鳥取駅を定刻5時19分に発車。車窓には漆黒の闇が広がり、車内もしばらくは貸し切り状態が続きます。

 

人影は全くなく、まるで幽霊列車のような車内。

 

 

何駅かは忘れましたが、ホームもこんな感じ。待合室の明かりだけが煌々と闇を照らしています。

 

 

そんな状況がしばらく続くと、小駅からたびたび高校生が乗り込んでくるようになりました。部活なのかなんなのか、とにかく朝早くから頭が下がる思いです。

 

寝不足からウトウトしかけていると、末恒駅を発車してすぐのあたりで検札に遭遇。特急などの優等列車やグリーン車以外では、本当に久々の経験です。ICカード全盛の今、私が住む静岡県内の東海道線ではほぼほぼ行われないかと思われます。別に昔は良かったなんてことは思いませんが、こんなことすらノスタルジックに思えてくるのは、昔では考えられなかったでしょう。

 

6時17分到着の倉吉駅付近で、ようやく窓外が明るくなってきました。件の高校生たちの一部も、ここで下車していきます。倉吉市は人口4万6000人、鳥取県中部の中心都市ではありますが、都市規模としてはそれほど大きなものではありません。ただこれまでずっと暗闇の中を走り続けてきた身としては、車窓から広がる風景が大都会のように感じられます。

 

6時24分着の下北条駅。ここでも名探偵コナンが出迎えてくれました。

 

 

下北条駅がある東伯郡北栄町は、青山剛昌先生の出身地。町内には記念館やオブジェなどが整備され、多くの観光客が訪れているとのことです。

 

続いてこちらは『みくりや』駅。

 

 

我が地元静岡に昨年開業した御厨駅と同音の駅です。ただ漢字では『御来屋』と書き、開業も1902年(明治35年)と大先輩。地名の由来も、調べてみると後醍醐天皇などが登場してくる、とても由緒あるもののようです。

 

倉吉駅で高校生の多くは下車していきましたが、米子市が近付くにつれ、今度は別の高校生たちが次々に乗り込んできます。やはりクルマ社会である地方における鉄道は、まだ免許を持つことができない高校生たちが主に支えているのだと改めて実感しました。大声で騒いだり大きな荷物を持っていたりと、一緒に乗り合わせると概して迷惑にも思える存在ですが、彼らが利用しなければ、一気に地方鉄道の廃止は加速されることは容易に想像できます。その存在に、改めて感謝させていただくことにします。

 

列車はさらに西進し、鳥取県西部の主要都市である米子市の中心米子駅には7時42分の到着。予想通り、先ほどの高校生を含む、ほぼ全員がここで下車していきました。列車はここから境線に乗り入れ、終点境港駅を目指します。境線は私自身も全線未踏破で、この列車に乗り続けていれば、労せず完乗達成となります。ここでは6分ほど停車し、発車時刻は7時48分。ホームが空くのを待って外へ出てみます。

 

 

鳥取駅松江駅の両県庁所在地の駅を凌ぐ山陰随一の要衝で、とても広い構内が広がっています。JR西日本米子支社も置かれ、いわゆる山陰エリア全域を管轄しています。

 

 

一度はガラガラになった車内ですが、発車時刻が近付き、意外にもまた別の高校生が次々に乗り込んできました。そんな彼らとともに、7時48分に米子駅を発車。一路境港を目指します。