【再活用なるか】湘南ライナー引退後の215系に連結訓練・疎開回送の動きが続く

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2021年3月のダイヤ改正により定期運用を終了して、その去就が注目される215系。

4月7日より国府津車両センターにて配給輸送の準備となる“連結訓練”が実施されています。

215系の疎開の動き

2021年3月12日の“湘南ライナー”・“おはようライナー新宿”を以って、215系がデビュー以来使用されていたライナー列車が特急化したことで定期運用を退いています。

その後は一旦全編成が所属区である国府津車両センターへ戻ったのち、週明けより“疎開”の動きが始まりました。

最初に使用されることとなったのは平塚駅構内の電留線です。

以降は定期的に疎開編成が国府津に戻り、別の編成が送り込まれる体制が続いています。

また、4月に入ってからは新たに湯河原への疎開の動きが実施されています。

以上の動きのように、215系の疎開・返却の動きは5日に1度車両を入れ替えるサイクルで実施されています。

編成番号疎開場所と日程
NL-1編成4/4 国府津→平塚
4/9 平塚→国府津
4/10 国府津→湯河原
NL-2編成3/20 国府津→平塚
3/25 平塚→国府津
3/30 国府津→平塚
4/4 平塚→国府津
NL-3編成3/15 国府津→平塚
3/20 平塚→国府津
4/5 国府津→湯河原
4/10 湯河原→国府津
NL-4編成国府津

これは、平塚駅・湯河原駅では“仕業検査”を実施する体制にないことから、6日間の期限ごとに国府津へ戻る必要があることが背景と推察出来ます。同様の動きはE217系の横須賀・湯河原の疎開の動きでも確認出来ます。

これまでの動きが規則的ですので、今後も疎開の措置が終了するまではこの光景を見ることが出来そうです。

国府津から動きを見せないNL-4編成

上記の疎開の動きからも分かる通り、これらの疎開措置はNL-1〜3編成が対象となっており、ラストナンバーのNL-4編成は一切の動きがありません。

これは、2020年にNL-1〜3編成が引退間際ながら相次いで定期検査を施工するなか、NL-4編成は前回検査が2017年3月とギリギリ検査対象から外れたことが背景と推察出来ます。

皮肉にも、構内から一歩も出ないEF64形・EF81形電気機関車との連結訓練もこの編成を使用して実施されています。

これらの事情から、昨年の251系RE-3編成がそうだったように、検査期限ギリギリの編成は真っ先に廃車とされる候補となってしまう可能性が高そうです。

長野までは自走できるはずが……

215系は従来より中央東線の臨時列車「ホリデー快速ビューやまなし」で活躍していたように、オール2階建ての設計ながら中央本線に点在する“狭小トンネル”に対応した設計となっています。

用途廃車として一般的な“長野送り”を考えた場合、本来であれば自走で長野まで走行するのが最も合理的です。

しかしながら、4月7日にはEF64形1030号機と連結訓練を実施しただけでなく、翌8日にはEF81形134号機(両機とも長岡車両センター所属)との訓練も同様に実施されました。

EF81形自身が中央線高尾駅以西の走行が不可能であることを考えると、何らかの理由で“長野送り”以外の動きが想定されているものと推測できます。

最もシンプルな理由としては、解体を長野総合車両センターではなく郡山総合車両センターで実施することが挙げられます。

2021年3月のダイヤ改正では215系以外にも185系「踊り子号」と房総各線で活躍していた209系の一部に廃車が見込まれるほか、現在も横須賀線・総武線快速電車ではE235系投入とE217系の代替が進行中です。

解体予定車両全てを長野で行うよりはレール輸送用貨車の解体程度で負荷の低い郡山で行う……という動き自体は不思議ではありません。

このほかの過去のEF81形の使用例に則れば、秋田・郡山の総合車両センターにて何らかの転用改造を受けることも想像できます。

215系は両端が電動車・中間が付随車、2扉で2階建てと特殊用途での活用には最適な車両設計とも言えそうです。

かつて八王子支社が211系のグリーン車をキープしていたことが知られていますが、今後も引き続き中央線方面の臨時列車で活躍するのであれば、耐寒耐雪改造を施して通年運用可能とするなどは考えられなくもありません。

ただし、同世代の205系・211系に廃車が進行していることを考えると、走行距離が短いとはいえ経年車で特殊な設計も多い215系の再活用には疑問符が付きます。

このほか、他社譲渡・海外譲渡などの動きも考えられます。

JR東日本の総合車両センターで他社車両の改造を手がけた事例は少なくはなく、面白い事例ではJR東海の371系を長野総合車両センターに持ち込み、「富士山ビュー特急」8500系として事例などが挙げられます。その他の205系富士急譲渡も同様の動きとなっています。

また、海外譲渡では、新潟県の総合車両製作所新津事業所・千葉県の蘇我駅から京葉臨海鉄道経由での実施例があり、ともにJR東日本のEF81形の登板事例がありました。

4編成という小所帯がネックですが、215系のような設計の出物は他に考えにくく、国内外の事業者が興味を示すことは十分あり得るでしょう。

デビュー時にはオール2階建て10両の快速アクティーとして沿線利用者に好評だった215系。晩年は乗降時間や両数などの課題でライナー運用のみに留まり、そのライナーではボックスシートの“ハズレ枠”と何かと不遇な車両でした。

再び脚光を浴びる機会はあるのか、転用するならどこで活躍するのか……。今後の動向が気になります。

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