先日は所用で、天空橋駅前に昨年オープンした羽田イノベーションシティに行ってきました。夕方からの予定だったのですが、急に集合が早まることがあるかもと言われていたのと散策も兼ねて早めに現地に向かいました。


都営浅草線→京急に乗ったら北総7300形(京成3700形リースの7828編成)が来ましたが、この車両はいつの間にか前照灯がLED化されていますね。


そして、羽田空港行きでしたが快特だと天空橋に停車しないので京急蒲田で乗り換えたところ、逗子・葉山方面からのエアポート急行だったにも関わらず都営5300形(しかも相互直通運転60周年記念ヘッドマーク掲出の5319編成)が充当されていました。京急線内完結の列車に都営車が充当されることも珍しいですが、5500形への置き換えが進められているため急速に数を減らしており今年度中には完全引退予定なだけに、これはレアな運用でした。引退前にもっと撮っておきたいけど、今回は時間がなかったりアングル的にどうも満足のいくものが撮れませんでした。
京急空港線に乗ったのは久々だし、天空橋駅で降りたのも京急が空港に乗り入れる前の旧・羽田駅時代以来な気がします。かつては京急がここ止まりで、羽田空港に向かうにはモノレールに乗り換える必要がありましたが、空港に直接乗り入れるようになってからはここで乗り換える必要もなくなったりで乗降客は当然激減しているようです。今後は羽田イノベーションシティができたことで乗降客数が増加する可能性もありそうですね。


そして、羽田イノベーションシティに直結する改札口「HICity口」が新設され、ここは京急とモノレールで改札が並んでいるため、誤乗防止のため派手に色分けされているのが面白いですね。
モノレールのほうも今は乗降客が少ないためか普通以外は通過し、ホームドア設置済みということもあって減速せずに通過していくのが印象的でした。


そして地上に出ると、環八通りを挟んで目の前が整備場エリアになるため、駐機中の飛行機を割と近くで見ることができるというのも面白いです。
なお、羽田イノベーションシティの昨年開業した部分(D~Lゾーン)は第一期事業エリアで、残り半分近くの第二期事業エリア(A~Cゾーン)は来年度完成予定でまだ工事中です。


また、ここは敷地内で無人運転バス(無料)の実証実験が行われており、当初は乗ることを考えていなかったのですがちょうど間もなく来るというので乗ってみることにしました。
一応時刻表が貼ってあり、30~60分間隔での運行ということになっていましたが、乗る人が多いためか時刻表に掲載されていない時間でも走っているようで乗ることができました。
定員は6人(実際にはもっと乗れますが)なのであっという間に満員になってしまい、子供連れの人が乗りに来るほか通りすがりの人が興味を示して乗っていくことも多いようです。
車両はフランス製の「NAVYA ARMA(ナヴィヤ・アルマ)」というもので、同型車は他でも無人運転バスの実証実験に使われていますね。
車内は運転席がなくて客席が向かい合わせで設置されているほか右側に補助席が3席あり、バスというよりはロープウェイような雰囲気の車内です。そして完全自動運転ですが、さすがに係員なしで無人というのは時期尚早と思われ、係員も常時乗っています。
無人バスは敷地内の道路を時速8km/h程度のゆっくりとした速度で走り、時間にしては数分ですが自動運転で車が走るという未来の技術を体験できるのがいいですね。
ちなみに公道走行は現状だとこれに合わせた法律がないため、走行場所を限定したうえで個別に警察に走行許可を取る方式だそうですが、現在の基準では20km/h未満という制限があるそうです。今後の技術進歩による信頼性の確立や法の整備によって最高速度の基準は緩和されたりするのかもしれませんが、現状だとさすがに普通の車と同じように走るのは難しいようですね。
そして、技術面や法制度などに課題が残るため本格普及への道のりはまだまだ遠そうですが、個人的には架空バスなどでの将来的な導入も検討してみたくなります。


羽田イノベーションシティ内を見終えた後は、集合までまだまだ時間があるので周辺を散策することにし、まず最初に向かったのは、「平和の大鳥居」です。
これはかつて羽田空港の旧ターミナル時代の駐車場に長年にわたって残されていた鳥居を現在地に移築したもので、元々は穴守稲荷神社の鳥居です。
終戦後すぐに進駐軍が羽田空港を接収し、その後すぐに空港を拡張するためにこの地域に住んでいた住民が48時間以内の立ち退きを命じられ、京急穴守線(当時)も稲荷橋~穴守の廃止を余儀なくされ、穴守稲荷神社も同様に立ち退かされて現在地に移ったのですが、鳥居だけはその後も今までの場所に残り続けました。これは解体工事に着手し鳥居にロープをかけて引き倒そうとしたら事故が起き、真偽の程は不明ですが死亡事故が起きたとか関係者が病死したなどの説もあり、そのために祟りだと恐れられ、稲荷信仰などないはずのアメリカもビビってしまったのか解体するのを諦めたために近年まで残されていたそうです。
近年の拡張事業でついに鳥居が移転となりましたが、その際にこの鳥居は土台からかなり頑丈に造られていたことが分かったそうで、そもそもロープで簡単に倒せるようなものではなかったそうです。そして、移転工事の際に天候が急変したとも言われていますが無事に完了し、現在の場所に移された後は平和の大鳥居として鎮座しています。


また鳥居の横には案内板があり、戦後に立ち退きになる前までの羽田鈴木町、穴守町、江戸見町の地図も貼られていて、色々と勉強にもなりました。そして、この周辺はサイクリングやジョギングをする人が多いようで、鳥居周辺はそういう人たちの休憩の場所にもなっているようですね。


その後は海老取川の弁天橋を渡り、多摩川と海老取川の分岐点に突き出した岬のような場所に建つ祠の「五十間鼻無縁仏堂」を見ました。


このお堂の入口の所は道が大きくカーブしているのですが、そこの堤防の上に立って住宅街側を見るとジオラマか鉄道模型のレイアウトの端っこのように見えるのが印象的でした。


そして、この真下の地下は東海道貨物線が通っていて、大井の東京貨物ターミナルまで線路が続いています(その先の浜松町方面は現在休止中)。20年くらい前にこの線を旅客化してここに天空橋駅との乗換駅になる「羽田空港口駅(仮称)」を設置するという構想があったようですが、その直後にJR東日本が東京モノレールを子会社化したこともあって計画は立ち消えになりました。また、2029年度の開業を目指して計画されている羽田アクセス線もここを通らないので、この下を通る貨物線は今後も旅客化されたりここに駅が設置される可能性は低いでしょう。


また、海老取川沿いの遊歩道に平成2年(1990年)9月に当時の小学生が描いた羽田空港沖合移転後の跡地にどんな街ができたらいいかというテーマの壁画がありました。子供らしく自由な発想で色々と描かれていますが、その跡地が実際に街らしい形になったのはそれから実に30年後のことで、時代の流れを感じさせますね。


そして、この壁画の並びに「駅前地蔵尊」という4体のお地蔵さんがあり、今は明らかに駅前ではないので不思議に思う人も多いかと思いますが、ここは京急の旧・羽田空港駅前です。京急空港線のかつての終着駅であった羽田空港駅はここにあり、それを廃止して現在の地下にある天空橋駅(旧・羽田駅)に移転し、後にターミナルまで直接乗り入れるようになったという経緯があります。


旧駅跡地は今は駐車場になっていますが、この真下の地下は線路になっています。
かつての羽田空港駅は、駅名に空港を冠しながらアクセスに難があってか空港利用客は少なかったそうです。小さな駅舎と単線のホームがあるだけのローカル線の終着駅のような駅だったそうで、空港ターミナルへはマイクロバスで連絡していましたが、当時の写真を見ると田舎の路線バスによく使われていた車種の同型車(いすゞ・ジャーニーQ)が写っているだけに余計にローカル駅っぽさが増しているように感じました。
そしてこの頃は3両編成で、末期は800形の3両固定編成が使われていたほか、さらに昔は最後の吊り掛け車であった500形も使われていたそうです。


この後は旧線路沿いを歩いて穴守稲荷まで移動。途中フェンスで囲まれているだけで使われていない箇所もありますが、地上線路跡の大部分は京急グループで管理する駐車場として活用されています。


その後は穴守稲荷神社やその近くにあった地蔵堂などを見て、最後は穴守稲荷駅そばのトンネル出入口で電車を撮ってから羽田イノベーションシティに戻りました。
帰りは21時頃に解散となりましたが、この時間だと店も全部閉まっていたので、空港の夜景やイルミネーションだけを撮って真っ直ぐ帰りました。


また、京急ではこの日の朝に人身事故による運転見合わせがあったようですが夕方にもまたあったようで遅延情報が出ているし、目の前で置いて行かれたりもしましたが、この後に来た電車が久々の塗装車体化や車端クロスシート復活やコンセント設置で話題になった新1000形の新しめの1200番台車が来て、しかもクロスシート部分が空いていたので座ってみることにしました。
この車両が登場する前のものは、他社にもありがちな銀色の無塗装車体だったり内装もあまり個性のないものになっていて評判が芳しくなかったようですが、これで京急の個性が復活したと言われていましたね。そして、この仕様で今後しばらく増備されるのかと思っていたら、今年に入ってデュアルシートを装備しトイレまで設置され、もはや新形式といっても過言ではない大幅なモデルチェンジが行われた1890番台が登場して驚かされました。


そして、クロスシートは座り心地がよかったけど、逗子・葉山行きのエアポート急行だったため結局は京急蒲田で降りなければいけなく、行きに続いて再び乗り換えを強いられてしまいました。何だか今のダイヤだと、都心方面からの電車はほとんどが快特ないしエアポート快特で空港線内の途中駅には停車しないものばかりになってしまったようです。

今回の日記、その他写真は、こちらにもアップしております。
(1)http://blog.livedoor.jp/silkroad_vx/archives/8701397.html
(2)http://blog.livedoor.jp/silkroad_vx/archives/8701496.html

 

 

 

 

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