Osaka Metro千日前線25系第11号編成出場前の試運転 令和元年9月20日(金)撮影 | ふなたんのブログ

ふなたんのブログ

乗り物全般(主に鉄道・バス・飛行機)を撮影した写真をマイペース(極端に少ないですが)で更新。
稀に自分自身の事や考えをアップすることも。
画像の無断転載・転用は禁じています!!

※:画像の無断転載・転用はご遠慮下さい!!

令和元年9月20日(金),大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)緑木車両工場で定期検査となる重要部検査(1)・全般検査(2)を行っていた千日前線(3)用25系第11号編成の出場前の試運転が,四つ橋線北加賀屋駅-難波駅間で2往復行われました。

〈註釈〉

(1)電車の集電装置,主電動機,制御装置,台車,ブレーキ装置,戸閉装置等の重要部分を分解し,各部の状態および作用について,4年または当該車両の走行距離が60万㎞を超えない期間のいずれか短い期間ごとに1回実施する検査をいいます。

(2)電車の最高検査であって,その要部を解体して全般にわたって行う検査をいい,8年を超えない期間ごとに1回実施する検査をいいます。

 

Osaka Metro緑木車両工場で定期検査を行う編成は,全般検査と重要部検査では通常2両単位で実施され,車両から見れば4年に1度全般検査と重要部検査を交互に受ける形となっています。双方の検査の作業内容に大きな差異はないそうです。

大阪市営地下鉄時代から全般検査と重要部検査で車体に組込む台車は予め整備済みのストックしていた台車に交換するのではなく,車輪など消耗品を除き基本的に新製当初の組合せを変えずに使い続けています。台車を替えると車体との相性もあり乗り心地に影響する場合もあるそうです。

 

(3)大阪市福島区の野田阪神駅から大阪市生野区の南巽駅へ至る12.6kmの路線で,全線が地下にあります。車両全て新20系(25系)4連17編成が使用されています。


▲検査を終えて四つ橋線を走行する千日前線用25系第11号編成(25611以下4連),「試運転」。画像は1往復目の往路で,ブレーキ装置の動作確認試験を入念に行っています。新20系では唯一の4連編成を組む25系。平成26年度中の可動式ホーム柵とワンマン運転開始をさせる事から,平成26年度までに中間更新・車内リフレッシュ化改造が行われました。そのため他の新20系中間更新・車内リフレッシュ化改造車両で採り入れられている,車内デザイン変更・車内案内表示器の液晶ディスプレイ化・車内照明のLED化は全編成未施工となっています。

 

四つ橋線玉出駅にて

 

▲なんば駅から折返してきた千日前線用25系第11号編成(25911以下4連),「試運転」。

25系は千日前線全駅可動式ホーム柵設置(平成26年12月に使用開始)に伴い,平成22年度から平成26年度にかけて中間更新・車内リフレッシュ改造と並行して対応改造が実施されました。

主な内容は,車両扉と駅可動式ホーム柵との連動制御の付加による電気回路の変更,定位置停止装置としてATO装置(列車自動運転装置)の導入,ATC装置の更新,ブレーキシステムは多段階システム(31段ブレーキ)とするためOEC-4Mに更新し,床下空気配管の大きく変更などです。

 

▲北加賀屋駅へ向かう千日前線用25系第11号編成(25611以下4連),「試運転」。

25611号車の乗務員室で運転台計器類(速度計・圧力計等)やモニタを「試験班」(各種機器の動作確認や試運転を担当する)に属する検査員お二人が注視しています。

 

以上2点,花園町駅にて

 

▲2往復目往路として走行する25系第11号編成(25611以下4連),「試運転」が折返しとなるなんば駅に入線してきます。なんば駅は四つ橋線と千日前線が交差しており,普段は四つ橋線の下を走る25系ですが,この日は上を走るという試運転ならではの光景(入出場回送も含む)が見られました。

 

▲なんば駅に到着直後に前照灯を点灯させた25系第11号編成(25911以下4連),「試運転」。

このあと後部標識灯(尾灯)は消灯しました。前照灯のLEへの交換は行われていませんでした。

中間更新改造・車内リフレッシュ改造時に,ワンマン運転対応として駅設備の側方監視モニタなどの視認性向上のために視線上,支障となる電動ワイパ装置の取付位置を変更しています。屋根部に車外スピーカを設置しています。

 

▲復路の運転を担う運転士が発車準備を行っている25系第11号編成(25911以下4連),「試運転」。平成27年1月から千日前線はワンマン運転が行われ,ワンマン運転を支援するためATO装置が設置されています。

ツーマン運転時(運転士・車掌が乗務)に車掌が行っている各操作(扉開閉,放送,冷房,暖房)を運転士でも行えるよう機器や回路を変更しています。これらのスイッチ類を運転台に配置するため,主幹制御器・制動制御器はともに横軸式のT型2ハンドルから一体となったT形ワンハンドル式に交換されています。デッドマン回路の機能追加,非常通報発報機能の追加も行われています。

 

▲25系第11号編成,「試運転」列車の発車時刻が近づき,2番線ホーム住之江公園側に設置されている2灯式出発信号機が赤色から黄色を現示しました。この信号機が使用されるのは,「試運転」列車の折返し時や御堂筋線用車両の緑木車両工場への入出場回送で主に使用されています。

 

▲発車時刻となり,なんば駅から北加賀屋駅へ向けて折返す25系第11号編成(25911以下4連),「試運転」。配線の関係で逆出発となり分岐器があるところまで走行します。保安装置は両方向に対応しています。

 

▲北加賀屋駅へ向かう25系第11号編成(25611以下4連),「試運転」。この後,大国町駅寄りの渡り線(ポイント)を通り西梅田行の線路から住之江公園方面の線路へ転線し進行します。

2灯式信号機は赤に変わっています。

北加賀屋駅到着後,緑木車両工場・緑木検車場へつながる出入庫線を通り緑木車両工場へ再度入場。確認を行い千日前線の車両が所属する森之宮検車場へ本町駅手前の四つ橋線と中央線を結ぶ連絡線を通り回送されます。後日千日前線でATO装置の動作確認等を行う試運転が行います。

 

以上6点,なんば駅にて

 

【参考文献】

「鉄道ピクトリアル2019年8月臨時増刊号 特集:大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)」

・「鉄道ピクトリアル2012年10月臨時増刊号 鉄道車両年鑑2012年版」

・「鉄道ジャーナル2016年4月号」(「森之宮検車場最後の出場」の記事より)