路線バスにまつわる様々な課題など | 模工少年の心

今や、テレビの旅番組は、鉄道によるローカル線の旅よりも路線バスの方が数多いのではないかと思われます。

 

番組の企画には2つのパターンがあって、タレントが1人か2人で、グルメの名店や、外からではわからない少し謎めいた店(工場)を訪ねたりするか、3〜5人ぐらいのグループで、決められたルールのもとにゲーム感覚でバス旅をしてゴールを目指すかというものです。

 

しかし、路線バスもいつまても安泰とは行きそうもないようてす。

とくに、過疎地では。

 

島原鉄道は今月12日、島原市内で運行する路線バスのほとんどの路線を廃止すると発表したということです。

廃止するのは島原の市街地と仁田団地や三会方面などを結ぶ市内の6路線18系統41.8キロ分と、けっこうなキロ程です。

 

廃止の理由については人口減少や少子高齢化、新型コロナの影響による利用者の減少、バス車両の老朽化が挙げられています。

 

民間企業だから、経営が厳しければ廃止も仕方がない、と言われます。

たしかに、最後はそこが決め手になると思います。

しかし、私企業と言えども、路線バスは公共交通機関であることを忘れてはならないと思います。

線路を剥がすときほど関心は高くありませんが、廃止の連鎖に繋がらないよう祈るばかりです。

 

島原鉄道バスの廃止路線については、市のコミュニティバスの運行形態を見直して対応する方針とのことですが、コミュニティバスは当然のことながら、その運行範囲は、お金を出している自治体内のエリアに限られます。

 

近隣自治体を結ぶバス路線が廃止された場合は、コミュニティバスでは代替できません。

 

路線バスを乗り継ぐ旅番組では、県境を跨げなくて、目標達成できず…、という結末を迎えることがよくありますが、これから先、県境どころか、市町村境を跨げないなどということにならなければよいのですが。

 

さらに今後、島原鉄道バスのような地方都市だけでなく、もしかしたら、少子・高齢化によって、まさかと思うかもしれませんが、東京や横浜のような大都市でも、突然、路線バスの廃止に至るなんてことが生じるかもしれません。


乗客減の原因には、単純な沿線人口減のほか、マイカーとの競争や買い物に出かけるよりもネットショッピングの方が有利と考えられる時代背景もあるかもしれません。


そこで、路線バス全般について、どうしたら魅力的な乗り物になるか、利用しやすい乗り物に変われるかを考えるべきではないかと思います。

 

鉄道と同じように、路線バスを根っから愛好されているバスファンの方もいらっしゃいますが、やはり、関心の高さは、鉄道とはかなり違いがあるのではないでしょうか。



(東武線 独協大学前駅 東武線バスと草加市コミュニティバス)

 

鉄道に比べて愛着を持ちにくいのには、理由もあると思います。

 

「よく、揺れる。(座れれば良いが)」


「交通事情で、ダイヤが乱れることがよくある。また、そうした情報が得にくい。」


「乗り降りの仕方がまちまち。(前乗り、後ろ乗り)」


「均一料金でないとき、料金の上がり方が気になる。」


いろいろありますね。


小雨も凌げない貧弱なバス停で、いつ到着するかわからないバスを待っているときほど、不安なことはありません。

 

鉄道からの乗換利用客の多いバスターミナルなどでは、バスが停留所に到着するまで、一列になってじっと静かに待たなければなりません。

 

例えば、鉄道駅の場合、改札を通った後は、ホームのどこで待っていようとも自由です。(混雑時には整列乗車することも)

列車の到着予定を告げる案内表示や放送も充実しています。

 

もしも、駅のホームのように、バス乗降ホームが作られていれば、ゆったりとした気分でパスを待つことができます。

 

このことについては、一つ参考になる事例があります。


東日本大震災で被災した大船渡線(気仙沼〜盛間)のBRT(バス高速輸送システム)です。

残念ながら鉄道は廃止されてしまいましたが、鉄道システムの良さをそのまま引き継ぎ、バスでダイヤを支えています。  


そして、施設面でも、盛駅のバス乗り場のように、従前と同じように三陸鉄道との乗り継ぎに配慮がされています。 

(下の写真は、ロイヤリティフリーの画像を購入したものです。盛駅は、まだ、行ったことがなく、ぜひ行ってみたいところの一つです。)

こうしたバスの乗降場が、大都市で増えている高架線駅のホームに並行して設置されたら、どんなにか便利かと思います。

改札口を出ることなくバスに乗り換えられたら、マイカー送迎が減ること間違いなしと思うのですが…。

 

一方で、現状、とても利用者に不便が強いられているバス停の存在も思い出しました。


主に川崎市内を営業エリアにしていて、一部横浜市鶴見区等にも営業路線のある鶴見臨港バスの菊名駅前バス停です。

 

このバス停でバスに乗車したい乗客は、菊名駅の改札口から降りてくる階段上で待たなければなりません。

この便を初めて利用した時は、たまげそうになりました。

駅前の道路の拡張が困難なためやむを得ないのはわかりますが、何とも交通弱者に厳しい仕打ちと思えてなりません。

つぎに、途中のバス停は、「道の駅」やスーパーマーケットなどの小売店がある場合は、道の駅等の玄関前に停留所をつくるというのはどうでしょうか。

農産物等の配送サービスの利便性を図れば、あえてマイカーで買い物に行かなくても済ませられ、路線バスの利用が促進されるかもしれません。(小さな小売店への配慮も必要となり、難しそうですが)

 

路線バスの関係者や自治体等では、もっといろいろなことを考えていらっしゃっていて、財政面等、難しい問題から実現できないのかもしれませんが、路線バスの廃止は一層の過疎化に繋がること必至です。

 

赤字ローカル線の次は、赤字路線バス。

鉄路と違って道は残りますが、なくなってからでは、もう手遅れなことは同じです。

優雅にバス旅をしていれられるのも今のうちかもしれません。