レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

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新快速「Aシート」に初乗車

 いよいよ3月となり、青春18きっぷが利用できる期間となりました。思い返すと、直近で青春18きっぷを利用して旅行したのは2020年1月なので、1年以上も前ということになります。今季の青春18きっぷについては、現時点で5回分使い切るための予定を組んでいる訳ではないため、購入しようかどうか悩みましたが、先月末に首都圏を除く6府県の緊急事態宣言が解除され、今後は少しずつ外出の機会も増やせるのではないかとの期待も込めて、久しぶりに購入することにしました。

 購入したとなれば、早速どこかに乗り鉄旅をしてみたくなるのですが、真っ先に候補となる東京方面は、未だ緊急事態宣言が発令されており、旅行先としては相応しくないため、今回は西日本に向かうこととし、山陽方面(姫路・岡山)への乗り鉄旅に出かけることにしました。山陽方面に行く場合、東海道本線山陽本線を利用するわけですが、僕はまだ、JR西日本管内の東海道本線山陽本線琵琶湖線京都線神戸線)を走る新快速に連結された「Aシート」(有料座席サービス)を利用したことがありません。運用開始時には、利用客が集中して混雑することもあったと聞きましたが、サービス開始からすでに2年が経過しようとしており、利用状況も落ち着いていると思われるため、今回初めて、野洲-姫路間の往復で「Aシート」を利用してみることにしました。

 まずは、「Aシート」について、その内容を簡単に紹介します。

 

Aシートとは?
① 東海道本線山陽本線野洲-姫路・網干間)で運転される新快速の一部で行われている有料座席サービス
② 該当列車には、回転リクライニングシートなどを備えた「Aシート」専用車両を連結
③ 運転本数は、1日あたり上下各2本の計4本(2往復)のみ
④ 席数は1両当たり全46席で、利用には乗車券の他に乗車整理券(500円)が必要
⑤ 乗車整理券は、乗車後に空席がある場合にのみ、車内で乗務員から購入

 

 これらについて、少しだけ補足します。

 まず①の運転区間ですが、東端は野洲となっており、なぜか米原発着の運用はありません。米原発着の新快速も多く設定されている中、あえて野洲から(野洲まで)の運用としているのには、何かしらの運用上の都合があるのだろうと思います。個人的には、米原発着の運用をお願いしたいところですが、米原発着とした場合、青春18きっぷシーズンに長距離移動者が「Aシート」を独占してしまうという問題を回避するための策なのでしょうか?

 ②についてですが、「Aシート」専用車両は、223系12両編成(8両+4両)のうち9号車に組み込まれています。この9号車は「Aシート」用に新たに新造された訳ではなく、既存の223系の一部を改造したもので、車内はリクライニングシートに交換されているほか、各座席にはコンセントと大型テーブルが取り付けられ、さらに無料Wi-Fiサービスにも対応しています。

 ③の運転本数についてですが、あれほど多くの新快速が運行されているにも関わらず、1日当たりたったの4本(2往復)となっています。「Aシート」の運用が開始された当初は、まずは1日2往復が設定され、徐々に運転本数を増やしていくものと期待していましたが、約2年が経過した現在でも、運転本数拡大の動きは見られません。JR西日本として、これ以上の拡大は予定していないのか、それとも拡大できない事情があるのか、その理由は分かりませんが、利用者目線からすれば、是非とも運転本数を増やしてほしいものです。

 ④の乗車整理券ですが、JR東海地区のライナー料金(330円)よりは高いものの、首都圏の普通列車グリーン車よりも安く、ちょうどいい価格設定だと感じました。京阪のプレミアムカー料金も500円(一部の区間は400円)なので、これを意識したのかもしれません。一方で、今回僕が利用する野洲-姫路間は約160kmで、かなりの長距離・長時間の乗車となることから、この区間を500円の追加料金で快適に移動できると考えれば、むしろ良心的な価格だなと思いました。

 最後に⑤の購入方法についてですが、JR東海ホームライナーJR東日本のライナー列車などと異なり、事前に駅の券売機などで乗車整理券ライナー券を購入することができません。どうしてこういう方法を採用しなかったのかは分かりませんが、現時点では運転本数も少ないことから、わざわざ駅の券売機を改修して「乗車整理券」の発券機能を追加するまでもないと判断したのかもしれません。

 なお、現在は、期間限定ではありますが、「Aシート」の一部座席(全46座席中の12座席)について、指定席が設定されています。指定席券は、一般的な指定料金である530円よりも少し割高な840円となっていますが、あらかじめ座席を確保できるというメリットがあります。この取扱いは昨年12月に開始され、今のところ今年6月まで行われることになっています。ちなみに、JR西日本のインターネット予約サービスである「e5489」を利用してチケットレスで購入すると、指定料金が600円になります。この方法で予約すれば、乗車整理券とそれほど変わらない値段で「Aシート」の指定席を利用することができます。

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Aシートを連結した223系:姫路駅 2021/3/5

 上の写真は、姫路到着後に撮影したものです。始発である野洲でも撮影したかったのですが、入線が発車直前だったため、撮影することができませんでした。さきほどお話ししたとおり、「Aシート」は、一般形車両として製造された223系の一部を改造して誕生した車両です。車体側面の帯色や窓枠周りの塗色が一部変更されており、また、客用扉が片側3扉から2扉化されているものの、外観上は種車の姿をそのまま残しています。扉横には、誤乗車防止のために「Aシート」専用車両であることを示すロゴが書かれていました。

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 続いて車内です。実際に乗車してみると、回転リクライニングシートがずらりと並んでいることもあって、ほぼ特急形車両といった印象です。シートピッチは970mmということで、これも特急形車両の標準的なものと同じです。さきほどお話ししたとおり、各座席にはコンセントと大型テーブルが備え付けられており、設備面でも特急形車両と変わりません。一般形車両に連結された有料座席と言えば、首都圏の普通列車グリーン車を思い浮かべますが、「Aシート」はダブルデッカー構造ではないものの、その快適性は同等以上と言っていいと思います。ちなみに客室内は、乗車整理券で利用する自由席(34席)と、指定席券が必要な指定席(12席)が混在していますが、これらを区別するため、指定席にはヘッドカバー部分にその旨の表示がされていました。

 ここまでいいこと尽くめの「Aシート」ですが、ちょっと残念な点もあります。改造車である以上やむを得ないことですが、一部の座席では窓の位置と座席の位置が一致していません。特に2扉化に際して埋め込まれることになった中間扉跡付近では、眺望が大きく遮られてしまう座席があります。外の景色を楽しみたい場合には、そうした座席は避けたいものです。

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 今回は、乗車整理券ではなく指定席券を購入することとし、事前に「e5489」で予約しておきました。本来はチケットレスを前提にしたサービスですが、指定席券売機で発券することも可能となっています。発券してみると、1枚の「指定席券」ではなく、「Aシート指定席券」と指ノミ券(指定券)の2枚に分かれていました。一瞬「あれっ?」と思いましたが、考えてみれば、企画座席指定券を購入したのですから、おかしい訳ではありません。

 また、指定席車を連結する列車には、何らかの名称が付けられていることがほとんどですが、今回乗車した新快速には愛称のようなものがなく、マルス券にも“新快速(A)○号”とだけ表示されています。そもそも指定席の取扱いが期間限定となっているため、わざわざ愛称を用意する必要もないという判断だろうと思います。

 僕が乗車した新快速1号と4号における「Aシート」の混雑状況ですが、まず往路の1号については平日の昼間時間帯ということもあって、乗客はまばらでした。野洲から乗車したのは僕も含めて3人で、おそらく京都ー大阪間でも10人はいませんでした。復路の4号は、夕方の帰宅時間帯と重なることもあって、姫路を発車後、停車するたびに利用客が増え、大阪ではデッキで空席待ちとなる方も見えました。

 復路での利用状況を見ると、特に通勤客の利用が多いようで、「Aシート」に対する一定数の需要はあるようです。しかし現在の運転本数では、こうした需要に十分対応できていないように思いました。通勤客が利用してくれるのであれば、設備投資に費用はかかるものの、例えば1時間あたり1本から2本くらい運転することで、相応の利益が見込めると思うのですが、実際はどうなんでしょうか?コロナ禍の影響もあり、長期的に見れば通勤需要にも変化が生じることが想定される中、「Aシート」の今後の動向が注目されるところです。