皆様こんにちは。ブログおよびホームページ管理人の神@北見です。

 

先日のTomixさんからのキハ56系モデルチェンジ車発売予告に絡み、更にネタを続けます。 こんなにネタが続くことからもいかに私がこの製品を待ち望んでいたかが分かりますね。

 

今回のキハ56・27 200番代の製品化では特急「北斗」の代走編成が参考写真になっていることからも、製造から間もない頃の姿がターゲットになるものと思われます。

 

キハ56・27の200番代は車齢が若い事からJR北海道に継承後は最後まで残りました。本州では冷房やその他の装備・車内の仕様、更新工事の都合などから車齢と淘汰順が一致しませんでしたが、北海道ではこれらの差が殆ど無かったことから概ね古い順から廃車になり最後はモデルチェンジ車が多く残りました。晩年はモデルチェンジ車のみで波動用編成を組んだり、キハ400系の急行「宗谷」「サロベツ」等に増結されたり、快速「ミッドナイト」の種車になったりまたその増結用として使われたりと、モデルチェンジ車の活躍は最後まで目立っていました。

 

では、キハ56・27の晩年の姿は、今回製品化されるであろう新製時の姿からどれくらい変化しているのでしょうか!? またそれは模型で簡単に再現可能なのでしょうか? という点について検証してみたいと思います。

 

キハ56・27はご存知の通り冷房化された車は無く、モデルチェンジ車もミッドナイト用やアルコンに改造された車を除き冷房準備車のまま一生を終えていますのであまり差異は無いと思われますがどうでしょうか。

 

 

↑ミッドナイトとして札幌到着後のキハ56 208 さてキハ56・27の200番代は原形からどれほど変化しているのでしょうか。

 

 

1. 乗降ドア

 

キハ56・27 200番代の乗降ドアについて考察する前に、そもそもキハ56・27全体の乗降ドアの推移について考えなければなりません。結論からするとキハ56・27全体では乗降ドアには新製時で「4種類」、その後の改造で最低「6種類」存在し、更にそれ以上存在している可能性もあります(多分8種類)。 全部同じように見えますが実は意外と奥が深いです。

 

↑まずはキハ56・27の0番台です。写真はキハ56 15を改造したキハ53 502の前位側です。0番代の新製時はドア下部に丸窓無しで製造されています。本州用との違いは、本州用はドア中央付近の高さ(窓周りの赤帯との境界線辺り)にドア押さえ車のレールが1本ありますが、北海道用は裾部の赤帯との境界線辺りにも1本ドア押さえ金が追加されており2本になっています。これが本州用と北海道用のドアにおける大きな違いになります。

 

そして100番代の長大編成対応区分になってから、ドア下部に丸窓が追加されます。

 

 

↑「国鉄気動車ガイドブック」という本から キロ26 101です。本州用キハ58系の長大編成対応車初期の車と同様、乗降ドア下部の丸窓の位置が低いです。

 

これは想像ですが、そもそも北海道用の場合0番台に付いていたドア戸車レールの位置から、この場所しか穴を開ける所が無かったのでしょう。そして本州用も北海道用に倣った感があります。

 

しかし穴の位置がドア隅に近すぎたのかすぐに設計変更されます。本州用では昭和38年度本予算追加(7次車)あたり(形式によりばらつきあり?)から穴の位置が上がり、穴中心が裾の赤帯の境界線付近になります。北海道用ではドア戸車レールと干渉しますので、これが移設されます。

 

↑そしてキハ56・27では昭和38年度民有債のキハ27 104~、キハ56 110~ よりドア丸窓の位置が上がり、代わりにドア戸車レールの位置が丸窓の下に移動します。

 

これが完成形かと思いきや、モデルチェンジ車では変化します。

 

↑同じく「国鉄気動車ガイドブック」からキハ56 208です。同じく乗降ドア裾にキハ56 110~と同じ位置に丸窓が有りますが、ドア戸当たり車レールは本州用のごとく1本しかありません。

 

ということで、新製時よりこの4種類があることが分かります。

 

しかし、北海道では冬季にドア開閉に不具合があった際に叩いたり蹴飛ばしたりすることが関係してか破損防止のために次第にこの丸窓が撤去されることになりました。

 

0番台は新製時より丸窓が無いので問題ないのですが、100番代の初期車ではドア戸当たり車レールの位置が0番代と同じなので、丸窓が撤去されると0番台のドアと同じになります。100番代中後期車では…

 

↑100番代の中期車(キハ56 110~、キハ27 104~)では丸窓の位置が上がりドア戸車レールの位置が下がっています。ドア丸窓を埋めた後もドアレールがそのままなので分かりやすいです。

 

しかし、実はこの形態の車は少数派で、大半の車はドアレールの位置が高いものと交換?されています。

 

↑キハ56 118と148です。ドアの戸当たり車レールが0番台車と同じ位置にあります。

 

これは、戸当たり車レールの位置が変更になったのか、それとも0番台車のドアとそのまま交換されたのかは良く分かりませんが、いずれにせよ0番台車と同じ形状になっています。

 

このドア下部丸窓の閉塞は1980年代より始まり、1990年以降は殆どの車で閉塞が完了しています。先に挙げた残存しているキハ56 138は非常にレアな例になります。

 

ではモデルチェンジ車はどうでしょうか。

 

↑キハ56 214 ドア下部の丸窓が閉塞されています。モデルチェンジ車は元々ドア戸当たり車レールが1本しかなく、この車も1本のままです。

 

しかしこれもモデルチェンジ車の晩年では少数派で、

 

↑多くは0番台車のドアを流用したのか、このように戸当たり車レールが2本のドアになっています。またそもそも丸窓が残っていた車はいません。

 

このように、100番代、200番台車についてはドア下部丸窓の閉塞が進行し、これには元のドアで丸窓を埋めた形状のものと、0番台車のドアと同じ形状になったものがあります。よってキハ56系のドアにはこの時点で6種類あります。更に一部ではドア丸窓の閉塞が鉄板で塞ぐだけの形態の物もあり、これを含めると8種類のドアが存在しました。

 

↑ヤマケイレイルシリーズから「気動車」です。キロ26 101の隣に何か分かりませんが写っていますが、これは丸窓を板で閉塞したのみです。

 

このような例はキハ56 210の1位側のドアにも見られました。ただしこちらはドアの戸当たり車レールが1本です。

 

話を元に戻しますと、キハ56・27 200のドアは当初戸当たりレール1本で丸窓付きが付いていますが、晩年は大半が丸窓無しで戸当たりレール2本になっていました。これを模型で再現するにはドアの丸窓を埋めるしか無さそうです。

 

 

2.乗務員ドア

 

キハ58系モデルチェンジ車の乗務員ドアは、ドアノブ部が4分の1円状の窪みの中にあります。

 

↑キハ56 204 ドアノブは窪みの中にあり車体外面に飛び出さないようになっています。

 

しかし、この形態のまま残った車は少数派で、大半は…

 

↑キハ56 206 ドアノブがドア外面から直接付いています。

 

これは、平窓車と同じドアになります。

 

↑平窓車の乗務員ドアノブもドア外面に直接付いています。

 

乗降ドアと同様、1980年代より交換されています。これを模型で再現するのは非常に困難ですよね。諦めるしか無さそうです。

 

 

3.貫通ドア

 

貫通ドアについてはモデルチェンジ車はドア窓幅の大きいものになっていました。

 

↑キハ58系モデルチェンジ車オリジナルのドア窓形状。窓の幅はドア幅ギリギリくらいまであります。このデザインは後のキハ65・66・67やキハ40系にも受け継がれます。

 

しかし、これも晩年は少数派で、大半は平窓車のドアと交換されました。

 

↑貫通ドアの窓幅は狭く、平窓車と同じ形状になっています。恐らく平窓車のものと交換されたものと思われます。

 

こちらも模型で再現するのは難しそうですね。ガラスは平窓車から流用すれば良いのですが、ドアの窓を縮めるのは失敗が効かないだけにリスクが高いです・・・。

 

 

4.サボ挿し

 

↑晩年のキハ56・27は、水色の部分にあった横差しタイプのサボ挿しが撤去され、側面車体中央部付近の形式車番表記の真上に上から差し込むタイプのサボ挿しが装備されました。これは普通列車用のキハ22・24・40と同じ扱いに統一することが目的だと思われます。このような例は本州の一部地域でも見られましたがドア横のサボ挿しが残存するケースが大半で、ドア横のサボ挿しが撤去されるのは北海道特有でした。

 

車体中央にサボ挿しが追加されるだけだったらサボパーツを貼り付けるだけで簡単なのですが、ドア横のものが撤去されているのが曲者です。

 

 

5.デフロスタ

 

先に挙げた「気動車ガイドブック」のキハ56 208のように、モデルチェンジ車は新製時は熱線入りガラスだったのか後付けのデフロスタは装備していませんでした。しかし1980年頃から大半のキハ56・27モデルチェンジ車にもデフロスタが取り付けられました。

 

↑他のキハ56・27平窓車同様、晩年は両側にデフロスタを取り付けていました。

 

6.正面窓上通風口

 

↑キハ56 208 平窓車も同じですが1980年代中盤より正面窓上の通風口が撤去されました。

 

7.汚物処理タンク

 

意識して撮影した写真が残っていないのが残念ですが、北海道ではJRに継承されたキハ56・27は基本的に汚物処理装置が取り付けられていました。これは札幌駅高架化を見越したものと思われます。そのため側面には同装置の点検蓋が設けられ、デッキ床下に同装置が取り付けられていました。本州用と比べると凍結防止からか抜き取り用のノズルなどにカバーが掛かっており若干形状が異なりました。

 

このパーツは現行品の急行「たかやま」や四国シリーズなどに取り付けられていますがパーツ単体での分売は無く、ネットで分売品を買おうとすると異常に高価なため非常に頭を悩ませます。

 

このように、晩年のキハ56・27モデルチェンジ車は新製時と比べると色々と手を加えられているのが分かります。これ以外にも列車無線アンテナなど、細かい点はあるでしょう。特に面倒なのはドアの交換に伴う形態変化で、これは地味な作業ながら車体全塗装になりかねず、また難易度も高いので難しいですね。Tomixさんが仮にJR仕様を出したとしても、こんな点は再現されないでしょうね。いやはや困ったものです。

 

新製品のキハ56・27が発売されたら、どこまで手を入れて晩年仕様にするか悩ましいですね。今からジャンク車体を使って練習しようかな。

 

 

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。それでは次回もお楽しみに!!

 

是非私のホームページ

 

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にもキハ58系各車の解説がありますのでご覧になってください。