Osaka Metro御堂筋線21系第15号編成中間更新後の試運転 令和元年9月18日(水) | ふなたんのブログ

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大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)緑木車両工場第2改修場にて中間更新改造(1)・車内リフレッシュ改造(2),ホームドア(可動式ホーム柵)設置に伴う乗務員を支援する列車定位置停止支援装置(TASC)設置する信号設備高度化などの改造(鉄道車両の製造を手掛ける近畿車輛が改造工事を実施)および緑木車両工場で臨時検査(3)を行っていた御堂筋線用21系第15号編成が営業線上で車両性能や各種機器の動作確認などを行う出場前の試運転を令和元(2019)年9月18日(水)四つ橋線北加賀屋駅-難波駅間で2往復実施しました。

 

平成3年に登場した21系も当初に登場した編成が20年以上が経過,電子機器の経年劣化起因する故障が見られること車体や室内においても劣化が目立ち始めていることから機器更新、車体改修を一括した中間更新,利用客のさらなる利便性,快適性の向上を目指した車内リフレッシュ改造を平成24年度より第07号編成から順次実施されています。全18列車が対象で第15号編成の竣工で14列車(第01~13号編成,15号編成)が完了しました。

 

〈註釈〉

(1)車両寿命の中間期において制御装置やブレーキ装置などの主要機器を更新する工事で,Osaka Metroは「中間更新」と呼んでいます。現在,新20系(御堂筋線21系,谷町線22系,四つ橋線23系,中央線24系,千日前線25系),堺筋線66系,長堀鶴見緑地線70系の各車両が対象となっています。開始時期は,新20系と70系が平成22年,66系が平成24年です。ステンレス製の車両は車体の洗浄,号車表示の新設,70系は再塗装および号車表示の新設が行われています。

(2)車内のリフレッシュ改造:主な改造は,座席のバケット化,座席中央に縦手すりの設置,扉開閉予告灯(赤色)の設置,床敷物の貼替,乗降扉上部に路線案内表示器設置(21系第07号編成,22系第03・04・07号編成,23系第01・02・04号編成,25系第01~17号編成),乗降扉上部の車内案内表示器をLED式から液晶式へ変更(平成26年以降の改造車両で,66系・70系を除く),乗降扉付近につり手増設,一部高さが低いつり手への変更などです。平成27年度改造の一部の車両から走行する路線の特徴を活かしたデザインを採用したデザイン変更車となっています。

(3)車両を新製または購入したとき,改造または修繕したときなどに臨時の検査を行います。車両の一部または全般にわたり行われる検査,関係する機器のみを行う検査など状況に合わせて臨時に実施する検査をいいます。

 

※:21系第15号編成を試運転終了後に緑木車両工場(敷地外より)で確認したところ,交換した機器等のみが綺麗で台車など他の走行装置関係は定期検査時に行われる再塗装が実施されていないため臨時検査を行ったと推測しました。

 

▲中間更新改造・車内リフレッシュ改造を終えて車両や機器などに異常が無いか確認を四つ橋線で行う御堂筋線用21系第15号編成(21615以下10連),「試運転」。中間更新で制御装置やブレーキ装置(空気制動装置)などをOsaka Metro最新車両30000系に準じた機器(VVVFインバータ制御装置をGTO(ゲートターンオフサイリスタ)素子からIGBT(絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ)素子を使用したベクトル制御方式に,空気制動装置は,必要な制動力に対して回生制動と空気制動の演算を行う回生制動併用電空演算装置付き全電気指令のOEC-4M)へ更新されています。画像は1往復目の往路で,撮影した駅ではブレーキ関係の確認試験が行われました。

 

四つ橋線玉出駅にて

 

▲1往復目の復路として難波駅から折返してきた21系第15号編成(21915以下10連),「試運転」。往路とは違う試験が行われていると思われます。TASC関係機器設置の為,21915号車・21615号車の乗務員室背後の窓の横の長さが縮小されています。

中間更新により,制御装置をIGBT素子を使用したベクトル制御方式に更新したことで空転や架線電圧の変動などの外乱に強いシステムに変更されています。

 

四つ橋線花園町駅にて

 

▲2往復目復路の走行機能確認検査を行う21系第15号編成(21615以下10連),「試運転」。

1往復目の復路と異なり通過していきました。力行加速度,制動距離ならびに走行時の異常の有無の確認などが定期列車の合間を縫いながら入念に行われています。

中間更新でATC(自動列車制御装置)の更新や行先表示装置のオーバーホールなどが行われています。

 

四つ橋線玉出駅にて

 

▲中間更新・車内リフレッシュ改造,TASC設置する信号設備高度化などの改造ならびに臨時検査を行いその最終確認試験として四つ橋線北加賀屋駅-難波駅間で走行機能確認検査を2往復実施していた21系第15号編成(21915以下10連),「試運転」が緑木車両工場の最寄となる北加賀屋駅に入線してきます。到着後,本線上での試験が終了となります。

 

▲北加賀屋駅2番線に留置中の四つ橋線用23系第20号(?)編成と並ぶ御堂筋線用21系第15号編成,「試運転」。中間更新施工により,21系第15号編成の先頭車両となる21915号車・21615号車の前面窓の電動ワイパの取付位置の変更や前照灯のLED化が実施されています。運転台は主幹制御器(力行),制動制御器(ブレーキ)は横軸式2ハンドルから主幹制御器と制動制御器が一体となったT形ワンハンドル式に交換されています。速度計や圧力計はデジタルからアナログに変更されました。

 

▲中間更新・車内リフレッシュ改造が施工された21系第15号編成の21515号車の側面。中間更新の工事メニューの1つの車体洗浄実施により車体が再び綺麗になりました。30000系に準じて幕板(行先表示装置の上部)にも号線カラーが入り,車両端部にも縦方向の号線カラーを追加し号車番号表示も取り入れられています。画像には写っていませんが,側面上部に車両番号標記が新設されています。

方向幕の書体は「ヒラギノUD角ゴ/Parisign」に交換され,側面の方向幕(画像)は駅番号の入ったものとなっています。

 

▲乗降扉上部の車内案内表示装置は大型の32インチハーフタイプの液晶式となっています。1両につき4基設置されています。各乗降扉に開閉予告灯が設置されています。

6人掛け座席中央にに縦手すり(立席ポスト)の設置,定員着座促進のためバケットシートに変更されています。乗降扉部のつり手増設が行われ,乗降扉識別表示(車両乗降部の注意喚起)として黄色のラインが追加されています。

21系は平成7年竣工分(第14号編成)から乗降扉窓が複層ガラスに変更されています。第15号編成は全車両が乗降扉窓複層ガラス車として初の中間更新・車内リフレッシュ改造が施工された編成となりました。

 

▲21系第15号編成の車内リフレッシュ改造は,平成年30度施工車両以降のデザインとなっています。床敷物を「石目模様のストライプ」柄,乗降扉の化粧板を袖仕切板とともに木目柄に,乗降扉の両脇の部分を連結部分の貫通扉とともに御堂筋を表す赤色にそれぞれ変更され「穏やかな御堂筋」を表現しています。

 

▲2往復の試運転を終えて北加賀屋駅から分岐する出入庫線を通り緑木車両工場へ戻る21系第15号編成(21615以下10連)。緑木車両工場・検車場へ到着後,編成を5両,5両に分割し緑木車両工場へ入場し最終確認を行った後,再び編成を10連に組成し御堂筋線の車両が所属する中百舌鳥検車場へ出場回送されます。

本線上での試験を終えて緑木車両工場へ戻る際も車両の試験は続くため,車両最後部となる21615号車の運転席に各種機器の動作確認や試運転を担当する「試験班」に所属する検査員の方が運転台の計器類やモニター画面を真剣な眼差しで確認しています。

「試運転」列車を含め「試験班」の方々は客室内でも機器の動作確認や走行時の異常の有無などを行っていました。一部の車両車内で床に近い機器の動作確認を行うため床にうつ伏せ状態で確認を行っている検査員の姿もありました。また改造工事を担った「近畿車輛」の方々も見られました。

 

以上6点,四つ橋線北加賀屋駅にて

 

〈参考文献〉

・「鉄道ピクトリアル 2019年8月臨時増刊号 特集:大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)」

・「鉄道ピクトリアル 2012年10月臨時増刊号 鉄道車両年鑑2012年版」

・「鉄道ファン 2019年6月号」内の「新生Osaka Metroガイド10系・10A系・20系・新20系編」