続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

えちご料金回数券(新幹線用)

えちご料金回数券(新幹線用)

 「えちご料金回数券」は新潟県内の特急停車駅間に設定されている、自由席特急料金だけの回数券です。乗車券・ICカードや定期券と併用できます。

 確か発売当初は新幹線区間の設定はなく、新潟~長岡間が後から追加されたと記憶しています。新幹線用の「えちご料金回数券」は4回4,000円で、1,870円の特急料金が1,000円にまで安くなります。同区間の在来線の自由席特急料金が1,200円であることを考えても非常に安いです。

 新潟~長岡間は普通列車で1時間15分、快速列車で1時間、特急列車で50分かかりますが、新幹線だと最速19分で圧倒的に速いです。

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 こちらは私が2年前に利用した新幹線用の「えちご料金回数券」です。「えちごワンデーパス」と併用しました。券名の下に(新幹線自由席特急券)と表記されています。新幹線用ですが在来線特急の自由席でも利用できます。自動改札通過時に特急券には日付・時刻が印字されないのでいつ使用したかは券面からは分かりません。

 ただ、大変残念なことに新幹線用の「えちご料金回数券」は3月末で発売終了しました。理由は「新幹線Wきっぷ」と同様で「タッチでGo!新幹線」のサービスエリア拡大によるものです。「タッチでGo!新幹線」は事前予約なしで交通系ICカードで新幹線に乗車できるのは事実ですが、1円も安くはならないので、新幹線用の「えちご料金回数券」の代替にはなりません。

 3月31日のYahooニュースの朝日新聞(おそらく新潟版)配信の記事で興味深いものを見つけました。以下引用します。

上越新幹線、廃止続くおトクなきっぷ 割引より利便性?

 新潟―長岡間など県内で新幹線がお得に乗れた「新幹線Wきっぷ」が31日で販売が終了し、廃止になる。代わりとなる割引料金はなく、利用者は往復で約2千円高い通常料金で乗るしかなくなる。6月には新幹線回数券の販売も終わる。JR東日本は「新幹線のチケットレス乗車を拡大した。その利便性に価値を感じてほしい」と言うが…。

 Wきっぷは2015年3月14日に販売開始。新潟と燕三条、長岡、浦佐、越後湯沢間などの新幹線自由席に設定され、新潟―長岡の片道2枚で4200円(当時、現在は消費増税があり4280円)。この区間の現在の自由席通常料金は往復で6080円。その前にあった「Sきっぷ」では、新潟―長岡往復3千円。この6年間で事実上料金が2倍となった。

 廃止の理由をJR東日本本社広報部は「利便性を高める方向にシフトした。Suicaなど交通系ICカードを自動改札にかざすだけで乗れる『タッチでGo!新幹線』を新潟県内にも拡大。窓口や券売機に並ばずに利用できる」と説明。さらにポイント還元もあるとPRするが、還元率はモバイルSuicaで2%、通常のカード型だと0・5%。新潟―長岡の片道で、それぞれ60円分、15円分に過ぎない。

 廃止される「おトクなきっぷ」は他にもある。利用方法の制限はあるが「えちごワンデーパス」(1570円)との組み合わせで新潟―長岡間がWきっぷより安く利用できた「えちご料金回数券」(4枚つづり4千円)も同時に廃止。新幹線回数券(6枚つづり、新潟―東京間5万9700円)も廃止(6月30日販売終了)になる。

 代わりに同社はインターネット予約の「えきねっとトクだ値」を薦める。前日までの購入で15%割り引く。13日前までなら最大35%割引もある(いずれも席数制限あり)。Suicaによるチケットレス乗車「新幹線eチケット」が利用でき、「非接触による乗り降りはコロナ禍での利用者の安心につながる」とする。コロナ禍対策というなら収入減にも手当して欲しいものだが、県内駅間に「トクだ値」設定はない。

 利用者からは「SきっぷからWきっぷになって利用が減ったが、通常料金なら時間がかかっても高速バスを使う」「新幹線の自由席は客が少なくて空気を運んでいるのと一緒。運ぶ空気を増やすより、安い料金でも人が乗った方が良いと思うが」との声も。利用者が減りかねない廃止だが、利益は上がるのだろうか?同社は「増収を狙ったわけではない」とだけ答えた。

 本社の広報担当が余計なことまでしゃべって自滅した感はありますが、記者はSuicaポイントが微々たる還元であること、「えきねっとトクだ値」の利用を勧められるも新潟県内区間の設定はないという事実まできちんと調べて記事にしていました。

 いくら非接触の需要が増えていると言っても、同じ効力で「新幹線Wきっぷ」を買ったら2,140円で、非接触(「タッチでGo!新幹線」利用)だと3,040円ならば99%の人は前者を選ぶと思います。結局、非接触云々はコロナ禍を隠れ蓑にした値上げでしかなく、割引料金で乗ろうとする客を運ぶよりは空気を運んだ方がいいという経営判断なんでしょう。

 これは「2枚きっぷ」の設定区間を大幅に減らしたJR九州に対しても思うんですが、今までトクトクきっぷの販売促進には結構な手間暇や費用をかけてきたはずです。それをコロナ禍で苦しくなったからという一時の判断でごっそりなくしてしまうと、いままでの努力が水泡に帰すことになります。

 「新幹線Wきっぷ」だって発売から6年経ってそれなりに浸透していたはずです。今あるきっぷを値上げして増収を図った方がまだ受け入れられたと思いますし、今まで自分たちが積み重ねてきたものをもう少し大切にした方がいいんじゃないかと感じます。