北陸の国鉄電車「413系」えちごトキめき鉄道に譲渡 観光列車で運用



えちごトキめき鉄道(新潟県)の鳥塚亮社長は3月1日、JR西日本から413系電車3両を譲り受けたことを明らかにした。

JR西日本の413系。写真の編成は後方の先頭車が455系のクハ455形になっている。【画像:Toshinori bab/wikimedia.org/CC BY-SA 4.0】

ヤフーニュースの個人ページで鳥塚社長が明らかにした内容(3月1日19時37分公開、21時13分時点)によると、新たに運転を開始する観光用の急行列車で運用する計画。今後、保安装置などの整備を行い、ゴールデンウィーク明け頃から運転を開始する予定としている。

413系は1986年、国鉄が開発した交直両用・普通列車用の電車。既存の急行型電車を改造する形で製造され、車体を普通列車向けのものに更新した。455系急行型電車の先頭車(クハ455形700番台)2両を含む33両(3両編成11本)が北陸本線や富山港線、七尾線で運用されてきた。

2015年、北陸本線の富山県内区間を引き継いだあいの風とやま鉄道が15両(3両編成5本)を引き継いだ。残る18両(3両編成6本)は今年2021年3月のダイヤ改正にあわせ、すべて引退する見込みだった。えちごトキめき鉄道がどの編成を譲り受けたかは明らかにされていない。

えちごトキめき鉄道は、妙高はねうまライン・妙高高原~直江津間(旧・信越本線)と日本海ひすいライン・直江津~市振間(旧・北陸本線)を運営する第三セクター。日本海ひすいラインの電化方式は、糸魚川~梶屋敷間を境に直江津寄りが直流、市振寄りが交流に分かれており、現在は気動車で交直の境界を通る列車を運転している。交直両用の413系は、えちごトキめき鉄道の車両としては初めて同社全線を走れる電車になる。

鳥塚社長は「会社には新車を導入するような資金的余裕はなく、いつまで続くかわからないコロナの影響を考えると、たとえお金があったとしても大きな設備投資は控えなければなりません」とし、「最小限の設備投資で大きな需要を呼び込もうという判断」から413系の導入を決めたとしている。