南海 大阪 私鉄

マイナーすぎるローカル私鉄 5.5kmしかない水間鉄道の魅力とは?(5)

2021年5月8日

 

今日は南海電鉄で貝塚駅にやって来ました。

これから乗車するのは水間鉄道です。

 

大阪南部にある私鉄路線ですが、あまり知名度の高くないローカル鉄道の一つになっています。大阪府民でも多くの方が知らないというのが現実のようです。

 

改札を出た先の階段には終点、水間観音にある水間寺を思わせる雰囲気になっていました。

 

水間鉄道の駅舎には駅名が大きく書かれており、水鉄(すいてつ)と略されます。

 

この鉄道会社は『杵屋』といううどん屋さんが親会社として運行を続けています。これは社長さんが疎開の時、貝塚でお世話になったことからだそうです。

この路線は総延長5.5kmしかない、非常に短い路線。

終着駅までは300円で、途中には8駅もの駅数を持ちます。

 

改札口には金属パイプ製のラッチが設置されていました。

 

更にこの規模のローカル私鉄としては珍しく、ICカードも導入されています。

 

ホームには個性的なヘッドマークの付いた、古そうな列車が停車中。

 

例え個人的な写真であっても、簡単にヘッドマークを取り付けることができ、10日で1万円というお手軽価格です。

 

水間鉄道の途中駅は全て無人駅、バスと全く同じようなワンマン運転ですから、邪魔にならないよう後ろへ行くことにしました。

 

貝塚駅を出発。

 

南海本線から内陸部へ向かって急カーブを走っていきます。

1926年の開業時、水間鉄道は貝塚駅まで旅客輸送をしておらず、人が乗れたのは0.2km離れた貝塚南駅まででした。

貝塚駅と貝塚南駅は貨物用の貝塚連絡線でつながれており、水間鉄道の0キロポストは貝塚南駅付近に設置されています。

しかし8年後に旅客輸送が始まってからは貝塚駅のすぐ近くだったこともあり、こちらの駅は1972年に廃止されました。

 

次の停車駅は貝塚市役所前駅。

 

そして間髪入れずに近義の里駅に停車します。

こちらの駅名は渡来人の豪族、コギさんがこの地を治めていたことから名づけられたそうです。

 

列車は阪和線の高架をくぐりますが、接続駅はありません。



石才駅に到着、0.8kmと線内では長い方の駅間距離ですが、まださっきの駅が見えます。

普通鉄道最短の駅間距離は松浦鉄道の佐世保中央駅~中佐世保0.2kmですが、あそこはカーブがあって隣駅が見えないため、やはり直線の方が近さを感じられます。

 

各駅は薄いコンクリートで作られたプラットホームばかり、錆びた金属で作られたパイプのラッチ跡が残されていました。



次の駅は清児駅。

粗いドット式の掲示板に運賃が表示されていますが、これで十分なのです。

これを運賃表として使うのはあまり見ませんね。

 

これで清児(せちご)と読むのもかなり難しく、水間鉄道には微妙に読めない駅名がたくさんあります。

 

白鳥に導かれてどこかへ行ってしまったため道に迷ってしまった行基。困っていたところ子供が道案内してくれたため清らかな児と付けた、そこから駅名がとられたそうです。

 

この区間からバラストの色や枕木からして明らかに新しくなっていました。



線路が分岐していき、列車は名越駅に入線。

ここは途中で唯一の交換可能駅です。

 

ちょうど反対側からも列車がやってきて、ここで交換をするというパターンが決まっています。



名越駅では小学生の子どもたちが降りていきました。

この水間鉄道は小学生も通学に利用しているそうで、運賃は子供料金のさらに半分としているそうです。

 

名越~森の駅間距離は水間線で最長の1.1km。

列車は最高速度の60km/hを出していきます。

 

森駅と言うと北海道の方を思い浮かべてしまうものです。

 

そうは言っても駅周辺は森らしいものはありません。

 

三ツ松駅の先の区間には多くの踏切があって、頻度としては100mに1個。これは全国的にもかなりの高頻度になります。



次に停まる三ヶ山口駅は読み方が謎を呼ぶ駅です。

この読み方は『みやまぐち』。2009年に『みやまぐち』から改称され、駅名標も架け替えられています。

一方でHPなどでは未だに『みやまぐち』となっているというチグハグさです。



さて、列車は終着の水間観音駅に到着。

車庫には同じ形式、水色の車両が停まっていました。

こちらは平成29年にコラボした弘南鉄道のカラーです。

 

ホーム屋根の下には藤棚のような屋根の骨組みがありました。

 

そこからつるされているのは苔玉です。

水間鉄道は水間観音駅のブランディングをしており、『苔玉の駅』をテーマにリニューアル。

『ひたむきに美しく』をコンセプトに、水間観音駅と日本の質実な美しさの象徴である『苔』を魅せています。

 

飾られている苔玉は1000個に上り、確かにこれがあるだけでも暖かな地域の雰囲気を感じさせてくれました。

 

水間寺への観光客を迎えるこの駅は有人駅。

 

天井は非常に高く、濃い緑色の窓枠のデザインは西洋風です。

 

一方でその外観は水間寺の仏閣をモデルにした駅舎。

大正15年から建っており、登録有形文化財にも指定されました。

 

さて、水間観音駅の近くには中々の古さを感じさせる車両が残されています。

こちらは500型と呼ばれ、30年前まで活躍した列車です。こちらは南海電鉄で戦前から活躍し昭和46年にやって来ました。

 

その後車両が古くなった頃、東急で車両が大量に廃棄されることに。

 

当時600Vの水間鉄道でその車両は1500Vだったのですが、路線が短すぎて1500Vに昇圧した方が安くなるという結果になりました。

 

現在使用されているのは元東急7000系、水間鉄道1000系です。

この車両は先にも触れましたが、弘南鉄道でも使われています。



さて、本日水間観音駅にやってきたのは、ある理由があります。

こちらは水間観音駅の車庫。水間鉄道で開催されるイベントの打ち合わせにコッソリ参加させてもらっていました。

 

この日は鉄道系YouTuberの西園寺さんが様々なところを見学なさっており、その様子が動画で挙げられております。

 

そして、現在水間鉄道ではクラウドファンディングを行っています。

プロジェクトの内容は、

  • 水間鉄道を舞台にしたYouTubeドラマの製作
  • 観光による貝塚市の活性化
  • 水間鉄道開通100周年のイベントの実現

の3本柱です。

 

期限は5/31までで、目標金額は770万円。現在300人以上の方が支援しています。

 

リターンは一生涯の無期限パスや1kmの運転体験など様々です。

 

小さなローカル線のために、力を貸してくださると嬉しいです。

企画の成功に向けて、ぜひご協力ください!

#水鉄 このまちを鉄道から元気にしたい!! ~貝塚観光倍増プロジェクト~

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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