【目隠しダイヤ】185系OM09編成が配給輸送で東大宮から長野へ“廃車回送”

スポンサーリンク

2021年3月で定期運行を終了した185系。前週のA6編成に引き続き、2021年3月31日から4月1日にかけて、OM09編成7両が長野総合車両センターへ旅立ちました。

OM09編成の生い立ちから現在をおさらいしつつ、変更されたダイヤの設定経緯を考察します。

3編成の小所帯で奮闘!EXPRESS185塗装で最後まで活躍

今回輸送された編成は、185系200番台・大宮総合車両センター東大宮センター所属のOM09編成です。185系200番台として最後に製造された編成で、クハ185-315(最後)を含む“ラストナンバー”でした。

他の185系同様に新幹線リレー号と高崎線特急を担うために誕生したグループで碓氷峠越え対応車両となっており、東北新幹線の都心乗り入れ開業後も当時の新前橋電車区を離れず、高崎線・上越線・吾妻線で「草津」「水上」「あかぎ」などで活躍をして現在の東大宮センターにやってきました。

2013年から2015年にかけて651系が常磐線から高崎線への転用・田町車両センター所属車両の集約・踊り子号定期列車削減など運用整理で一部編成の除籍と波動用編成化の動きを耐え、3編成のみとされた7両編成の185系として活躍の場を東海道線に移しました。

これらの動きが始まった当初は“上野口”の185系に施されていた「EXPRESS185」のロゴマークが印象的なカラーで東海道線を駆けて注目され、この塗装を最後まで維持した編成が今回輸送されたOM09編成でした。

東海道線転用後も湘南ライナー・ホームライナー小田原・7+5両の踊り子号・上野東京ライン開業で生まれた我孫子駅発着の臨時踊り子号など小所帯ながら幅広い活躍を続けていました。

最終運用はダイヤ改正前日となる2021年3月12日のホームライナー小田原21号とその後の東大宮への返却回送でした。

同日には同じく7両で活躍していたOM04編成・OM08編成が疎開回送しており、OM編成の“ラストラン”を務めたOM09編成が真っ先に廃車に関連する動きとなりました。

徹底目隠し!“撮らせない”ダイヤ

今回の配給輸送で注目される点は、やはり前週に施行されたA6編成の配給輸送から一転して都心部を夜に発車・長野に朝到着するというダイヤ設定が挙げられます。

業務用の臨時列車のダイヤ設定は旅客需要の制約を受けないため、出発地・目的地の受け入れ都合・機関車運用(A運用)・乗務員行路(予備交番運転士のB運用)の効率を考えつつ、通常列車の合間を縫って設定されることとなります。

午後の中央東線を下って夜の長野に到着する業務用列車は長年に渡って実施されており、廃車関連の配給輸送に限っても2006年に鉄道博物館建設に関連して廃車車両の解体が長野へ移管されて以降に頻繁に実施されており、15年の歴史があります。

過去に都心部を夜に出発した事例は、201系のうち狭小トンネル非対応だった青梅線・五日市線用の“青編成”の一部がありました。

こちらは上越線・信越本線(現在のしなの鉄道北しなの線・えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン)経由で設定されていたため、昨今の事例とは関連はありません。こちらが近場の中央本線経由とされなかった理由は豊田車両センターの構内配線の都合などが背景に考えられます。

一方で、昨年から実施されていた廃車関連の配給輸送の深夜走行ですが、251系の後半2回を皮切りに651系伊豆クレイル号、E217系の基本・付属のそれぞれ初回で実施されました。

今後もこういった設定が続くかに思われましたが、E217系の3回目の輸送から再び午後発深夜着の従来に近い設定へ戻されました。

推測の域を出ませんが、様々な背景から従来の午後発深夜着のダイヤが最も合理的で、本来はこのダイヤで設定したいことが考えられます。

長野県内は朝ラッシュの直前に長野へ滑り込むダイヤ設定となっており、万が一前週のような車両故障で遅延が生じた場合、単線がほとんどの篠ノ井線内の通勤輸送に支障が出ることとなります。長野支社にとってはデメリットしかありません。

また、貨物列車の合間・続行とはいえ、貴重な深夜の保守作業の時間が削られること、深夜帯は前後に定期列車が存在しないため乗務員の送り込み・戻しの便乗行路を設定する制約が大きいことなどを含めると、本来の篠ノ井線の終電続行で長野に到着することを基としたダイヤが合理的であることも納得が行くところです。

さらに細かいダイヤを掘り下げると、初めて夜の出発とされた251系RE-1編成の事例では、始発駅となる東大宮操車場を23時前に出発し、武蔵野線新秋津駅で後続列車の通過待ちをするなど、まだ撮影の余地があるダイヤとされていました。

その次となるRE-4編成の事例では、今回の185系と同じく“目隠し”を考慮したと推察出来るダイヤ設定となっています。この事例では大宮駅を京浜東北線が“目隠し”となる3番線に入れた一方で、八王子駅は中2番線で貨物列車が居ない限られた時間ながらも編成絵も撮影可能なダイヤとなっていました。

そして今回の事例では、大宮駅は251系RE-1編成の事例に近づけられているものの、中央線の時間調整駅を駅構内から撮影が出来ない日野駅に変更が加えられています。

昨年は前者が新秋津駅にて、後者が八王子駅にて大小トラブルが見られましたので、対策が重ねられた結果として“撮らせない”ダイヤが生まれてしまった……とも言えそうです。

このほか、八王子駅で一旦追い越した貨物列車に甲府駅で追い越されるダイヤとなっていること、特急で1時間前後の八王子〜甲府間を前後の貨物列車の制約を受けながら1時間50分かけて低速で走行するなど、お世辞にも効率的なダイヤ設定には思えません。

また、編成長の違いによりダイヤ設定が変えられている事例は秋田総合車両センターから首都圏への配給輸送の事例(短編成は午後発早朝着・長編成は早朝発夕方着)がありますが、185系廃車配給については編成長との因果も考えられません。

細かいところでは、駅係員を警備に出場させる場合においても、早朝・深夜帯は仮眠時刻をずらして設定する都合で人手が手薄となる時間帯で、この時間帯に余計な業務が生まれることは好ましいとは言えません。

これらの様々な状況を総合すると、多くの方が予想するように、前週の輸送での騒ぎに関連して止むを得ず変更されたものと考えるのが最も自然と言わざるをえません。邪推であって欲しいところですが、他に納得の理由も見つかりません。

前年の251系とは異なり編成数が多いために設定回数が多い185系の配給輸送。今後も時々動向をお伝えできればと思います。

関連記事はこちら

コメント

  1. Q2 より:

    しかし、長い間特急や湘南ライナーで安定的に、しかも風光明媚な名所をしっかり撮りやすい時間帯に走るダイヤで使われてきたのに、あまり見向きしなかった者が、たいしてよい写真にもならない制約だらけの廃車回送だけに犯罪まがいの行為を重ねて狂奔するのも、滑稽な話。