その11(№5480.)から続く

前回はリニューアルの話題を取り上げましたが、今回は「特別塗装列伝」と参ります。
185系の2種類のオリジナル塗装が、リニューアルの完成に合わせて変更されたことで消滅したことは前回述べましたが、それ以外にも、期間限定・編成限定の「特別塗装」がありました。

【“フルフル”塗装】
「シュプール号」の運転開始10周年を記念し、平成6(1994)年12月に施された特別塗装。
青みがかったグレーをベースに雪原を描き、そこに雪だるまやスキーヤーを描き込んだ、非常に楽しくユーモラスなもの。
この特別塗装編成は新前橋の185-200の2編成に施され、翌平成7(1995)年1月6日から、「シュプール上越3・2号」「シュプール草津・万座」に充当、両列車は新前橋以南で併結運転を行いました。ただしグリーン車は抜かれた6連とされ、そのため両社の併結編成は14連ではなく12連でした。5連の付属編成以外でグリーン車を抜かれた状態で運用に入った例は、恐らくこれが初めてではなかったかと思われます。
ただし、この「”フルフル”塗装」は非常に短期間で終了してしまいました。「シュプール号」の運転は春休みの終了とともに終わるものですが、早くも平成7年のシーズンを終了した同年5月下旬、一般カラー(といってもブロックパターンの方)に復元されました。したがって、僅か5か月間しか存在しなかった塗装ということになります。ちなみに、管理人はこの塗装の現車を見たことはありません。
それでも、この塗装の鉄道趣味界での人気は高いようで、マイクロエースからこの塗装の185系編成がNゲージの模型として製品化されています。

【湘南色】
平成22(2010)年、吾妻線特急「草津」の運転開始50周年を記念し、JR東日本高崎支社が展開した「特急草津50周年感謝キャンペーン」に合わせて登場した特別塗装。
大宮総合車両センター(平成22年から185系は同センターに集約された。詳細は後述)の185-200の7連1編成を、往年の80系電車を模して窓の上下を濃緑、窓周りを黄柑色という、所謂「湘南カラー」に変更しました。勿論、前面は80系と同じ「金太郎の腹掛け」と呼ばれる、中央部上下に黄柑色が跳ね上がるデザイン。この編成にはグリーン車サロ185が組み込まれていますが、そのサロ185の窓下には、淡緑色のグリーン車帯を復活させる念の入れようでした。グリーン車の淡緑色の帯は、昭和54(1979)年で取りやめられていますから、実に31年ぶりに復活したことになります。
この編成を管理人が写真で見たとき、大変申し訳ないのですが「グロい」「キモい」以外の感想が浮かんできませんでした。何しろ、湘南カラーが超絶に似合わない。とかく、車両のカラーリングは登場当時のそれが一番似合っている、なぜならカラーリングまで考えてデザインされているからだ、と鉄道趣味界では言われていて、カラーリングの変更で成功した例がほとんどないことなども指摘されていますが、管理人の個人的意見とすれば、185系の「湘南カラー」はまさにそれでした。
ちなみに、サロ185に入れられたグリーン車の帯ですが、あれは485系などの特急型車両には入れられていませんでした。昭和40年代の485系やキハ80系などを見ても、グリーン車の帯は入っていません。そのため185系に入れるのは、本当はおかしいのではないかと思いますが、これも同系が485系や183系などとは異なり、「完全な特急型車両ではない」が故のことだと考えるのは、短絡的過ぎるでしょうか。
同編成は平成22年9月22日に営業運転を開始し、同年10月9~11日には「特急草津50周年感謝キャンペーン」のオープニングイベントとして、新宿発着の臨時「草津」上下列車に充当され、大きなヘッドマークを掲げて運転されました。
その3年後、同編成は一般色に戻されますが、その際に田町車バージョンのブロックパターンとなり、その後すぐに斜めストライプに変わっています。
なお、一般色に戻される際、グリーン車サロ185が編成から外されて廃車となり、残った6両は波動用となりました。

【国鉄特急カラー】
こちらは「国鉄特急カラー」というよりは、往年の157系電車を模したカラーリング。ワインレッド+クリームの「国鉄特急カラー」を身にまとい、185-200の7連が平成24(2012)年2月下旬に登場し、同年2月29日に営業運転に投入されました。ちなみに、157系が「あまぎ」から退いたのが昭和51(1976)年の2月29日ですから、それからちょうど35年経ってからのこととなります。
こちらも「湘南カラー」編成と同じように、平成24年3月3日に運転された臨時列車「上州踊り子」(高崎→伊豆急下田)と上り「あまぎ号」(伊豆急下田→東京)、翌日には上下「あまぎ号」(東京-伊豆急下田)に充当されました。
この編成も「国鉄特急カラー」を纏っての活躍は3年に及び、その間に方向転換とグリーン車の位置の変更を実施、平成27(2015)年には白地に緑ストライプの塗装に戻されました。

…とこのように、185系にはいくつか「変わり種カラー」が登場しています。
その間に同系に生じた大きな変化は、所属基地の変更と集約。
まず上野口の短距離特急運用に従事していた、新前橋の185-200は、平成18(2006)年3月18日ダイヤ改正に際し、大宮総合車両センター東大宮センターへ転属しました。ちなみに、北関東の要の電車基地として名を馳せた新前橋電車区は、その前年に組織変更により高崎車両センターと改称されています。
次いで田町(平成16(2004)年に田町電車区→田町車両センターへ改称)所属の185-0と185-200についても、平成25(2013)年3月16日のダイヤ改正を期して、田町から大宮への転属が行われました。これにより、新造投入以来、田町・新前橋(→高崎)と2つの区所に配属されていた185系は、全て大宮に集約されることになりました。
なお、集約に前後して、先に大宮所属となった185-200の7連は、編成の方向転換とグリーン車の連結位置の変更(編成端から編成中央へ)を実施し、元田町所属の7連と編成内容を統一しています。これにより7連は「踊り子」系と「草津」系との運用の区別がなくなりましたが、その結果、旧新前橋のブロックパターン塗装の編成が「踊り子」に充当されたり、あるいは湘南カラーのブロックパターンの編成が「草津」などに運用されたりしました。
しかし、このような体制は長くは続きませんでした。
集約の翌年、平成26(2014)年には7連1本が「踊り子」系の緑ストライプで出場し、その後他の編成も緑ストライプに揃えられ、旧新前橋・旧田町のブロックパターン塗装は消滅しています。なお、これとは別に、平成23(2011)年7月には「踊り子号運転開始30周年」を記念し、当時田町にいた10連1本を登場当初の緑ストライプに戻し、翌年には付属編成の5連1本にも緑ストライプの塗装を施していました。こちらは純然たるリバイバルカラーの意味合いがあったものですが、まさかそのリバイバルカラーに全車が統一されることになろうとは。

次回は、185系にも必ずやってくる「その時」。それが現実化しつつあるという、後ろ向きな話題を取り上げざるを得ませんが、よろしくお付き合いのほどを。

その13(№5497.)へ続く