【新快速通過駅】通勤特急「らくラクはりま」大久保駅に新規停車の理由を探る

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3月13日のダイヤ改正により、JR西日本が運行する通勤特急「らくラクはりま」の新たな停車駅として新快速通過駅の大久保駅(兵庫県明石市)が加わりました。

なぜ新快速が通過する駅に特急列車が停車したのでしょうか。その理由を探っていきたいと思います。

2019年改正で登場!通勤特急「らくラクはりま」

通勤特急「らくラクはりま」は新大阪~姫路間を走る特急列車です。2019年3月のダイヤ改正でデビューしました。運行本数は平日のみの1日上下各1本となり、新大阪行きは姫路発6時21分、姫路行きは新大阪発18時57分です。

このように通勤客を意識した特急列車なので、駅では「通勤特急」と放送されます。なおJR神戸線(東海道・山陽本線)下り大阪発18時台~20時台にかけて、姫路方面行きの特急列車は「らくラクはりま」「スーパーはくと」「はまかぜ」によりおおむね1時間間隔で運行されています。

使用車両はきのくに線(紀勢本線)特急で使用される289系6両編成です。北陸新幹線金沢延伸に関連した運用整理で683系2000番台「しらさぎ」から改造された車両となっています。

この列車は上下ともに全車指定席となっています。JR西日本では「らくラクはりま」の利用を促進するために、「期間限定 定期券併用チケットレス特急券」(現在は休止)といった策を打ち出しています。

「らくラクはりま」で興味深いのは停車駅です。姫路~新大阪間の停車駅は加古川、大久保、西明石、明石、神戸、三ノ宮、大阪です。「らくラクはりま」という名称どおり、兵庫県西部(姫路~明石)を重視した設定です。2021年3月13日のダイヤ改正により、新たに大久保駅が停車駅に加わりました。

大久保駅は新快速の通過駅となっており、今回のダイヤ改正により姫路~三ノ宮間では新快速よりも「らくラクはりま」の方が停車駅が多いことになります。

新快速停車駅に引けを取らない大久保駅

利用動向と大久保駅の状況を調べるべく、夜間に走る姫路行きに三ノ宮から乗車しました。

三ノ宮駅の電光掲示板では「らくラクはりま」は「通特」と表示され、構内放送では「通勤特急」と案内されていました。まるで私鉄みたいですが、れっきとした特急列車です。

19時25分頃に「らくラクはりま」289系6両編成が入線しました。私は2号車・普通車に乗車しましたが、乗車率は2割といったところ。19時24分発新快速の座席が埋まっていたことを考えると、「らくラクはりま」の利用率は「まだまだ」といったところです。

19時30分に神戸に停車。新大阪から約35分にも関わらず、降車があったことに驚きました。19時43分に播磨の玄関口にあたる明石、続いて西明石に停車。両駅ではまとまった降車がありました。

19時50分に目的地である大久保に停車。ちなみに明石、西明石、大久保と3駅連続停車になります。大久保でも10名ほどのまとまった降車がありました。

ホームには「らくラクはりま」大久保停車を伝えるポスターがありましたが、新快速は同駅には停車しません。

それではなぜJR西日本は大久保に「らくラクはりま」を停車させたのでしょうか。

鉄道ファンの間で話題となっているのが、大久保駅の配線です。写真でもわかるとおり、大久保駅構内は2面4線となり、同一ホームでの緩急接続が可能です。

一方、西明石と明石は線路別複々線のため、同一ホームでの緩急接続はできません。「らくラクはりま」新大阪行きは大久保駅で普通列車(明石から快速)に接続しています。

今回のダイヤ改正により、新快速が停車しない東加古川・土山・魚住の利用者が「らくラクはりま」にスムーズに利用するための乗り換え利便性が高くなりました。一方、「らくラクはりま」姫路行きは大久保駅で普通列車に接続していません。実際、「らくらくはりま」から降りて、普通列車を待つ利用者は皆無でした。

2つ目は大久保駅がある明石市の人口増を背景とする同駅の利用者数の増加が挙げられます。兵庫県統計書によると、大久保駅の1日平均乗車人員は2010年度は18,165人でしたが、2018年度は19,971人となっています。

また明石市は福祉政策が充実している自治体として知られ、人口増が顕著となっています。2020年には悲願の30万人を突破。出生率も高いことから、今後も人口増が望める環境にあります。

大久保駅の駅前に立つと同駅の発展ぶりがよくわかります。駅北側にあるバスターミナルからは住宅地区へ向かう神姫バスを待つ行列が。大久保駅からは10系統以上ものバスが出発します。参考までに新快速が停車しない魚住駅と土山駅からは1系統しかバスは出ていません。

また南側にはマンション群が立ち並んでいました。駅周辺だけを見ると、他の新快速停車駅と遜色はありません。新快速が停車する加古川駅の1日平均乗車人員は2万人前半ですから、新快速の停車駅になるには「あと少し」という感じでしょうか。ただし加古川駅は加古川線への乗り換え需要を加味する必要があります。

今後も大久保駅の平均乗車人員が増え続けると、新快速の停車も議論になるかもしれません。明石、西明石、大久保の3駅連続停車がネックになるかもしれませんが、「らくラクはりま」乗車時はそれほど気になりませんでした。

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コメント

  1. しつ より:

    これに似た事例で高崎線の快速アーバンと特急あかぎ号がありますね。
    (快速が北本駅を通過するのに対し、特急はあかぎ・Sあかぎ共に停車。)