実家の2階から、久大本線の腕木信号機が見えました。
それなりの受験勉強と、厳しい部活に忙殺された高校時代、お金も無く時間も無く、「旅と鉄道」誌に夢を掻き立てられる日々でした。
部活を終えて帰宅した夕暮れ、「試験に出る英単語」を広げていると、「ガチャン」と腕木の下がる音がします。
この音を聞いたらもう駄目です。
駆けていく急行「ゆふ」を目で追いながら、私の思いは、まだ見ぬ旅路をさまよいます。
アルプスを仰ぐ大糸線や、大沼を走る函館本線、湿原に伸びる釧網本線、信号機の音は、私の空想の旅の入口だったのです。
時は下って数十年、レイアウトの製作にあたり、転轍機標識の可動(「レイアウトの風景(3)」に書きました。)とともに、どうしても実現したかったのが、「動作する腕木信号機」です。
さて、どうやって実現しましょうか?
lazy jackの繊細な可動式の製品は、私の技量では扱いきれぬ不安が拭えません。
協同ライト(現モデルシーダー)の製品は形態的に触手が動きません。
そのうち、欧州の製品にこうしたギミックが多いことを思い出し、日本の鉄道の母国ともいえるイギリスの製品を探してみたのです。
そして、見つけました。ダポールが、可動式かつ点灯式の腕木信号機を販売していたのです。
日本のものと形態はやや異なりますが、私には満足できるレベルだったので、すぐさま購入した次第です。
この製品、日本の信号機が円柱の柱なのに対し、角柱の柱となっています。
このことは全く気にならなかったのですが、最近、ダポールのサイトを見て驚愕、円柱の製品が出ているではないですか。
買い換えたい思いが頭をもたげてきました。一度でもそう思うと負けです。
予備のためと理由をつけて買う気満々です。
お金のなかった高校時代からは考えられない行動ですが、旅に憧れる夢見がちな心根は昔のままです。
今日もパワーパックの電源投入。
腕木を操作し、お気に入りのブルートレインが出発です。夢は旅路を駆け巡るのです。
ダイヤ運転ももちろん楽しいですが、お気に入りの列車が走るのを心ゆくまで眺めるのも楽しいものです。
運転を楽しむ難点は、レイアウトの製作が進まないことでしょうか。そっちも頑張らねばなりませんね。
ご訪問、ありがとうございました。