「ローカル路線バス 対決旅 陣取り合戦」第4弾 茨城・取手~水戸を分析する。どこで勝負がついたのか

「バス旅の対決、ほんとイヤだ」

「ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 陣取り合戦」第4弾が放送されました。太川陽介が率いるチームと、河合郁人が率いるチームが、茨城県の取手市から水戸市の偕楽園を目指して競いました。

乗り継ぎで気になった部分を検証してみましょう。なお、以下はネタバレ100%です。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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43市町村を取り合う

「ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 陣取り合戦」は、ローカル路線バスを乗り継いで「陣」に見立てた各市町村の名所・名物を体験し、その数を競うというテレビ番組です。

その第4弾が2021年4月14日にテレビ東京系列で放送されました。対決したのは、ルイルイこと太川陽介が率いるチームと、A.B.C-Zの河合郁人が率いるチーム。太川チームには、Dream Amiと田渕章裕(インディアンス)が参加。河合チームには第1弾のリーダーだった川﨑麻世が復帰し、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)が加わりました。河合チームは新旧ジャニーズが顔を揃える豪華布陣で、3人とも男という異例の組み合わせです。

どちらのチームも使っていいのはローカル路線バスのみ。ただし、両者とも1万円までタクシーを利用できます。

スタートは茨城県の取手駅前。ゴールは水戸市の偕楽園です。同県内の43市町村(取手市除く)を陣に見立て、1泊2日で陣取りを競います。ゴール時刻は17時までで、より多くの陣を確保したチームが勝ち。今回は、新型コロナウイルス感染症の流行に配慮してか、バス車内での聞き込みを禁止し、20時以降の陣取りやバス乗車もできなくなりました。

ローカル路線バス陣取り合戦第4弾
Ⓒテレビ東京

水バラ ローカル路線バス 陣取り対決旅4 茨城・取手~水戸
【出演】太川陽介、Dream Ami、田渕章裕(インディアンス)、河合郁人(A.B.C-Z)、川崎麻世、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)
【放送日】2021年4月14日(水) 18時25分~21時54分(テレビ東京系列)

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太川チームの実際ルート

まずは、両チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻や距離、経路は、筆者による推定です。なお、ロケは3月中旬に行われたようですが、以下の検証は4月現在のダイヤに依拠しています。

最初に太川チームのルートです。☆は獲得した「陣」の市町村名です。

▽1日目
取手駅東口09:30→10:08竜ヶ崎駅10:20→10:22上町辻→徒歩0.1km→まいんコロッケ(☆龍ケ崎市)→徒歩0.1km→龍ヶ崎二高入口11:12→12:01浜町→徒歩0.5km→瑞祥院(☆稲敷市)→徒歩0.6km→12:32江戸崎→タクシー9.5km、3,440円→木原城(☆美浦村)→徒歩0.5km→13:30木原13:52→14:05大岩田→徒歩1.0km→霞ヶ浦総合公園(☆土浦市)→徒歩1.0km→14:51大岩田二区14:47[遅延]→15:00土浦駅西口16:00→16:50石岡駅→徒歩1.5km→17:15酒と肴のたか木(☆石岡市)17:30→タクシー1.5km、920円→17:40石岡駅17:45→18:05小川駅18:40→18:55茨城空港→徒歩すぐ→茨城空港公園(☆小美玉市)→徒歩すぐ→茨城空港19:30→19:45小川駅19:55→20:40鉾田駅

▽2日目
鉾田駅06:20→07:50水戸駅北口08:02→08:07ハローワーク水戸前→徒歩1.7km→水戸駅北口09:14→10:00本町南→徒歩0.3km→海鮮丸(☆ひたちなか市)10:55→タクシー13.5km、4,700円→水戸駅北口11:45→12:20奥ノ谷→徒歩0.3km→和食割烹大黒屋(☆茨城町)→徒歩0.3km→奥ノ谷13:15→13:41偕楽園入口→徒歩0.5km→13:55偕楽園(☆水戸市)


※Googleマップの経路は概略です。一行のたどったルートを正確に表しているとは限りません(以下同)。

太川チームの偕楽園ゴールは14時前。タイムリミットまで3時間を余らせていましたが、おかげで水戸市の陣を獲得することができました。

結局、太川チームが獲得できた陣は、1日目が龍ケ崎市、稲敷市、美浦村、土浦市、石岡市、小美玉市の6つ。2日目がひたちなか市、茨城町、水戸市の3つです。1日目に怒濤の6陣を奪い、2日目は3陣とやや伸び悩んだものの、合計で大量9陣を獲得しました。

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河合チームの実際ルート

次に、河合チームのルートをおさらいしてみましょう。

▽1日目
取手駅西口09:30→09:55稲豊橋→徒歩1.1km→間宮林蔵記念館(☆つくばみらい市)→徒歩1.1km→稲豊橋10:25→10:45守谷駅東口→徒歩1.5km→ミルク工房もりや(☆守谷市)→タクシー7.4km、3,170円→12:10水海道駅→タクシー7.0km、2,270円→天然温泉きぬの湯(☆常総市)→徒歩6.0km→水海道駅16:10→16:40谷田部車庫17:06→17:30つくばセンター→徒歩0.5km→中央公園(☆つくば市)→徒歩0.5km→つくばセンター18:05→18:40土浦駅西口19:00→19:40石岡駅

▽2日目
石岡駅06:45→07:05堅倉07:08→08:10水戸駅北口08:52→09:25大洗神社前→徒歩すぐ→大洗磯前神社(☆大洗町)→徒歩すぐ→大洗神社前09:47→10:00本町南→徒歩0.2km→本町西10:18→10:53水戸駅北口→タクシー7.0km、2,630円→清水洞の上公園(☆那珂市)→タクシー6.0km、4,520円(往路と合算)+徒歩1.0km→11:50水戸駅北口12:08→13:12御前山→徒歩すぐ→道の駅かつら(☆城里町)→徒歩すぐ→那珂川大橋(☆常陸大宮市)→徒歩すぐ→御前山14:41→15:36大工町15:46→15:49偕楽園入口→徒歩0.5km→偕楽園

河合チームは那珂川大橋の後がオンエアされませんでしたが、まっすぐ偕楽園に向かったとして、ゴールは16時頃だったとみられます。

獲得したの陣は、1日目がつくばみらい市、守谷市、常総市、つくば市の4つ。2日目が大洗町、那珂市、城里町、常陸大宮市の4つ。合計8陣です。2日目に追い上げましたが、惜しくも1差で敗れました。

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江戸崎で乗り遅れなければ

では、両者のとったルートについて検証してみましょう。最初は太川チームです。

太川チーム一行は、取手駅でジャンケンに勝ち、龍ケ崎市方面を選択。龍ケ崎市、稲敷市と順調に陣を確保しました。稲敷市の瑞祥院では、スタッフの求めに応じて写真を撮り直す余裕を見せています。

ところが、その後、江戸崎バスターミナルで、2分の差で先発バスを乗り逃がし、太川は憤慨。仮に、瑞祥院での撮り直しがなく、このバスに乗れていたらどうなっていたでしょうか。

▽1日目
江戸崎12:30→12:52木原→徒歩0.5km→木原城(☆美浦村)→徒歩0.5km→木原13:52→14:05大岩田→徒歩1.0km→霞ヶ浦総合公園(☆土浦市)

このように、タクシーを使わずに木原城に到達でき、その後、実際ルートに収束します。つまり、江戸崎~木原城間のタクシー代3,440円がまるまる浮いたわけで、その後の展開を変えていた可能性があるでしょう。

江戸崎で待っていたら

逆に、江戸崎で乗り遅れた後、タクシーを使わずに、次のバスを待っていたらどうなっていたでしょうか。次便は江戸崎を13時30分に出発します。

▽1日目
江戸崎13:30→13:52木原→徒歩0.5km→木原城(☆美浦村)→徒歩0.5km→木原14:52→15:05大岩田→徒歩1.0km→霞ヶ浦総合公園(☆土浦市)→徒歩1.0km→大岩田二区15:58→16:11土浦駅西口16:30→17:02上志筑北17:48→18:06石岡駅→徒歩1.5km→酒と肴のたか木(☆石岡市)→徒歩1.5km→19:00頃石岡駅19:35石岡駅→20:40鉾田駅

このように、タクシーを使わなかった場合、土浦駅16時発のバスに乗れず、次の16時30分発になります。このバスは石岡駅へ直通せず、途中で乗り継ぐので、石岡駅着は実際ルートより1時間以上遅くなります。

石岡市の陣に寄った後、鉾田方面へのバスに乗れますが、途中で降りたら20時の時間切れを迎えるので降りるに降りられず、小美玉市の陣(茨城空港公園)をスルーして鉾田泊となっていたでしょう。

ということで、江戸崎13時30分発を待っていると、その後の乗り継ぎが悪くなります。とくに、土浦~石岡間でロスが多いので、この区間でタクシーを使うかもしれません。そうすれば、実際ルートに追いつくこともできそうですが、タクシー代が大きく減るので、2日目が不利になるでしょう。

要するに、江戸崎でバスを乗り逃した後、すぐにタクシー利用を選択したルイルイの決断は正しかったといえます。

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阿見町の陣に寄っていたら

実際ルートに戻ります。太川チームは美浦村の陣である木原城を制した後、阿見町の陣であるJA水郷つくば愛菜園をスルーします。仮に、愛菜園に寄ったらどうなっていたかもみてみましょう。

愛菜園に行くには、木原から土浦駅へ向かうバスを途中の阿見坂下で降りて乗り換えなければなりません。

▽2日目
木原13:52→14:03阿見坂下14:10→14:25阿見中央公民館→徒歩すぐ→愛菜園(☆阿見町)→阿見中央公民館15:05→15:17大岩田→徒歩1.0km→霞ヶ浦総合公園(☆土浦市)→徒歩1.0km→14:51大岩田二区15:47→16:01土浦駅西口

このように、阿見坂下でのバス乗り継ぎは好接続ですが、土浦の陣(霞ヶ浦総合公園)を経て土浦駅に着くのは16時すぎ。タッチの差で、16時発の石岡駅行きのバスに乗れなかったでしょう。

先にも少し触れましたが、土浦駅16時発の石岡駅行きバスは、今回の対決旅でキーとなる便で、これに乗れるかがその後を大きく左右します。つまり、ルイルイが阿見の陣を取らずに先を急いだことは、結果的に好判断だったといえます。

なお、実際ルートで土浦の陣(霞ヶ浦総合公園)に寄った後、大岩田二区で土浦駅行きバスに乗り遅れそうになりましたが、遅延に救われた場面がありました。これについては、仮に乗り遅れても、18分後に土浦行きのバスがあるため、大勢に影響はありませんでした。

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石岡駅で次のバスを待ったら

さて、一行は土浦駅16時発のバスで石岡駅に向かいます。この路線は、途中でかすみがうら市を横切りますが、そのチェックポイントは明かされませんでした。後で同じルートを通った河合チームも、かすみがうら市について話す場面はありませんでしたので、両チームとも見落としたことになります。それは不自然なので、何かオンエアできない事情があったのかもしれません。

太川チームは、石岡の陣「たか木」で食事をした後、タクシーで飛ぶように石岡駅に戻りました。あまりに食事の時間が短く驚かされましたが、そんなに急がずに、次のバスを待ったらどうだったでしょうか。

じつは、実際に一行が乗車した石岡駅17時45分発の鉾田行きの後に、18時20分発のバスがあります。このバスは茨城空港行きで、一行が小川駅から乗車したバスです。それに石岡駅から乗車した場合、以下のようになります。

▽1日目
石岡駅→徒歩1.5km→17:15酒と肴のたか木(☆石岡市)→徒歩1.5km→石岡駅18:20→→18:55茨城空港

茨城空港以降は、実際ルートに収斂します。鉾田市を意識せず、とりあえず小美玉市の陣を狙うだけなら、石岡駅18時20分発のバスでも結果的には同じだった、ということです。

完全な結果論ではありますが、さすがに「炙りすき焼き」の食事を15分で済ませてしまうのは短すぎる気もしますので、一本後のバスに乗るという判断もあり得たのではないか、と思います。その場合、タクシー代920円が浮いたかもしれません。

3陣をスルー

実際ルートに戻ります。1日目、太川チームは茨城空港で小美玉市の陣を得た後、小川駅を20時前ギリギリのバスで出発し、鉾田市に達しました。

このバスは、途中で行方市を経由していますが、その陣は定かではありません。気付かなかったか、すでに降車できる時間でもなかったため省略したのか、どちらかでしょう。

つまり、太川チームは、阿見町、かすみがうら市、行方市と3つの自治体で、陣を取らずにスルーしたことになります。それでも、1日目に大量6陣を得てリードしました。

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鉾田市の陣を待っていたら

2日目、太川チームは一転して苦戦します。鉾田市、茨城町の両陣が営業時間の関係で早朝に訪問できなかったからです。

仮に、鉾田市の陣の営業開始を待ってから先へ進んでいたらどうなっていたでしょうか。鉾田市の陣は、「ファーマーズマーケットなだろう」で、営業時間は9時30分からです。

▽2日目
鉾田駅→徒歩1.5km→なだろう(☆鉾田市)→徒歩1.5km鉾田駅→タクシー18.2km、6,770円(残金全て)→和食割烹大黒屋(☆茨城町)→徒歩0.3km→奥ノ谷12:31→13:10水戸駅北口

なだろうの開店後、鉾田から茨城町方面のバスは13時30分までないため、残金を全てつぎ込んでタクシーで進むほかなさそうです。タクシー車内でしおりをめくり、茨城町の陣(大黒屋)の位置を確認し、直行することになるでしょう。タクシー代が足りず、歩くことになったかもしれません。

大黒屋での食事を終えて水戸駅に着くのは13時過ぎ。この時点では、すでに大洗町やひたちなか市の陣は河合チームの手に落ちているでしょうから、そのままゴールするほかなさそうです。となると、水戸市の陣を得たとして、2日目に3陣。計9陣。実際ルートと同じ陣数になります。

この場合、河合チームは実際ルートに加えて大洗町の陣を獲得できていれば、9陣で追いつけます。それが可能かは、後で検証してみますが、結果だけ先に書いておくと困難です。つまり、鉾田市の陣で開店を待っていても、太川チームは勝利できました。

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大洗行きを譲った理由

実際ルートに戻ります。太川チームは、鉾田市、茨城町の陣をスルーして、午前8時前に水戸駅に到着。勝田方面行きのバスに乗り、ひたちなか市の陣を狙いにいきました。

しかし、同市に入ってしおりをめくったところ、陣は、内陸の勝田ではなく、海岸沿いの那珂湊にあることが判明。方向違いなので、歩いて水戸駅に戻ります。そこから大洗経由で那珂湊に向かおうとしたところ、河合チームと遭遇。先に出る08時52分発のバスを河合チームに譲りました。

バス停周辺に河合チームが先にいたことに加え、太川チームがリードしていたこともあり、ルイルイが「大人の対応」をしたのでしょう。この時点で2差が付いていましたので、ここでルイルイが先陣を切ってしまったら、番組の盛り上がりにも影響してしまいます。そうした配慮があったかもしれません。

水戸駅から他の方向はなかったか

大洗行きバスを河合チームに譲った後、太川チームは別方向への転進を模索します。しかし、めぼしい行き先が見つからず、河合チームを追いかける形で那珂湊方面行きの次便に乗ってしまいました。このとき、本当に、水戸駅から他方向へ向かうことはできなかったのでしょうか。

水戸駅を午前9時以降に出発するバスで、役に立ちそうな路線としては、城里町、常陸大宮市方面へ向かう45系統があり、水戸駅09時38分発です。これに乗ると、以下のようになります。

▽2日目
水戸駅北口09:38→10:42御前山→徒歩すぐ→道の駅かつら(☆城里町)→徒歩すぐ→那珂川大橋(☆常陸大宮市)→御前山11:52→12:47大工町13:03→13:06偕楽園入口→徒歩0.5km→偕楽園(☆水戸市)

河合チームが実際ルートで演じた、城里町、常陸大宮市の2陣両取りができるルートです。この場合、偕楽園に13時半頃にゴールできます。おそらくはゴール水戸市の陣も獲得できるでしょうから、3日目に3陣となり、9陣となります。実際ルートと同じということです。

この場合、河合チームは大洗町、ひたちなか市、那珂市、茨城町の4陣を取れる可能性がありますが、1日目とあわせ最大で合計8陣です。河合チームががんばっても、1陣差で及びません。

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那珂市に向かっていたら

そもそもの話として、ルイルイは、午前8時前に水戸駅に到着した際に、勝田(ひたちなか市)ではなく、他の方向に向かう選択肢はなかったのかも考えてみます。

まず、大洗から那珂湊に向かうバスは、水戸駅07時23分発の次が08時52分発ですので、河合チームと取り合ったバスより早く大洗や那珂湊に向かうことはできません。

那珂市に向かうには、08時15分発のバスがあり、少し走ると那珂市域に入ります。このバスに乗り続けると、陣がある清水洞の上公園近くを通ります。以下のようになります。

▽2日目
鉾田駅06:20→07:50水戸駅北口08:15→08:34水農前→徒歩0.6km→清水洞の上公園(☆那珂市)→タクシー7.0km、2,630円→水戸駅北口09:38→10:42御前山→徒歩すぐ→道の駅かつら(☆城里町)→徒歩すぐ→那珂川大橋(☆常陸大宮市)→御前山11:52→12:47大工町13:03→13:06偕楽園入口→徒歩0.5km→偕楽園(☆水戸市)

清水洞の上公園でタクシーをすぐに呼べれば、という仮定の上ですが、那珂市、城里町、常陸大宮市の3陣を太川チームが総取りできます。さらに、時間的に水戸市の陣も取れていたでしょうから、2日目に計4陣を獲得したでしょう。最大10陣となり、圧勝となった可能性があります。

太川チームの検討をまとめてみると、2日目に3陣を取る方法はいくつもありました。つまり、1日目に6陣を取った時点で、最終的に9陣獲得が見えていたといえます。

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