「JR西日本 関西どこでもきっぷ」の研究。お得に使いこなすには?

関西広域特急乗り放題

JR西日本の関西エリアが乗り放題になる「JR西日本 関西どこでもきっぷ」が発売されます。「JR西日本 どこでもきっぷ」のカゲに隠れがちですが、関西広域で特急乗り放題という、レアなきっぷです。使いこなし方を研究してみましょう。

※4月12日に当面の販売見合わせが発表されました。

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関西広域乗り放題

「JR西日本 関西どこでもきっぷ」は、JR西日本の関西広域が乗り放題になるフリーきっぷです。フリーエリアは、大阪、京都、滋賀、福井、三重、奈良、和歌山、兵庫、鳥取、岡山の10府県またがます。こうした「関西ワイドエリア」を対象にしたフリーきっぷは、あまり発売されたことがありません。

新幹線・特急も乗車可能で、2日間有効。平日、休日ともに使えて、ゴールデンウィークも利用期間に入るなど、利用しやすいきっぷです。1人でも利用でき、鉄道ファンの乗りつぶしを「容認」する設定になっています。

ただ、同時発売の「JR西日本 どこでもきっぷ」(全線版)のインパクトがあまりにも大きかったので、「JR西日本 関西どこでもきっぷ」のカゲは、やや薄い観もあります。ここでは、その使いこなし方を研究してみましょう。

JR西日本関西どこでもきっぷ
画像:JR西日本

「JR西日本 関西どこでもきっぷ」の概要

まずは、「JR西日本 関西どこでもきっぷ」の概要は以下の通りです。

■発売期間
2021年4月16日(金)~6月22日(火)
※購入は出発日1か月前から7日前まで。

■利用期間
2021年4月27日(火)~2021年6月30日(水)
※6月29日出発分まで発売。

■有効期間
連続する2日間

■価格
おとな10,000円 こども5,000円
※こどものみの購入は不可

■利用条件
普通車指定席が6回まで利用できます。きっぷの受け取り後、または旅行開始後の指定席の変更は原則としてできません。追加予約は可能です。

■発売箇所
JR西日本のインターネット列車予約「e5489」か、JR西日本管内の主な旅行会社で発売。駅のみどりの窓口では発売しません。e5489の場合、上越妙高駅や亀山駅など、JR西日本以外の駅ではきっぷを受け取れません。

■フリーエリア
「JR西日本 関西どこでもきっぷ」は、京阪神・滋賀・奈良・和歌山・福知山と岡山の一部エリアのJR西日本線(新幹線・特急を含む)と智頭急行全線(特急を含む)の自由席が乗り放題です。

ただし、サンライズ出雲・瀬戸はノビノビ座席を含めて利用できません。「WEST EXPRESS銀河」は全設備を利用できません。

具体的なフリーエリアは以下の通りです。

関西どこでもきっぷフリーエリア
画像:JR西日本
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座席指定のルール

「JR西日本 関西どこでもきっぷ」では、指定席を6回まで利用可能ですが、座席指定に関しては制約があります。簡単にいうと、旅行開始後に座席指定の変更ができません。

もう少し細かく書くと、「e5489」で購入した場合、きっぷの受取前は「e5489」から指定席の予約ができます。きっぷの受取後は、JR西日本のみどりの券売機で指定席の予約・追加ができます。

座席指定の変更については、きっぷ受取前は、予約されている行程で最初に出発する指定列車の出発時刻までなら、指定席の変更ができます。しかし、きっぷ受取後や、最初の指定列車の出発時刻後は、指定席の変更ができません。

旅行会社で購入した場合は、購入時に「指定席交付記録券」を渡されます。これを使って、JR西日本管内の主な旅行会社およびJR西日本の主な駅のみどりの窓口で座席指定できます。

旅行会社購入の場合も、使用開始前(最初の指定列車の出発時刻前)であれば、きっぷを購入した旅行会社店舗で変更できますが、きっぷの使用開始後は、指定列車の変更はできません。

いずれにせよ、出発前に座席指定をしてしまうと、旅の途中で指定席券の変更ができなくなるわけです。出発後でも、未指定分に関しては追加予約が可能なので、予定変更を想定している場合は、予約回数を残しておく方がよさそうです。

ということで、指定席は絶対に着席したい列車、または、全車指定席の列車の予約にとどめておき、それ以外は自由席での旅行を主体にするといいでしょう。

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元を取るには?

さて、「JR西日本 関西どこでもきっぷ」は2日間10,000円。新大阪~岡山の自由席価格が5,610円なので、岡山往復で元が取れてしまいます。

特急利用の場合、大阪~鳥取なら自由席で6,590円、大阪~敦賀が4,170円、新大阪~白浜なら4,840円なので、大阪発の場合、エリア外縁近くの主要駅まで往復すれば、おおむね元が取れます。つまり、深く考えずとも、京阪神からエリア外縁まで2日間旅行するなら、「関西どこでもきっぷ」は役に立つでしょう。

ただ、京阪神を起点とした単純往復では、それほどお得感が高いというわけではありません。たとえば、岡山往復なら「新幹線直前割きっぷ」で3,900円など、別の期間限定割引きっぷもあります。確認しておきたいところです。

特急無制限を活用する

「JR西日本 関西どこでもきっぷ」の真骨頂は、関西広域の特急列車自由席に無制限に乗れることですから、使いこなすには、この特徴を活用しない手はありません。

フリーエリア内を走る特急は、新幹線のほかに、「サンダーバード」「びわこエクスプレス」「らくラクはりま」「きのさき」「まいづる」「こうのとり」「はまかぜ」「スーパーはくと」「スーパーいなば」「くろしお」「はるか」などがあります。こうした特急を乗り比べする旅こそ、「関西どこでもきっぷ」が威力を発揮します。

関西近郊の特急の多くは自由席が連結されていますが、「はまかぜ」「びわこエクスプレス」「らくラクはりま」のように全車指定席の列車があります。6回分の指定席券はこうした列車を中心に使っていくといいでしょう。

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「休日ぶらり」もある

関西広域という設定上、フリーエリアの中心を占めるのが大阪近郊区間です。そのため、このエリアを乗りつぶすだけなら、特急乗り放題は不要かもしれません。ならば、期間限定で発売されている「関西近郊 休日ぶらり旅きっぷ」(1日2,500円)と比較するといいでしょう。フリーエリアは以下の通りです。

関西近郊休日ぶらり旅きっぷ
画像:JR西日本プレスリリース

「関西近郊 休日ぶらり旅きっぷ」の詳細については、こちらの記事をご覧ください。

「関西近郊 休日ぶらり旅きっぷ」は、土休日限定で、特急には乗車できません。ただ、関西近郊の乗りつぶしなら快速・新快速で十分事足りますし、土休日なら比較的空いているので、快適に旅行できます。

新型コロナウイルス感染症が収束しない局面でもありますし、しっかりとした対策をしながら、自分の旅に最適なきっぷを見つけて静かに旅をしたいところです。(鎌倉淳)

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