ラピート復便で実質増発と高師浜線営業キロ短縮へ! 南海電鉄ダイヤ改正(2021年5月22日)

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終電繰り上げ実施もラピート実質復便へ! 南海電鉄ダイヤ改正(2021年5月22日)

南海電鉄は2021年4月20日、プレスリリースにて5月22日に南海線を中心にダイヤ改正を行うと公表した( 2021年5月22日(土) 南海線ダイヤ改正 )。今回はこれについて見ていく。

2021年3月ダイヤ改正まとめはこちら!

1. 「ラピート」復便で実質増発へ!

今回の2021年5月22日南海電鉄ダイヤ改正では、2019年4月6日ダイヤ改正以来約2年1か月ぶりに南海線でダイヤ改正を実施する。

今回のダイヤ改正プレスリリースでは、関空特急「ラピート」を昼間毎時2本から毎時1本に減便すると記載している。

しかし関空特急「ラピート」は前年2020年4月24日より昼間及び土休日夜間に臨時運休を実施しており、平日は1日16往復、土休日は1日9往復しか運行をしていない。そもそも運休していた昼間の列車の減便なので今回の減便は実質影響がないほか、今回のダイヤ改正で運休時間帯が減少し運休開始が1時間程度繰り下がったこと及び土休日夜間の運転再開に伴い平日・土休日ともに1日17往復に一部復便することとなった。つまり関空特急「ラピート」は設定枠数は減らしたが実質的にダイヤ改正後に増発するのだ。

まあ今回のダイヤ改正プレスリリースをそのままコピペして特急「ラピート」が減便したと書いているサイトは多いが、以上の理由により実質増発していることは明らかなので実地調査をしないコピペにわか鉄が一気にあぶりだされたのは一つの収穫かもしれないが。




2. 空港急行の昼間の減車と深夜の減便へ

今回の2021年5月22日南海電鉄ダイヤ改正では、空港急行の減車と減便を図る。

まずは減車。これまで南海線では関西空港利用者の増加を受けみさき公園発着の区間急行を関西空港発着の空港急行に置き換えたり空港急行の6両から8両への増車を行うことで利便性向上と混雑緩和を図ってきた。

しかし2020年に訪日外国人が激減したため関西空港利用者も大幅減少、空港急行はせっかく8両に増車したのに空席が目立つようになってしまった。

このため今回のダイヤ改正で平日昼間と土休日ほぼ終日の空港急行で8両から6両に減車することとした。今回の減車は主に昼間なのでたいてい座れるし、減車分は節電になるし、昼間の運転本数は変わらないことから減便するより遥かにマシである。

強いて言えば昼間の関空特急「ラピート」の運休時間帯縮小による実質的な増発により特急誘導を図り増収を狙っている可能性もなくはないが、そもそも昼間の空港急行はたいてい座れるので不利ではなかろう。

なお空港急行の8両編成は4両+4両で組むことが多いことから空港急行の8両への増車に際し普通車の4両編成を空港急行に使っていた6両編成と交換し昼間の普通車も6両運転が増えていたが、今回のダイヤ改正で6両の空港急行が増えたことにより普通車は6両から4両に減車する可能性が高い。




このほか、深夜22時台に空港急行を平日は2往復、土休日は1往復減便するとしている。22時台以降の減便は大阪都市圏では2021年1月よりOsaka Metroや近畿日本鉄道で順次行っているから突飛なことではない。

また今回減便する空港急行はいずれも難波〜堺間で特急「サザン」が2〜3分以内に設定がある。もっとも特急「サザン」は空港急行より停車駅は少ないが、堺や岸和田で普通車に連絡できるので春木を除く各駅へ先着で連絡できる。このため利便性の低下は極力少なくなっている。

ただ空港急行は6両以上の運転なのに対し特急「サザン」の自由席は4両しかない(しかも特急「サザン」の自由席車は指定席誘導も兼ねてかたいてい30年以上走り込んでいるボロ車両が多い)ため、輸送力の低下は小さくない。おそらく特急「サザン」の自由席車が6両になれば21時台も空港急行毎時2本を削減できたのだろうが、利用が大きく減った22時台にしか空港急行を減便できなかったのは特急「サザン」の自由席車不足によるところも大きいのだろう。




3. 連続立体交差事業の進捗で高師浜線営業キロ短縮と運休へ

今回の2021年5月22日南海電鉄ダイヤ改正では、南海線高石→羽衣間で高架化を行う。まあ線路付け替えの数週間後にダイヤ改正しろとは思うが、これにより南海線高石および羽衣は上下線ともに高架化する。

これにより羽衣は和歌山市寄りへ0.1km、高石は難波寄りへ0.1km移設することとなった。

このため羽衣発着および高石発着で一部駅にて普通運賃や定期運賃が変わることとなった。名古屋鉄道のように値上がりさせない措置は取らないようだ。

ちなみに高師浜線伽羅橋〜加太線磯ノ浦間は2020年現在54.2kmである。今回の高架化による営業キロ変更で840円から810円に値下がりしたということは、営業キロが0.2km短くなり54.0kmになったとしか考えられない。つまり今回の高架化による羽衣の営業キロ0.1km南側への移転は南海本線のみならず高師浜線にも当てはまるのだ

これにより高師浜線羽衣〜伽羅橋間の営業キロは1.0kmから0.9kmに短縮し、高師浜線の全線営業キロは1.5kmから1.4kmに短縮することとなった。

なお今後は約3年かけて高師浜線を高架化する。ただそもそも高師浜線は一番混んでいる羽衣~伽羅橋間でも6,000人/日・往復しかなく、20m級車両であれば昼間毎時1.5両、バスなら毎時3台あれば運べてしまうことから高架化までの3年ほどの間全面運休としバス代行輸送とする。

ただ、そもそも高師浜線は必要なのだろうか。終点高師浜は南海線高石から道のりで800mしか離れておらず海岸線まで350mしかないことから高師浜の駅勢圏は全て南海線高石の駅勢圏だし、伽羅橋も900mで羽衣まで歩けてしまう。車齢50年を超えるメンテナンスもかさむオンボロ車を使い続けていている高師浜線なんて潰れたって困る人はほとんどいないし、潰してしまって1運用減らして部品取り車にしてしまえば多奈川線や加太線などの同種のオンボロ車をより長く使うことができる。

どうしても伽羅橋の救済が欲しいのであれば、南海本線と府道219号線の交差部付近の高石市高師浜一丁目付近に新高師浜(いや伽羅橋の救済なら新伽羅橋の方がいいのか)を作ってしまえばいい。そうすれば昼間の普通車は20分間隔から15分間隔に増えるほか、堺で特急「サザン」ないし空港急行に対面乗り換えできるので速達性が増すし難波から行く際も羽衣での階段昇降をなくすことができるのである。さらに高石市役所周辺へのアクセスが向上し、JR阪和線富木の駅勢圏を脅かしあることから、南海線の利用者増加が見込める。こんなにメリットだらけの代替はない。

高師浜線は全面運休・バス代行の上3年かけて羽衣〜伽羅橋間を高架化するとしているが、9割が大阪府負担で南海電鉄の負担は少ない。ただ南海電鉄がグループ全体で黒字とはいえ2020年度に運輸業単体で年間8億円の赤字を出す見込みであることを考えると、今後運賃値上げを行う可能性は他鉄道各社と比べれば少ないだろうが)考えられる。そう考えると少しでも運賃値上げを抑えるためにも、維持費のかかる高師浜線を廃止した方がいいのではないだろうか。子会社の阪堺電気軌道の住吉公園停留場だって2016年1月31日に廃止したじゃないか、高師浜線を潰す理由はいくらでもある。




4. 南海線と高野線で終電繰り上げへ

南海電鉄では2021年4月29日より南海線と高野線で終電を廃止し繰り上げる。

当初は上述した各種改正と同じ2021年5月22日に実施する予定だったが、宣言を受け急きょ繰り上げることとなった。

今回廃止するのは南海線難波24時25分発普通住ノ江行き最終と高野線難波24時25分発普通堺東行き最終の2本となっている。この減便により南海線の最終は難波24時08分発白線急行泉佐野行き(堺で普通羽倉崎行きに連絡)、高野線の最終は難波24時10分発区間急行三日市町行き(堺東で普通千代田行きに連絡)が最終となる。ただ運用繰りを考えると時刻を繰り上げて回送化するだけのような気もするが。

この両列車は東海道新幹線最終「のぞみ265号」や山陽新幹線最終「みずほ614号」から連絡していたが、今回のダイヤ改正で南海線及び高野線の最終が減便することによりこれらの最終の新幹線から連絡できなくなる。これにより南海船への最終連絡は東京発は21時24分発から20時51分発に33分繰り上がるほか、博多発は21時09分発から20時06分発に1時間03分繰り上がることとなった。

ただそもそも今宮戎と萩ノ茶屋はJR大阪環状線新今宮から歩けるので終電繰り上げで最終新幹線から連絡できることは実質ないし、JR阪和線鳳まで及び地下鉄御堂筋線なかもずまでは最終新幹線から連絡できるため高野線帝塚山~堺東の各駅のうち高野線より西側の地域は実はJR阪和線や地下鉄御堂筋線で救済できる。そう考えると完全に影響を受けるのは南海線天下茶屋~住ノ江間くらいしかない。

なお今回の高野線の終電繰り上げは南海線ダイヤ改正における終電繰り上げのついでに行っただけのようだ。このご時世で輸送人員が多い月でも前年比20%減になっているのだから高野線の泉北高速線直通区間急行昼間毎時4本のうち毎時2本は減便して難波~堺東間の速達列車を昼間毎時10本から毎時8本に減便したって問題ないはずだが、今回は建前上高野線のダイヤ改正ではないため高野線の昼間の減便は行わないこととしたようだ。


5. 結び

今回の2021年5月22日南海電鉄ダイヤ改正では、南海線を中心に終電繰り上げを行ったものの関空特急「ラピート」が一部復便により実質増発となるなど利便性が向上している点も多い。

今後南海電鉄でどのようなダイヤ改正を実施するのか、楽しみにしたい。

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