岡山市の両備グループが、自社と競合するバス路線に新規参入を認めたのは違法だとして、国に認可の取り消しを求めた裁判で、最高裁判所は、4月23日付で両備グループの上告を退ける決定を行いました。
道路運送法に既存業者の営業上の利益を守る趣旨の内容は無く、両備グループに訴訟を起こす資格が無いとして、訴えを却下した一審、二審の判決が確定しました。
以前交通業界で話題になった両備VS八晃の対立がこういう決着となった。両備の完敗だ。
これにたいして両備のトップの小嶋さんはすぐさま声明を出した。しかし二昔以上前の道路運送法で需給調整されていたころの発想から思考停止しているなぁ。
「法は旧態依然に「利用者の利益」という表面的利益のみを見て「原告不適格」という壁に阻まれた結果から、今後は「事業者が健全に発展」できるように運送法改正そのものに向けても活路を拓きたい。」というのは需給調整があったころの昔に制度を戻したいということかな?
こうは書いているが、自分は公共交通は過度の競争をいたずらに奨励するべきでもないし儲かった路線から儲からない路線への内部補助という事業者負担で不採算路線を維持することは一概に否定されてもいけないと思う。鉄道ではJRが大都市の路線や新幹線から赤字ローカル線へ内部補助があることは社会的に合意されているだろう。(過度の内部補助も否定されて、大赤字路線は次第に整理されておりや野放図というわけでもないが)
ただ両備の場合は自社路線に並行して競合路線が開設されたことの自社への影響が具体的に出る前からあらかじめ採算性が悪化して赤字が出ることを予測し、あらかじめ不採算路線を整理することをちらつかせるというパフォーマンスをした。バスの競争は激しく事業者が競争激化を嫌う気持ちはわからなくもないがいままでこういう利用者を人質にとった「問題提起」をするところはなくパフォーマンス先行でしかなかった。
バス会社も営利企業だからどんな悪条件でも既存路線を痛みに耐えて残せとは言わないが、普段からあれだけ地域との共生や老舗としての公共性への貢献を強調する老舗の会社としてはずいぶん余裕がないなと呆れたものだった。
これは以前にも書いたが、両備は小嶋氏が地域公共交通のオピニオンリーダー、シンクタンクも主宰していたり交通業界やメディアを手懐けていることもあってネットでも両備に肩入れしすぎ、八晃に冷たすぎる風潮があったのには違和感があった。この中でも提灯持ちしない人もいたのには感心したが(その人はリニア問題ではJR東海の幇間だが)