皆様こんばんは。ブログおよびホームページ管理人の神@北見です。

 

今週から来週にかけては業務が非常に多忙になりそうなので更新が滞るかもしれませんがご了承願います。今回も小ネタのみで済ませたいと思います。

 

キハ58系には量産冷房車が登場する前に、簡易冷房車というものが存在しました。これは指定席車の冷房を進めたい四国・山陰地区で行われ、1967・68年度に登場しました。これはキハ58の屋根上に3基のAU13を搭載し、隣に連結されているキロ28のAU13 6基のうち2基を停止してキハ58簡易冷房車のAU13 3基に給電して稼働させるというものでした。キロ28の冷房効率を犠牲にしてキハ58に少しでも涼しい風を送るというものでした。

 

記録によると、キハ58の客室部6基の通風器のうち、前から奇数偶数基分を撤去しそこにAU13を3台設置するというものでした。そして妻面にはキロ28の自車用4DQ-11P+DM72から給電を受けれるようにジャンパ連結器が設置されました。

 

しかし昭和44年度より本格的に普通車の冷房改造が開始され、これはキハの屋根上に7基のAU13を搭載し、1エンジンのキハ28に3両給電用の4VK+DM83を搭載するというものでした。そのため量産冷房車が普及すると簡易冷房車は後に1両の例外を除き量産化改造が施されました。

 

この量産化改造については、鉄道ピクトリアル誌の記述や図面によると、「簡易冷房車に、更に4基クーラーを追加しているので間隔が均等ではない」とされています。

 

↑簡易冷房車の図面です。当初3基のクーラーが搭載され、後にⒶの付いた4基のクーラーを増設し量産化改造されたことになっています。下記の注記にも冷房の間隔が均等ではない事が記載されています。

 

しかし、実際に簡易冷房車を量産化した車両を見てみると…

 

↑キハ58 229(多度津施工)

 

↑キハ58 540 (後藤施工)

 

↑キハ58 667 (後藤施工)

 

↑キハ58 773 (多度津施工)

 

自分で撮影できた4両を含め、他の資料や写真を見ても普通の量産冷房車とクーラー間隔は同じで均等に並んでいます。これは多度津施工車も後藤施工車も同じです。比較的古い写真を探してみても、図面にあるようなクーラー間隔が不均等の車両を1両も確認できていません。

 

 

正直言って、文献や図面に記載されている「簡易冷房車を量産化した車はクーラーを後に増設しているので間隔が不均等」という事象は、真実か真実でないか全く不明です。しかしここまで実車の姿が発見されないとなると、真実ではないのでは?と疑ってしまっています。

 

量産化当初はクーラー間隔が不均等だったのが、間もなく均等に修正されたのでしょうかね? でもそんな面倒くさいことするでしょうか? 元簡易冷房車の屋根上をまじまじと見て、クーラーを移設した跡があるか調べたいのですが、実車なんてもういないので不可能ですね…。結局真実は闇です。

 

このように文献資料は参考になりますが、全てを鵜吞み出来ない場合もあるので注意が必要ですね。

 

 

なお、元簡易冷房車は(1両の例外を除いて)量産化改造が施工されたと書きました。この例外が旧米子配置のキハ58 637になります。実車の写真はありませんが…。

 

 

 

 

 

 

 

↑キハ58 637のみは何故か簡易冷房車のAU13を撤去して蓋をし、非冷房車になっていました。

 

この車は晩年は米子から亀山へ流れ、更に長野に流れて飯山線塗装となり1992年まで生き永らえました。そのため意外と資料が残っています。実車の資料・写真を基に模型も作成しているのですが、クーラーの位置は形式図とは合っていません。

 

このように、何が真実なのかイマイチ不明になっている簡易冷房車。こういう謎が多いのもキハ58系の魅力の1つなのかもしれませんね。

 

 

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。それでは次回もお楽しみに!!

 

是非私のホームページ

 

http://kami-kitami.sakura.ne.jp/index.html

 

にもキハ58系各車の解説がありますのでご覧になってください。