本記事は上に添付の記事の続きです。
日曜日の午前8時半。九州の玄関。JR 九州博多駅。
今回はここから長崎本線の特急かもめ号に乗車し長崎の手前、諫早へ向かいます。
かもめ号は博多と長崎を約2時間で結ぶ特急列車で概ね1時間に2本の頻度で運転されています。
今回はそのうち博多8:52発の9号に乗車します。
かもめ号の車両は振子装置を備えた885系もつかわれますが、
9号は写真の787系7両編成での運転です。
787系かもめ号普通車内。
4号車以外の普通車の車内には、写真のようにリクライニングシートが特急列車としは標準的な間隔で配置されていますが、
787系が、かつて九州新幹線開通前の博多~西鹿児島間を特急つばめ号として走った時代に、
ビュッフェとして使われていた4号車は、同じ普通車でありながら内装が大きく異なっています。
4号車内。
ビュッフェの設備は改造で撤去され、現在は他の車両同様にリクライニングシートが並んでいますが、
側面から見た4号車指定席の座席。
ビュッフェ時代からの大きな窓はそのまま残され、その窓にあわせて座席が配置された結果、グリーン車標準の1160mm を上回る1200mm という普通車としては破格の広いシートピッチになっています。
天井はビュッフェ時代の間接照明が残され、これも他の車両とは違った華やかな雰囲気を醸しています。
天井の造作を残した影響か、4号車のシートは座席上の荷物棚がなく、コートかけや足元スペースを利用することになりますが、シートピッチの広さをかんがえれば不便はないでしょう。
4号車の一部は写真のような4人掛コンパートメント席になっています。
ビュッフェ車両として営業していた当時は空席で購入したメニューを食べることもできました。
今回の九州旅行ではJR九州がD&S 列車として売る観光特急「ゆふいんの森」号や「あそぼーい」号にも乗車しましたが、
コロナ下の現在でさえ観光に都合のよい時間帯の便は混雑し、車窓を求めて窓側の席を予約すると、
車内の売店・ギャラリーやロビーなどへ向かう際にも、通路側に座っている人に気遣いながらという状況がありました。
787系・885系問わず、かもめ号には車内売店も車内販売もありませんが、
余裕のある乗車率で、広い座席に腰掛け、ゆったりと車窓を楽しむことができた「787系・かもめ号」のほうが、鉄道旅行慣れした筆者には、満足度が高かったというのが正直なところです。
博多を定刻に発車し福岡近郊の鹿児島本線を下ること約20分。
佐賀県に入り鳥栖駅に到着。
福岡(博多)~大牟田間で鹿児島本線と並行する西鉄天神大牟田線が福岡県内だけを通るのに対し、
鹿児島本線が佐賀県に入るのは長崎までの距離を少しでも縮める意図もあったのでしょうか。
鳥栖駅の南で熊本方面へ向かう鹿児島本線から分岐し長崎本線へ。
鳥栖から3分ほどで九州新幹線接続の新鳥栖に停車。
博多から九州新幹線で1駅のここ新鳥栖まで来て、かもめ号に乗り換えるほうが佐賀・長崎方面への所要時間短縮になる場合もありますが、
乗り継ぎ割引が適用されないこともあり、そうした利用は少ないようです。
9:31。博多から39分で佐賀駅に到着。
自由席車両を中心に大勢が下車しました。
博多~佐賀の距離53.9km は、東京・大阪から西へ向かうと概ね藤沢・明石に相当します。
フリーゲージトレインの開発頓挫で新鳥栖と長崎を結ぶ長崎新幹線のうち佐賀県区間(新鳥栖~武雄温泉)の将来が見通せない状況になっていますが、
佐賀県はフリーゲージトレインに代わるフル規格新幹線の建設によって博多~佐賀間の所要時間が20分程度に短縮されるメリットよりも、
並行在来線問題や建設費負担などのマイナス面に着目し県内区間のフル規格新幹線の建設に反対の立場をとっています。
佐賀の市街地を抜けると最高速度の130km/h に迫る高速運転で佐賀平野の田園地帯を駆け抜けます。
駅名が変更されることになった肥前山口で佐世保線が分岐、
次の停車駅、肥前鹿島を発車すると次は諫早まで停まりません。
肥前鹿島からの区間、列車は有明海の海岸線をすすみます。
指定席車両の場合A B 席側が海側席になります。
海岸沿いの線路は急曲線がつつき、振子式の885系との所要時間差が開く区間のようにも思われますが、
単線で行き違い待ちがあることもあり、時刻表で787系で運転される列車と885系で運転される列車の肥前鹿島~諫早間の所要時間を見ると、日中はいずれも40分程でほとんど差がないことがわかります。
長く続いた海岸線区間が終わり、佐賀以来の大きな市街地が車窓に見えると間もなく諫早に到着します。
10:34諫早着。
あと20分程乗車すると終点の長崎ですが、今回はここで下車し、大村線の快速シーサイドライナーに乗り継ぎました。
つづきはこちらです。