西武の特急用車両は “魚肉ソーセージ” こと、001系 「Laview」 の登場で第三世代の時代に入りました。

新宿線の 「小江戸」 はまだ10000系が充当されますが、遅かれ早かれゆくゆくは “魚肉ソーセージ” に一本化されることでしょう。そうなると、初代の特急用車両である5000系 「レッドアロー」 の記憶がさらに遠ざかることになります。でも、5000系のもたらした功績は多大なものがあるというのは、 “昭和西武” フリークなら誰しもが認めるところでしょう。今もなお、 「レッドアロー」 の愛称はインパクト大ですもんね。

弊愚ブログでは7年前にも5000系を取り上げており、記載内容が丸被る可能性がありますが、そこは “お復習い” ということで。

 

5000系は秩父線が開業した1969年に登場しました。

西武での同期は101系とE851形電気機関車があり、もうちょっと視野を広めると、東急8000系や小田急5000形、南海22000系辺りが同じ年に登場しています。

秩父線は、観光地である秩父への輸送を目的としただけでなく、沿線にある武甲山から産出される石灰石を運ぶという大きな目的もありましたが、正丸峠を始めとして、秩父線は急勾配の連続。関東でも屈指の山岳路線となりました。正丸-芦ヶ久保間の正丸トンネル (4,811m) は近鉄の新青山トンネルが開通するまで私鉄最長でした。

5000系や101系はそのための対策を施した設計となっており、強力モーターは勿論のこと、勾配用の抑速ブレーキも完備しました。

 

当時は池袋線と秩父線のみに特急が運行され、池袋-西武秩父間の 「ちちぶ」 として運行を開始し、1973年からは飯能止まりの 「むさし」 を設定。説明するまでもありませんが、 「ちちぶ」 は観光特急、 「むさし」 は通勤・買い物特急の色が濃い列車として位置づけられました。1976年からは休日のみながら、新宿線にも特急が走るようになり、それには 「おくちちぶ」 の愛称が与えられました。また、当初は4両編成での運転でしたが、後に2両増結されて6両編成となっています。

 

図にはしませんが、1979年当時の時刻表を見ると、6時台から23時台まで概ね1時間に1本運転されています。で、大体毎時30分発と決まっているようで、そういう意味では 「数自慢・カッキリ発車」 という、国鉄のエル特急並みなんですよね。ただ、全席座席指定だから、エル特急の定義から外れます。

この中に所沢-池袋間の区間運転が上りに1本だけ存在し、塒である小手指から出庫する回送列車を所沢から客扱いしている性格が強い列車になりますが、朝の池袋発の下り2本 (7時30分発と8時30分発) にはそのような列車は存在せず、また、ラッシュ時とバッティングしてしまうからなのかもしれませんが、早朝時に特急は設定されていませんので、結局は “送り込み回送” を実施することになります。だから今更なんですけど、所沢発の列車を設定する意味は無いような気がします。

今じゃ、5時台から運転されていますし、朝のラッシュ時でもバリバリ走っています。 「座って通勤したい」 という人に大人気なんでしょうね。

 

途中の停車駅は所沢、飯能、芦ヶ久保のみで、現在はそこに入間市が加わり、芦ヶ久保の代わりに横瀬が停車駅になっています。

「おくちちぶ」 は、西武新宿を出発すると、所沢まで停車しませんでした。高田馬場には上りのみ停車していたんですが、1991年から (たぶん) 、下りも停めるようになりました。やはり、西武新宿だとJRや他の私鉄・地下鉄との乗り換えが極めて不便だからに他ならないからだと思われます。そんな新宿線特急もいつの間にか東村山にも停まるようになったしね。

 

今の “魚肉ソーセージ” はまだ見たことが無いんですけど (遠目の目視では1回だけある) 、見た目もさることながら、車窓を思いっきり楽しむためであろう大きい窓は、乗るとこっ恥ずかしくなる列車のような気がします。そこへいくと、5000系と10000系は内も外もシックで落ち着いていて、5000系は乗ったことがないけど、10000系は乗ってても全然恥辱を受けない車両でした。もし5000系に乗ってたとしても、10000系と同じ感想になるかもしれませんね。だから私の中では 「西武特急は10000系まで」 にしています。

 

【画像提供】

は様

【参考文献・引用】

日本鉄道旅行歴史地図帳第5号 「首都圏私鉄」 (新潮社 刊)

国鉄監修・交通公社の時刻表 1979年12月号 (日本交通公社 刊)

マイライン東京時刻表2021年版首都圏大改正号 (交通新聞社 刊)

ウィキペディア (西武001系、西武秩父線、小江戸、正丸トンネルなど)

 

(西武5000系アーカイブス)

新宿線特急 「おくちちぶ」 に関してはこちらも。

http://ameblo.jp/mohane5812002/entry-12488048993.html