったのであれば、長く設定されていた入場期間にも辻褄が合いそうです。

このほか、最近の相鉄ではTASC (自動列車定位置停止装置)の運用が始まったばかりとなっており、これに関連した事情で運用復帰を急いだ可能性も考えられます。

長野から帰還後は10701×10と同様に前面ライトケースの埋め込み・移設や行先表示器の改修などが実施されており、その時点では塗装変更実施などのリニューアルを自社施工する計画があったのかもしれません。

ブランドアップに意欲があった相鉄にとってはネガティブな変更であることは想像に難くないため、今回の形態がどういった経緯で生まれたのかは公式から示される可能性は低そうです。

新しい形態の車両が登場したことはファンにとって嬉しいですが、いずれ塗装変更なども追加施工されることと予想できるため、一時的な形態として相鉄ファンにとっては“熱い”車両となりました。

このメニューが8両編成や10708×10にも波及するのか、そもそも走行機器の更新自体も次年度以降に持ち越されたのかも定かではありません。

少なくとも、10両編成3本とも形態が異なる姿は過渡期ならではですので、しっかりと記録を進めておきたいところです。

関連記事はこちら

画像元ツイート紹介

記事内掲載写真はフォロワーの相 模 電 鉄さま(@sagami_so)より掲載許諾を頂いています。

・試運転

・営業運転初日

コメント