房総地区各線の主力車両として活躍する209系2100番台。しかし、今年のダイヤ改正では鹿島線や房総地区の末端区間でE131系がデビューし、209系の一部運用を置き換えました。それと同時に輸送力が過剰気味だった列車の短編成化も進んでいます。今回は、房総地区の209系の動きについて詳しく見た上で、2024年度以降に予定されている209系の本格的な置き換え計画について考察してみます。


209系の10両運用は消滅

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▲外房線を走行する209系10両編成
(2020/11/5 8:57  大網駅にて)

これまで、朝夕のラッシュ時間帯に内房線と外房線では209系による一部列車が4両と6両を連結した10両編成で運行されてきました。209系の10両編成は500番台のケヨ34編成や1000番台のトタ81・82編成で見られますが、いわゆる"0番台顔"の10両が見られるのは房総地区のみであり、昔の京浜東北線を彷彿とさせました。しかし、今年のダイヤ改正ではE131系のデビューにより、内房線・外房線の末端区間(木更津〜安房鴨川〜上総一ノ宮)、成田線一部区間(成田〜香取)、鹿島線(佐原〜鹿島神宮)の運用が置き換えられるとともに、それ以外の区間でも運用の整理が行われました。ラッシュ時間帯の列車についても見直しされ、輸送力を持て余していた10両編成は4+4両の8両編成に変更されることとなりました。


ダイヤ改正で6両編成が余剰に

10両運用が撤廃されたことで、6両編成は余剰となりました。また、ラッシュ時間帯に分割8両編成の列車が増発されるということは、それだけ編成を組む4両編成が必要となります。そこで、C601〜C626編成までの26本のうち、6本が4両編成化されることとなります。もちろん6両編成単独での運用もありますから、残りの20本が4両化される可能性は低いでしょう。

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▲総武本線を単独で走行するマリC601編成
(2020/12/23 8:56  四街道ー物井間)

では、新しく設定された4両編成について見ていきましょう。編成番号は既存のC442編成の続番となる形で、いずれも奇数番号のモハユニット(MM')が引き抜かれています。

C605編成ーMM' 2109→C443編成
C611編成ーMM' 2121→C444編成
C613編成ーMM' 2125→C445編成
C614編成ーMM' 2127→C446編成
C616編成ーMM' 2131→C447編成
C620編成ーMM' 2139→C448編成

この4両化の動きはダイヤ改正前の2月下旬から見られましたが、一昨日C446編成が確認されたことで一連の動きが終了したものと思われます。なお、3/18にはC618編成にMM' 2109とMM' 2131を組み込んだ10両編成が目撃されており、C618編成含め今後廃車になるのかどうかが注目されます。


固定編成の廃車は発生し得るのか

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▲中央本線で性能確認試運転を実施した後、所属区へ回送されるR01編成。
(2020/9/18 13:05  日野ー立川間にて)

E131系のデビューに伴って既存の4両・6両固定編成68本のうち何本か廃車になると思われましたが、現時点で固定編成に廃車は発生しておらず、前述の通り6両編成6本のモハユニット12両が引き抜かれたのみとなっています。また、新たに4両編成を6本追加していることを考えると、当面の間は4両編成が廃車になることはないでしょう。一方で、先行きが心配されるのが6両編成です。他者様の運用解析によれば、ダイヤ改正後は以下の運用パターンになっています。

① 内房線・外房線・・・8両×16運用
② 総武本線・成田線・東金線(内房線・外房線の一部)・・・6両×13運用
③ 総武本線・成田線(内房線木更津~安房鴨川の一部)・・・4両×14運用
出典: 4号車の5号車寄り
https://4gousya.net/

このことから、運用に入るのは単純計算で4両編成2×16+14=46本、6両編成13本となります。また、4両編成は48本あるので予備車は2本、6両編成は20本あるので予備車は7本となります。前者は予備車の数が妥当ですが、後者は随分と多いです。そのため、6両編成4〜5本程度は廃車になる可能性があります。ただし、現時点で209系の疎開が全くない=幕張車両センターがキャパオーバーしていないということなので断定はできません。しかし、定期検査の必要性を考えれば使用しない209系を余分に配置しておくのは非効率的なように感じます。


本格的な置き換えは2024年度以降

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▲京浜東北・根岸線用E233系1000番台
(2020/7/4 18:05  高輪ゲートウェイ駅にて)

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▲横浜線用E233系6000番台
(2020/10/20 14:37  相原駅にて)

既報によれば、具体的な時期は未定なもののE235系1000番台投入完了後の2024年度以降にワンマン対応のE235系が京浜東北・根岸線及び横浜線に導入されます。これに伴って捻出されるE233系1000番台は10両編成82本(6M4T)、E233系6000番台は8両編成28本(4M4T)です。これに対して、置き換え対象の209系2100番台は4両編成48本(2M2T)、6両編成20本(4M2T)[変更の可能性あり]ですから、E233系1000番台のみで十分置き換えることができます。改造に時間を要するため一概には言えませんが、前例からすれば209系の置き換え時期は2024〜2027年頃となり、2028年度末までには完了していると思われます。


まとめ

今回のダイヤ改正で運用の抜本的な見直しが行われた房総地区。それに対応する形で短編成化が行われた209系ですが、沿岸部の厳しい環境に耐えながらもまだまだ活躍してくれそうですね。