【“201系顔”中央線へ】GV-E197系が山形・長野へ遠征開始〜各地で試運転が続く

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2021年1月に砕石輸送・散布作業用の新型電気式事業用気動車として登場し、201系に似た前面形状も相まってファンから注目されるGV-E197系。

4月には仙台経由で山形へ、そして5月9日から10日にかけて中央線・篠ノ井線経由で長野へ足を運び、各地のファンから注目される存在となっています。

高崎支社管内から遠出を開始

GV-E197系は、バラスト(線路の砕石=騒音や振動の抑制効果)の輸送・散布作業用の新型電気式気動車として牽引車となるGV-E197形2両・従来のホッパ車相当の積載部分を有するGV-E196形4両の6両編成で2021年1月に登場しました。

製造後はいったん電気式気動車のノウハウがある新津運輸区に搬入されたのち、1月29日に所属区となる高崎車両センター高崎支所へ自力回送。その後はしばらく高崎線内で牽引車2両・フル編成6両と走行試験が続けられてきました。

4月13日には高崎支社管内の砕石積載を実施している吾妻線小野上駅でバラストを積載。

その後は高崎線・東北本線経由で郡山総合車両センターへ回送されたのち、4月25,27,29日晩に仙山線での走行試験を実施(初回のみ途中打ち切り)しています。

一度所属区へ戻されていましたが、5月9日晩には中央本線を下り、長野総合車両センターまで回送されています。仙山線の事例と同様に、今後は数日間に渡って長野支社管内での試運転が実施されるものと見られます。

GV-E197系は登場時より201系によく似た外観がファン人気の高い車両でしたので、201系が駆け抜けた甲斐路・時折顔を出していた信濃路を駆ける姿はファン待望の“熱い”動きとなりました。

やはり期待してしまう“工臨復活”

短いものでも25m・長い“ロングレール”だと200m程度の長さがあり、道路経由での輸送が困難な事例が多いレール輸送に比べ、バラスト輸送は道路経由での輸送が容易なこともあり、近年では多くの鉄道事業者でバラスト輸送はトラックへの転換が進められてきました。

この動きは決して専用車を新規開発したJR東日本も例外ではなく、今回試運転が実施されることとなる長野支社管内についても既にトラック輸送への転換が実施済となっていました。

かつて中央本線〜長野支社管内では、初狩駅を拠点とするバラスト輸送が頻繁に運行されていましたが、これらの貨車は既に除籍済となっています。

今回、GV-E197系の入線は勾配線区での登坂・気動などを目的と考えるのが自然なところですが、その性能が評価された場合、中央本線にバラスト輸送の“工臨”が復活する可能性も十分考えられるところです。

2021年3月改正でレール輸送用のキヤE195系が投入された関東エリアでは、最高時速に加えて従来の機回しが不要という特性により、白紙改正となっています。

東海道線では従来の相模貨物発着の列車が平塚駅へ、新津発着の列車が上沼垂発着となるなど、発着駅もより効率化されている印象です。

またこれに関連して、既にキヤE195系導入に際してこれまで電車しか運転していなかった乗務員への転換訓練も実施されており、気動車方式のGV-E197系の導入障壁は小さくなっているとも考えられます。

一方で、同時期に製造されたE493系が電車の回送牽引を主目的とし、バラスト輸送用のGV-E196形牽引を意図していない点が気がかりです。

積み込み作業をする構内入換で電車では困難と判断されたのか、そもそも都心部は道路が発達しているからトラック輸送が適任とされていて都心部への投入は意図していないのか、現時点では断言できません。

ただし、「運用エリアについても検討のうえ、本格的に運用を開始する予定」という記述がプレスリリース(PDF)に記載されています。

E493系の使用エリアは既存の配給列車に準ずることは容易に想像できますので、運用エリアが未定であるのはGV-E197系のことを意図しているのでしょうか。一連の試験で性能が評価されれば、意外と広い路線での活躍も期待できるかもしれません。

量産先行車が今後どの線区で試験が実施されるかとともに、GV-E197系がホキ800形の代替に留まらず、一度トラック転換された線区の鉄路へ“復活”がどの程度実施されるのかも目が離せない車両です。

GV-E197系の動き

E493系の動き

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記事内掲載写真は、800番台さま(@moha1142601)より掲載許諾をいただいています。

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