去年の今頃を振り返って、今再びの緊急事態宣言で思う事 | 鉄道きさらんど

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いつも列車・バスなど公共交通の事ばっか考えてます。

去年の今頃くらいはコロナ第一波の対策での最初の政府による緊急事態宣言が出されていて日本列島は「一億総自粛」状態だった。

 

そのころコロナパンデミックと鉄道など公共交通の未来がどうなるか?と思いいろいろエントリを書いていた。今から読み返すと自分もコロナを恐れていて何かにつけて悲観的だったような…。

 

あれから1年たって、社会も人々も対策をしながら気を付けて社会経済活動をするノウハウはいろいろ確立されてきたように思う。だから旅行やイベントなども一昨年には及ばないにせよ去年と違いやる動きはあるにはある。しかし、また最近は政府が各地に蔓延防止等重点措置や緊急事態宣言を出し再び社会経済活動にブレーキがかかっている。(今年の緊急措置は去年までと違いイベントや店舗営業等を全面的に制限してはいないとはいえ)

 

今現在蔓延防止措置や緊急事態宣言に指定されている都道府県を見ると、去年の様に全国すべてが指定されているわけではないとわかる。しかし、一定の傾向があることもわかる。首都圏でも今年初めと違い千葉や神奈川や埼玉は「マンボウ」で踏みとどまっているが、関西圏は京都大阪兵庫3府県が緊急措置の対象で(しかもイベントや大規模商業施設の制限は東京よりも厳しい)また愛知福岡に加え、ついに岡山や広島が指定されている。

 

東海道・山陽新幹線沿線都府県は静岡・滋賀・山口以外はマンボウ措置か緊急措置の対象に指定されている。指定されていない地域の特徴は県内にのぞみが停車しない県か(静岡と滋賀)のぞみ・みずほが停車する駅があっても全列車が停車するわけではない県(山口)くらいのもの。のぞみ・みずほ含め全便が停車する都府県は指定されている。

 

よく言われる満員電車は勿論、乗車時間が長く乗車中に飲食をする都市間列車でも今のところ日本ではクラスターが確認されていない。(感染者の行動が追い切れずわからないだけかもしれない)しかし、(世の中ゼロリスクを追求するだけではいいというものじゃないとはいえ)移動自体にリスクはなくても行く先で人と交わりウイルスを拾い持ち帰るとか、逆に感染者が地元でウイルスのキャリアーとなり行先で持ち込むケースがあり、通勤電車感覚の本数で走る東海道・山陽新幹線の最優等列車含め全列車が停まる駅のある地域は気軽に行き来でき、頻繁に多くの人が往来するのが感染者数の増加に寄与するのだろう。

 

これは新幹線で東京から京都に行く感覚で気軽に行けるようになった人気の観光県であり、伝統的な産業や近代的な製造業などモノづくりで底堅いので首都圏とのビジネス往来も頻繁になった石川が緊急措置ではないがマンボウ措置対象に指定されたこと、新幹線が今は直通していないが東京から定番かつ人気のリゾート地やグルメスポットがあり、農業などの産業でビジネスの往来も多くの本数を誇る飛行機で盛んな北海道が緊急措置対象になったことにも言えそうだ。

 

神奈川などと違い愛知・関西・そして今回は岡山・広島・福岡緊急措置の対象になった事を考えると東京や大阪との往来がしやすく活発な県が感染者数が増加しやすい傾向にある。新幹線、特に東海道・山陽新幹線は在来線通勤路線並みの本数を誇り、しかも飛行機のようなセキュリティチェックもなく通勤電車感覚で気軽に移動できる。しかも自由席利用・立席利用で予約なしでも乗れる。鉄道でも観光列車や高速バスは座席指定・事前予約が必要で最近は乗客に乗る前の検温をやっている列車やバスも少なくないし予約者の名簿から何かもしあっても感染経路を負うこともできるが、それより大量の人を運ぶ新幹線は発熱していても乗れて経路不明になりかねない。

 

人々はいままで高速交通の拡充に血道をあげた。しかも飛行機よりも通勤電車感覚で気軽に乗れる新幹線は離れた都市と都市を結び付け一体の経済圏にし、往来を密にしたことが産業や文化や街づくりを変えた。しかし新幹線での頻繁な往来が感染症リスクを高めるとなると新幹線が地域の発展の武器として熱望され、活用することがセオリーだった街づくりや国造りの在り方も変わるのかもしれない。