ホームドアについて(2) 広がる工夫と課題 | 模工少年の心

鉄道が安全な乗り物であるために、ホームドアが極めて有効な設備であり、今後ますます設置が促進されていくものと思います。

 

そうしたことをまず踏まえた上で、ホームドアの現状の課題や鉄道車両開発への影響について考えてみたいと思います。

 

1本の線路を様々な用途の列車が走行し、同じホームを共用している場合、どの列車にも十分に対応するホームドアを開発するか、車両そのものをホームドアの規格に適合するものに置き換えるようになるか、現状は綱引きのような状況にあるのかと思います。

 

○(私が見かけたことのある)ホームドア等の工夫

(1)20m4扉通勤車両用のホームドアを特急ニューレッドアロー、10000系に対応し、開閉部の幅を広げて対応できるようにした西武鉄道、西武新宿駅等の事例があります。

10000系のドアにも掛かる幅を有したホームドアが必要に応じて設けられています。

 


西武鉄道には、池袋線から秩父鉄道に乗り入れする急行用2扉車の4000系は、4扉ホームドアに対応できないため、飯能始発に変更されていますが、開閉幅を調整できるホームドアを設置し、もう一度、池袋駅延伸を果たして欲しいと願います。

 

(2)JR西日本では、ホームドアではなく、ホーム柵と呼んでいるようですが、西武鉄道のような可動式ホーム柵とともに、ロープ状に組んだ、まさに上下に可動させる柵を思わせる昇降式可動柵を実働させています。

 

高槻駅の1、6番線、新快速、特急用のホームにおいて、昇降式可動柵を見かけました。

見かけは少し安っぽくも見えますが、設置することで安全性が高まるのは変わらないと思います。

 




駅の利用状況や走る車両に最適な対応の出来る方式を選択していく方向でホームドアの設置されていくのは、個人的には、鉄道車両設計の画一化(18m車と20m車の混在を解消するなどやむを得ませんが)を考え直す動きとして好意的にみています。

 

長距離を走る列車や観光用の私鉄特急の走る路線では、ドアが開き、デッキ部と室内を区切りもなく、すぐに客室の座席に座るというのでは、旅行気分もあったものではなく、興醒めしてしまいます。

優等列車のドアは、出来るだけ車両端近くに設置している現行車両の考え方が維持されるべきところと思います。

 

(3)濃密、複雑な列車ダイヤのため、ホームドアの設置に困難を抱える鉄道会社もあります。

行き先や列車の種別が多様で、しかも列車密度も極端に高い駅では、同じホーム上で、列車種別ごとに乗客が整列して並ぶようにして、対応しています。

 

名鉄名古屋駅で中部国際空港へ行こうとした時に、名古屋駅へ乗り入れている路線のあまりの多さに驚いたことがあります。

 

いかに鉄道が趣味とは言え、次々に入ってくる電車の行き先がどのあたりになるのかなど、すぐに判るものではありません。

電車の停車位置も異なりますので、駅のホームに描かれたカラー化された案内表示とアナウンスには助かりました。

 

名鉄名古屋駅と同じような取り組みをしている例として、東京近郊では、京浜急行の品川駅を思い出しました。

 

この駅も、羽田空港へのアクセスの重要路線であり、利用客の乗り間違えを生じさせないため、現状、案内表示と整列乗車は効果的であると思われます。

 



究極の解決策は、ホームの増設ですが、それが叶わないときには、どうしたらよいか?

その方法がわかっていれば苦労はありませんね。

 

素人考えですが、昇降式柵の発想で、柵が上に上がるのでなく、ホーム下に降りるというのは考えられないでしょうか?

(ホーム床面の強度や段差など、技術的に難しいのかと想像できますが…。)

 

日本中、津々浦々まで駅にホームドアが設置されるようになるまでは、どれだけの年数がかかるのかわかりません。

赤字路線をかかえる経営の厳しい企業もあります。

 

安全の確保には、心の悩みをもつ人がなくなるよう政治や社会の豊かさをめざすこと、ハンディキャップのある人への配慮、利用者のルールやマナーの向上という人間としての基本からの取組が大切だと思います。

撮り鉄(自分を含めて)のマナー向上も、もちろん含まれます。

 

しかし、毎日のように、発車間際の電車に飛び乗る人、橋上駅の階段を走り降りる人を見ない日は滅多にないほどです。

どうして、それをもっと問題視しないのか不思議です。