今日はJR東日本から、最後の国鉄形特急車両185系が引退し、定期列車から外れた。
185系と言うと、特急踊り子号や、新幹線リレー号の印象が強かった。
それまでの153系を置き換えた車両だったようだが、小さい頃は殆んど見向きもしなかった。
幼少の私の意識は当時から江ノ電や大雄山線の旧型電車ばかりに向き、そんな中をあのクリーム色に緑の帯を纏った列車が駆け抜けて行くのを横目に見ているだけだった。
まあ特急で移動すれば快適なのかなあ?位。
結局乗りたいと思ったのは遥かに先だった。
国鉄はJRへ移管し、103系、201系、203系と言った昭和末期の国鉄形電車も次々姿を消して行った。
そして平成時代を築いた205系や、211系すらも首都圏から消えていった。
72系や、80系といった吊り掛け全盛期を知らない私としては、物心が付いた頃には101系や103系がまだまだ現役であり、国鉄形高性能車両標準形MT54のモーター音で育った。
そんな音も平成が終わる頃には、身近な鉄道路線にはVVVFの静かな電車ばかりが増え、昔ながらの音のうるさい電車は居なくなっていた。
無機質な電車に馴れた日々を送っていたある日、横浜線の町田駅に特急列車が止まっていた。
それは土日の2往復のみ走るというはまかいじ号。
そこでやって来たのが185系だった。
昔ながらのMT54のうるさいモーターの音を響かせながら走る姿はちょこちょこ見てはいたが、実際に乗ることになったのはこれが初めてだった。
普段見慣れない来客に心が躍った。
次の土曜出勤の日に乗ってみることになった。
自由席特急券を買い、乗ってみた。
列車はいつも通い馴れた道を懐かしいMT54のモーターを響かせながら走る。
それは大昔103系で八王子へ行った時の事を思い出させた。
うわあ楽しいなあ。
洗面所やトイレ等が国鉄形の特急車両。
昔、伊予鉄道や一畑電車等を尋ねた時に、国鉄の特急や、新幹線に乗った事を思い出した。
あの時の旅はワクワクしたなあ。
そんな思いが蘇った。
その後も、幻鉄さんの運転会や、黒部のトロバスを見送った時も乗った。
これでもか!って位モーター音を楽しんだ。
懐かしくて楽しかった。
でもこれだけ古い車両がまだ一線で走っていることに対しても不思議としか思わなかった。
しかし、いつしかはまかいじ号も終了してしまった。
そして今日最後の時は訪れた。
沿線は金曜日にも関わらずものすごい人。
JR線だけではなく、乗り入れ先の伊豆急や伊豆箱根鉄道線でもすごいイベントをやっていたようだ。
それはコロナ渦の緊急事態宣言下の抑圧下だった故にだからだろうか。
個人的にははまかいじ号であれだけ沢山堪能したので、乗りたいという気持ちにならなかった。
でもはまかいじ号でこれだけ堪能したのだから、もう後悔はない。
それに岡山の方へ行けばまたMT54の音が聴けると思う気持ちもある。
今ただの輸送機関としての鉄道にひとすじの楽しさを見出だしてくれた車両に感謝を伝えたい。
185系よ。ありがとう❗️ さようなら。お疲れさまでした。