▲700系新幹線に設置されていた電話室
去る3月18日のことですが、各新幹線を運行しているJR…北海道・東日本・東海・西日本・九州…から、車内に設置している電話のサービスを6月30日で終了すると発表しました
すでに在来線車両から撤去されて久しく、ほぼすべての人が携帯電話を持っていることを考えると、車内電話が令和の世の中まで生き延びたことに驚きを隠せません
改めて、時刻表の編成表を確認してみると、東海道・山陽新幹線を走る16両編成のN700系では編成中に4台、東北・北海道新幹線で活躍しているE5系では編成中に2台の電話が設置されています
N700系にしてもE5系にしても、4~5両に1台に割合で電話が設置されており、街中にある公衆電話でさえあまり見かけなくなった昨今の事情を踏まえると、意外に多い印象を受けます
新幹線の場合は、そもそもの絶対的な利用者数が多いことや、携帯電話の電波が届かない長大トンネル内での通信手段を確保したかった側面もありそうです
実際に、地震などのトラブルでトンネル内で長時間にわたって停車した新幹線で、車内電話が大活躍したこともありました
振り返ってみると、かつて車内に公衆電話が設置されていることが優等列車としてのステータスだった時代がありました
JRの優等列車のみならず、私鉄にも目をやると京阪神地区で新快速と激しく覇を競っていた京阪の3000・8000系や阪急6300系にも設置されていました
かつて、携帯電話がまだ一般的ではなかった時代を思い出してみると、走行中の列車内から電話をかけることができるというのはかなり画期的なことで、その点に”未来”を感じたものです
とはいえ、携帯電話の普及に伴い2010年代に入ると、一気に姿を消していき、今回ついに新幹線の車内からも姿を消すことになりました
こうした新幹線に設置されている電話も、もちろんJRが勝手に設置できるはずもなく、おそらくNTTに何かしらの設置料金を支払っているはずです
そう考えると、コロナ禍で収益に大打撃を受けたJRが経費削減策の一環として、今回の車内電話の撤去に踏み切った…という捉え方もできそうです
最後に余談となりますが、500系や700系の電話室には、このような列車名を表示できるVFDがありました
おそらく、車内から自分の乗っている列車は●号で▲駅には◆時に着きます…のような連絡をすることが念頭に置かれていたものと推測されます
ただ、スマホのアプリで時刻表さえも手に取るように把握できるようになってしまった現代では、これも過去の光景となりそうです