皆様こんにちは。ブログおよびホームページ管理人の神@北見です。

 

先日は常磐無線アンテナ取り付け車のうち、キハ28のどの車に同無線が付いていたかを検証しました。前回は検証のみでしたのでちょっと実車の姿を見てみたいと思います。ただし実車が常磐無線アンテナを取り付けていた姿自体は私は見たことが無いので、イラストを使ってご紹介いたします。

 

そもそもこの常磐無線アンテナですが、取り付け両数の最も多かった電車では、アンテナが屋根上に直接載っている形になっています。EF80やEF81といった電気機関車でも同じように屋根に直接取り付けられています。しかし、気動車については何故か屋根上に台座を設けて、その台座上にアンテナが載っています。

 

↑実車の写真が無いので模型でご紹介しますが、気動車の常磐無線アンテナはアンテナ本体に比して非常に大きな台座の上に載っており、この巨大な台座のせいで冷房車はそのクーラー配置が不均等になってしまっています。

 

↑元常磐無線アンテナ取付車のキハ28 2382です。クーラー配置が不均等で、最前部と、3個目-4個目のクーラーの間に常磐無線アンテナが付いていました。アンテナ台座を撤去したような痕跡が残っています。

 

これが非冷房車では、

 

↑非冷房車でも同じく2つのアンテナが載っています。

 

水戸配置のキハ28に常磐無線アンテナが取り付けられた1966年当初は全車が非冷房車でした。その後1970年から冷房が進みます。

 

では、昨日挙げた国鉄時代に水戸配置歴のあるキハ28のパターンを、イラストを使って見てみたいと思います。


 

キハ28 2016

 

↑キハ28 16は非冷房のまま1978年に大分に転じましたが、1979年に冷房化されておりその際に常磐無線アンテナが撤去されたものと思われます。そのためクーラーの配置は通常の冷房車と同じく均等になっています。

 

キハ28 17

 

↑キハ28 17も非冷房のまま1978年に直方に転じましたが、直方では冷房化されませんでした。ただ九州時代の写真では常磐無線アンテナは見当たらず、撤去されたものと思われます。

 

 

キハ28 24

 

↑水戸のキハ28では少数派の4VKを搭載しない冷房車です。この仕様は24・83・370の3両が存在しました。アンテナ付きの状態から冷房化されたので、クーラー配置は常磐無線アンテナ対応になっており、同アンテナも装備しています。

 

 

キハ28 38・52・54

 

↑代表でキハ28 38です。これら3両も4VKを搭載しない冷房車ですが、千葉からの転入車ですので常磐無線アンテナは装備しておらず、正面貫通ドアには千葉ヘッドマークステイが付いています。アンテナ無しなので常磐線水戸以南で先頭に立つ機会はありませんでしたが、水郡線内などでは先頭に立つこともあった事でしょう。

 

 

キハ28 64

 

↑豊岡・福知山に配置されていた数少ない非冷房車でした。正面は後藤工場で前面補強され後藤顔になっていましたが、屋根上に常磐無線アンテナ台座及び配線が残っており、水戸以外の地域では非常に珍しい形態でした。同車は1980年に水戸から豊岡に転じた車です。

 

 

キハ28 82

 

↑同車は1980年に長野に転じた車です。先の64と同じく常磐無線アンテナの台座などが残っており、長野では珍しい車でした。

 

キハ28 83

 

↑38と同じく4VKを搭載しない冷房車で、水戸に長く配置されていたことから常磐無線アンテナも搭載していました。しかもこの車は何とJRへ継承されており、珍しい車でした。

 

↑JR化後です。常磐無線アンテナは無くなり全国統一無線になりましたが、4VKを搭載し無い姿やクーラー配置が不均等なところが非常にレアな車でした。

 

キハ28 2103

 

↑秋田時代のキハ28 2103です。当車は1980年まで和歌山に在籍していましたが「55-10改正」で水戸に転じ、「57-11改正」で山形へ転じました。非常に短期間の水戸配置で、当然常磐無線アンテナは搭載していません。余談ですが当車は一時期角型のAU13クーラーを搭載しており異彩を放っていました。

 

 

キハ28 122

 

↑82と同様に1980年に長野に転じました。当車は「いわき」運用に入ることが想定されたのか、スノープロウを付けていました。常磐無線アンテナを取り付けていましたが、長野転属時にアンテナのみ撤去されて台座などが残っていました。

 

 

キハ28 2124

 

↑水戸に新製配置された122~124のうち2124のみが4VKを搭載し冷房化されました。当車はJR化後も常磐無線アンテナ台座を残しており珍しい車でした。

 

 

キハ28 2138

 

↑この車はJR化後に水郡線から新津へ転じた車でした。当然常磐無線アンテナ対応車で、新潟に転じた後も異彩を放っていました。

 

 

キハ28 2139

 

↑上の2138と兄弟車ですが、この車はJRへ継承されず廃車になりました。「83」なんて残すくらいならこの車を残せばよかったのに…。形態的には通常の常磐無線アンテナ対応の冷房車です。

 

 

キハ28 2168

 

↑2138と同じくJR化後に水郡線から新津へ転じた車です。この車も常磐無線アンテナ対応で2138と似ているように見えますが、当車はクーラーが最期まで角型のAU13でありそのクーラー配置と共に異彩を放っていました。
 

 

キハ28 182

 

↑1978年に非冷房のまま水戸から直方に転じました。直方では非冷房のまま活躍しました。九州時代の写真では常磐無線アンテナは見当たらず、台座を含めて撤去されたものと思われます。

 

 

キハ28 190

 

↑非冷房車のままでしたが水戸ではJR化直前まで活躍しており常磐無線アンテナを取り付けていました。当車は千葉配置歴が無いにも関わらず千葉ヘッドマークステイが付いており、隣区であることから貸し出しがあったのではないかと思われます。

 

 

キハ28 191

 

↑上の190とほぼ同じ一生を辿りましたが、当車は千葉ヘッドマークステイが付いておらず、これで区別が出来ました。常磐無線アンテナは当然取り付けています。

 

キハ28 2318

 

↑1980年に和歌山から水戸へ転入した車です。1980年には2103・2172・2318の3両が水戸に転入しましたが2103・2172は1982・1984年に秋田局へ転属しており、2318のみがその後も長く水戸地区で活躍しました。真岡線転換の際に山形に転じ最後はアコモ改造・更新改造の後小牛田で一生を終えました。水戸には比較的長く在籍しましたが、転入時には既に常磐無線アンテナ無しの冷房車であったため、そのままでした。

 

これ以降は全て水戸生え抜き車になります。

 

キハ28 370

 

↑4VKを搭載しない冷房車は0番台車が大半でしたが、当車は300番台車で唯一の4VK無し冷房車でした。そして常磐無線アンテナ取付車でもありました。この車は83と同じくJRへ継承されており、珍しい車でした。

 

 

キハ28 2371

 

↑2300番後半には水戸生え抜き車が大量に存在しました。当車は晩年新津に残ったキハ58系の最後の車となり、急行色に塗り戻されて人気でした。当然ながら常磐無線アンテナ取付対応車でした。

 

 

キハ28 2372

 

↑水郡線のキハ110系化後は小牛田に転じましたが、新庄のアコモ改造車と交換され晩年は「月山」で活躍しました。当然ながら常磐無線アンテナ取付対応車でした。

 

 

キハ28 378

 

↑この車は冷房化から漏れ、非冷房のままJRに継承されなかった可哀そうな車でした。常磐無線アンテナを取り付けていました。

 

 

キハ28 2379

 

↑真岡線転換時に秋田に転じました。同じく秋田の2124と異なり、常磐無線アンテナは台座を含めて撤去されています。

 

 

キハ28 2380

 

↑元常磐無線アンテナ取付車で唯一更新・アコモ改造された車でした。

 

 

キハ28 2381

 

↑この車は水郡線キハ110系化後も波動用として水戸管内に残留しました。当然ながら常磐無線アンテナ取付対応車でした。

 

 

キハ28 2382

 

↑水郡線のキハ110系化後は長野に転じました。下の2383と似ていましたが当車はワイパーが原形のままで区別が出来ました。当然ながら常磐無線アンテナ取付対応車でした。

 

 

キハ28 2383

 

↑水郡線のキハ110系化後は長野に転じました。当然ながら常磐無線アンテナ取付対応車でした。

 

 

キハ28 2384

 

↑水郡線のキハ110系化後は小牛田に転じました。当車は水戸時代に前面補強未施工で、JR化後に郡山工場で前面補強されたため独特の形態でした。当然ながら常磐無線アンテナ取付対応車でした。

 

 

キハ28 2391

 

↑水郡線のキハ110系化後は小牛田に転じました。当車は新津からキハ28 2506の転入により早々と運用から離脱しており水郡線色のままでした。当然ながら常磐無線アンテナ取付対応車でした。

 

 

キハ28 2392

 

↑水郡線のキハ110系化後は小牛田に転じました。当車は小牛田の一般車では末期まで残留し、そのため灰色の台車や、キハ48に準じた汚物処理タンクが取り付けられるなどの特徴がありました。当然ながら常磐無線アンテナ取付対応車でした。

 

 

キハ28 2393

 

↑キハ28 2381と同様に波動用として水郡線に残留した車でした。上の2391と似ていますが2391は小牛田配置なのでコマツ製エンジン、水戸残留車はカミンズエンジンでした。当然ながら常磐無線アンテナ取付対応車でした。

 

 

キハ28 405

 

↑水戸配置車では車齢の若い車ですが、冷房化されない哀れな車でした。ただし車齢が若いためかJRへ継承されました。そのためJR化後の水戸では非常に珍しい非冷房車でした。当然ながら常磐無線アンテナ取付車でした。

 

 

キハ28 2446

 

↑水郡線のキハ110系化後は小牛田に転じました。この車は水戸のキハ28では最も車齢の若い車でした。機関換装前は、車体側面の機関冷却水給水口が車体中央付近にあり、尾灯が外ばめ式になったグループです。

 

↑実車のキハ28 2446です。他の常磐無線アンテナ取付対応車と同じくクーラー間隔が不均等です。当車は機関冷却水給水口が斜体中央付近にあるグループですが、機関換装時に給水口が撤去されているので良く分かりません。

 

↑私は、Tomix製の氷見線セットに入っているキハ28を急行色に塗り替えたうえで常磐無線アンテナ取り付けを行い、この2446を再現した「つもり」でした。

 

このキハ28 2446は小牛田時代に目撃しているのであまり気にしていませんでしたが、国鉄時代の急行「ときわ」の写真を見ていると、常磐無線アンテナの前のものが極端に前位側に寄っている車が発見され、どうやら調べてゆくとこれはこのキハ28 2446であることが分かりました。

 

↑発見した資料を基に描いたイラストですが、前寄りのアンテナが極端に前位側に寄っているように見えました。

 

なぜこの車だけこのようにアンテナ位置が前にずれているのか意味が分かりませんでしたが… よくよく考えるとある理由に気づきました。この2446は冷房化前は水戸のキハ28では唯一の通風器8個車で、デッキ上に追加された通風器を避けるために前寄りのアンテナが更に前位寄りに寄っているのだと推測されました。つまり…

 

 

↑キハ28 446の時代は、このように前位側通風器を避けるように前のアンテナが通風器の更に前に付いていたものと思われます。そして冷房化された際もこの前のアンテナがそのままの位置で冷房化されたのでしょう。そのためこの2446のみはアンテナ位置が他車と違うのだと思われます。

 

キハ28 446の非冷房時代の写真が発見できていないのでこれの真偽は不明ですが、この車だけ位置がおかしい事から恐らくこの推察は正しいのではないかと思っています。

 

ということは…

 

↑以前キハ28 2446を模型で製作しましたが、実車のアンテナの位置はこの位置では無くてもっと前に付けなければならないということですね…。ということはやり直しかぁ…。

 

国鉄時代の水戸には残念ながらモデルチェンジ車は配置されていませんでしたのでこの2446が水戸区キハ28のラストナンバーになります。もし水戸にモデルチェンジ車がいたらどのような形態になっていたのでしょうかね?

 

今回は国鉄時代水戸区のキハ28形態のおさらいでした。1966年に水戸に在籍していた車は全車アンテナ付きであったということになりますね。ただし取り付け位置や冷房化、後の取り付け未対応車の転入、アンテナ取り付け車の他区への転出など話題は意外と豊富でした。続きは2エンジンのキハ58をご紹介しようと思っております。

 

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。それでは次回もお楽しみに!!

 

是非私のホームページ

 

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にもキハ58系各車の解説がありますのでご覧になってください。