鵜殿駅【三重県】(紀勢本線。2016年訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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今回の【駅】コーナーは、
三重県最南端の町、紀宝町南東部の鵜殿地区に位置する紀勢本線の駅で、三重県最南端の駅かつ最南端の駅であり、JR東海管轄の駅としても最南端かつ在来線における最西端の駅である、
鵜殿駅 (うどのえき。Udono Station) です。
 
尚、新幹線を含むJR東海の最西端の駅は、東海道新幹線の新大阪駅です。
 
  
駅名
鵜殿駅 (駅番号なし) 
 
所在地
三重県南牟婁郡紀宝町 (旧:鵜殿村)  
 
乗車可能路線
JR東海:紀勢本線
 
隣の駅
多気方・亀山方…………紀伊井田駅 
新宮方・和歌山市方……新宮駅
 
訪問・撮影時
2016年11月
 
 

鵜殿駅は地平駅で、南東側(海側)に駅舎が設置されています。
昭和15年(1940年)の開業直後に建てられた木造駅舎が改修されながら今も使用され続けています。
駅名看板は出入口の上にあり、「鵜殿驛」と小さく書かれています。
出入口は駅舎左側にあり、駅外と駅舎内の間に段差はありません。
駅舎の左側には汲み取り式の便所があります。
尚、駅前広場はありませんが、乗用車がターンできるスペースはあります。
バス停留所は後方を紀勢本線と並行して延びる県道35号線(熊野街道)沿いに設けられています(熊野市方面…約60m南、新宮方面…約100m南)。
写真は北西を望む。駅の反対側(北西側)に出入口はなく、一旦国道42号に出てから駅の約70m南西(新宮方)にある踏切を渡らなければ北西側へは行けません。
北西側は住宅地になっていて、起伏も見られます。
 
 

駅前の様子です。南西を望む。右手に鵜殿駅があります。
手前(北東)~奥(南西)の道路は県道35号で、国道42号の旧道です。バイパス(国道42号現道)が山側を通っているため、県道35の交通量は少な目です。
駅周辺は元「村」にもかかわらず結構建物が密集しているため賑やかで、住宅が多く商店も点在しています。
また、左側の熊野灘沿いには鵜殿港があり、北越コーポレーション(旧・紀州製紙)紀州工場や木材関係の会社が立地しています。
ちなみに旧・鵜殿村は面積が日本一小さな村で、そのうちの1割を紀州製紙の製紙工場が占めていました。その関係もあり日本一人口密度の高い村になっていて、また紀州製紙のおかげで財政は健全で、企業城下町としても有名でした。その鵜殿村は平成の大合併により鵜殿村を取り囲んでいた紀宝町と合併し、新たに紀宝町として発足しましたが、人口は旧・鵜殿村も旧・紀宝町もさほど変わりなく、町役場は旧・鵜殿村役場に設置されました。
また、鵜殿駅から紀州製紙紀州工場(現・北越コーポレーション紀州工場。駅から南へ約550m)へは貨物列車用の専用線が延びていましたが、2016年に廃止されました。廃線跡探訪の記事はこちら
 
 

駅舎内の様子です。北西を望む。後方が出入口で、前方が構内踏切およびホーム方面です。
鵜殿駅は無人駅になっており、1986年まで有人駅でした。また、貨物営業していた2016年までは駅舎内の事務室にJR貨物の係員が配置されていました(旅客業務は行わなかったです)。
駅舎内には改札口、自動券売機、乗車駅証明書発行機は存在しません。改札口の場所にはきっぷ回収箱があります。右側の窓口は閉鎖されています。駅舎内は待合室としても利用されていて、左側にはベンチがあります。
運賃は乗車時に整理券を受け取り、下車時または下車駅でお支払い下さい。ちなみに紀勢本線のJR東海区間は交通系ICカード『TOICA』が導入されていません。2021年3月13日からは新宮駅以西のJR西日本エリアで『ICOCA』が導入されますが、隣の新宮駅が境界駅になりますので、JR西日本エリアから鵜殿駅へお越しの際はこれまで通りICカードを使わないようにして下さい。ICカードで乗り越してしまうと下車時に乗車全区間の運賃を支払わなくてはなりません。
トイレは汲み取り式の設備が駅舎外の左側(南西側)にあります。改札外にあり、一旦外へ出てからトイレに出入りする形になります。
また、鵜殿駅構内と駅前に売店・コンビニはありません。約250m西にコンビニ「ヤマザキショップ」が、約250m北東にスーパー「主婦の店」があります。
そして、駅舎を通り抜けると構内踏切があり、貨物線跡と下り線を渡って右へ曲がるとホームです。構内踏切とホームの段差はスロープで解消しています。点字ブロックもあり、最低限のバリアフリーには対応しています(但し、スロープにフェンスはあるものの手すりはありません)。
 
 

下り1番線側に設置されている建植式の駅名標です。電照式ではありません。
JR東海・在来線の標準デザインで、国鉄タイプと同じく所在地も併記されています。
アルファベット部分はJR東海のコーポレートカラーであるオレンジが塗られています。
紀勢本線のJR東海区間に駅ナンバリングは導入されていません。
 
 

 

鵜殿駅は島式ホーム1面2線の地平構造で、北東~南西方向にホームが延びています。
左(南東)が1番線で下り新宮・和歌山市方面、右(北西)が2番線で上り多気・亀山方面です。
そして1番線の左側(駅舎側)には貨物側線が2本ありますが、2016年の廃止後はレールが一部草に埋もれてしまっていて、亀山方、和歌山市方とも本線との分岐器(ポイント)は撤去されています。右側の側線は北越紀州製紙の専用線に直通していましたが、左端の側線は駅舎の手前で行き止まりになっていて、その手前で右の側線に接続しています。

紀州北越製紙専用線の廃線跡探訪の記事はこちら

 
ホーム有効長は6両分ですが、実際に発着する列車は4両が最長です。ホーム幅は全体的に狭いので通過列車に注意が必要です。
上屋はホーム中ほどや和歌山市寄り(前方)、ベンチ部分にしか設置されていません。雨天時に乗降の際は要注意です。
そして、ホームの新宮方の端(奥)には構内踏切があり、左前方には駅舎があります。
写真は2枚とも1番線側より新宮方・和歌山市方を望む。
 
 

1番線より亀山方を望む。右が1番線、左が2番線で、右端には貨物側線跡が見えます。
1番線側は枕木が綺麗になっていますが、以前はここに分岐器があり、貨物側線と繋がっていました。
この先、熊野灘と丘陵地に挟まれた狭い場所を左へカーブしながら北上しますが、窓から見えるのは住宅地で、海岸は防風保安林になっているため海は見えません。そして山側(左)から来た国道42号をアンダーパスするとその国道42号が右側を並走する状態で防風林と丘陵地の間を北へ走り、国道が右へ離れて住宅地の中に入ると紀伊井田駅へと至ります。
 
 

2番線側より新宮方・和歌山市方を望む。構内踏切の先(左側)には駅舎があります。
左が1番線、右が2番線で、左端には貨物側線跡が見えます。
こちらも1番線と貨物側線・専用線とを結ぶ分岐器は撤去されています。
貨物側線の先は北越紀州製紙(廃止当時の社名)の専用線跡で、この後左へカーブして紀勢本線と分かれ、県道35号と踏切で交差してから(踏切は撤去済)住宅地を南下して北越紀州製紙の紀州工場へと至りました。前方には北越コーポレーション紀州工場の煙突が見えます。
北越紀州製紙の専用線の廃線跡探訪記事を過去に投稿しています⇒記事はこちら
 
新宮方はこの先、右へカーブして専用線跡と分かれ、鵜殿地区中心部に広がる住宅街の中を西北西へ走ります。その後はトンネルを抜けて山間部へ入り、左へカーブしながらローカル風景の中を進むと進路を南南西に変えます。そして住宅地の中を通って県道35号をオーバーパスすると巨大な熊野川(新宮川)を渡って和歌山県新宮市に入ります。熊野川の川幅は広く、海の上を走っているようです。かつては左手に熊野灘を遠望できましたが、現在、河口部分に道路橋(新宮紀宝道路)を建設中で、海が見えなくなるかもしれません…。熊野川を渡り切ると会社境界を通過してJR西日本の管理エリアに入り、正面に立ちはだかる丹鶴山をトンネルでくぐり抜けます。山頂には丹鶴城跡があり、昭和期には城跡に旅館がありました。その旅館へのアクセスのために小さなケーブルカー路線がありましたが、廃止になっていて僅かに遺構が残っています(廃線跡探訪の記事はこちら)。丹鶴トンネルを出ると右へカーブしながら掘割区間で市街地を走り、やがて平地になると新宮駅へと至ります。新宮駅はJR東海とJR西日本の境界駅ですが、駅はJR西日本が管理しています。
 
 
あとがき
私が鵜殿駅で下車(乗車)したのは0回で、2016年のドライブ時に訪問したのみです。北越紀州製紙(当時の社名)の専用線跡を探訪した際に鵜殿駅にも立ち寄りました。無人駅ですが木造駅舎が残っていました。構内は貨物線跡が放置状態で草が生え放題となっていました。現在はどうなっているでしょうか? また、駅前は元々「村」だった地にしては建物の密集度が高く、商店も複数見られました。紀州製紙の企業城下町として発展し、近年まで独立した村だったのも頷けます。しかし、私が訪問したのが祝日だったからか、休業している店が多かったです。
 
東京からですと東海道新幹線で名古屋駅まで行き、紀勢本線特急『南紀』に乗り換えて熊野市駅で下車します。そして新宮方面の普通列車に乗り継いで当駅下車です。普通列車の本数が少なく、また特急との接続が悪い場合がありますので事前に時刻をご確認下さい。また、『南紀』で新宮駅まで行き、路線バスやタクシーで戻る事も可能です(路線バスの時刻は要確認)。尚、新宮駅での下り『南紀』と上り普通列車の接続は悪いです。相当タイトな日程になりますが、日帰り訪問可能です(最大滞在時間:4時間弱)。
一方、大阪からですと新大阪駅または天王寺駅から特急『くろしお』新宮行きに乗って終点の新宮駅まで行き、亀山方面行きの普通列車に乗り換えて1駅目で下車です。このルートですと相当タイトな日程になりますが、日帰り訪問可能です(最大滞在時間:3時間少々。東京発より滞在時間が短くなってしまいます…)。あるいは、大阪市内から近鉄特急で松阪駅まで行けば『南紀1号』に間に合い、東京発と同じ時刻に到達可能で、復路を松阪経由にすれば日帰りでの最終列車が18時00分発の多気行きになります(この場合、最大滞在時間は4時間45分です)。
(飛行機でのアクセスは考慮していません)
 
食料・飲料について、駅前にコンビニ、気軽に入れる商店・飲食店は一切ありません。最寄りの商店は約250m西の「ヤマザキショップ」と約250北東のスーパー「主婦の店」で、最寄りのコンビニは約800m西の「ファミリーマート」になります。事前に用意しておいた方が無難でしょう。
 
特に東京からの到達難易度が高いですが、紀勢本線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は鵜殿駅でも途中下車されてみて下さい!
 
(参考:Google地図、Wikipedia)