【仙台貸出のE653系】東北新幹線復活のはずが…福島〜仙台間で臨時快速に充当

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2月13日に福島県沖で発生した強い地震の影響で、23日まで運転を見合わせていた東北新幹線。

24日より復旧作業を終えて全線で運転再開となったものの、引き続きE653系を使用した臨時快速列車が運行されています。

新幹線の不通と代行輸送

2021年2月13日夜に発生した福島県沖を震源とする地震により、福島県・宮城県に大きな被害が発生しました。

翌14日より鉄道各線の復旧作業が進められることとなりますが、このうち東北新幹線については東日本大震災以前に建てられた架線柱が複数損傷、那須塩原駅以北については復旧に10日程度かかることが明らかにされました。

航空会社・高速バスへの増発要請とともに、15日に全線復旧となった在来線を活用した代行輸送が順次開始。

15日からは常磐線特急ひたち号のいわき〜仙台間・羽越本線特急いなほ号の酒田→秋田の区間延長。16日には東北新幹線の一ノ関〜盛岡間の再開にあわせて仙台〜一ノ関〜盛岡の臨時快速列車の設定がされました。

そして、22日より仙台駅以北で新幹線の運転再開が発表されるとともに、21日から23日までの3日間、仙台〜那須塩原間にて臨時快速列車が2往復運行されることが明らかにされました。

この臨時快速にはいなほ号で使用されている新潟車両センターのE653系1000番台U101編成が充当され、沿線のファンに明るい話題を提供しました。

運転再開なのに運行される臨時列車

2月24日より東北新幹線が全線で運転を再開したことで、大役を務めた仙台駅発着の臨時列車も運転終了……かと思われましたが、意外な動きとなっています。

常磐線についてはひたち8号の延長運転となっていた臨時快速いわき行きが24日も運行されました。これについては仙台停泊車両を戻す目的を主としつつ、移動の便宜を図ったのでしょうか。

一方のE653系U101編成は新潟車両センターへ返却される……と思われていましたが、意外にも仙台に留まって臨時快速列車の運行が続けられています。

運転区間はそれまでと異なる仙台駅〜福島駅に縮められているものの、引き続き新幹線停車駅と同等の仙台・白石・福島のみとされています。

設定経緯どころか運行されること自体もアナウンスされていない列車ですので、様々な憶測が飛び交っています。

まず、常磐線の臨時快速列車を含めて、復旧工事の遅れがあった時の為に備えておいた背景が考えられます。地震翌日に営業運行している那須塩原へ185系の快速が走った背景と近そうです。

次に、東北新幹線が徐行を伴う臨時ダイヤにて運行しており、輸送の足を確保する狙いが考えられます。特に車内掲示や案内放送にもあるように、国公立大学の前期試験を25日に控えており、受験生の移動手段確保のため……という色合いもありそうです。

このほか、新幹線が徐行による臨時ダイヤで接続が悪くなっていることも背景に考えられます。

23日までの運行と異なって公式発表などは一切されておらず、明日以降も運転されるのかが注目されます。

25日は運転されておらず、動向から返却されるものと見られます。

“借り物競走” 仙台支社の車両不足問題

さて、今回の一連の臨時列車ではJR東日本の鉄路を護る意思の強さに胸を打たれた声が多く寄せられていますが、仙台支社の車両がほとんど使用されていない点に注目するファンの声も多くありました。

2011年の東日本大震災では、磐越西線の快速あいづ号などで使用されている485系A1+A2編成や団体臨時列車などで活躍している583系N1+N2編成(いずれも3両ずつで編成番号が付与されていたため、各形式6両)が新幹線リレー号として仙台と福島の移動需要を担いました。

ファンから多く指摘されているのは、2両42編成=84両の719系を4両19編成=76両のE721系1000番台で代替している点です。このE721系の投入数自体は、東日本大震災以降の仙台支社管内では車両数の増減要素が多く、一概に主因だとは言えません。

東北本線の減車・常磐線の原ノ町駅以南のE531系運用への変更といった所要数減少、磐越西線の使用車両変化や着席サービス導入・仙台空港アクセス線増結といった所要数増加、そして東日本大震災で被災した4両の廃車や秋田支社の701系機器更新などに関連した車両のやり取りなどの仙台支社起因ではない車両数の変化などが挙げられます。

ただし、ここ10年で需給増減が複数重なった結果として、ここ数年の仙台支社では予備車がほとんどない厳しい車両采配が続いています。

現状手取り早い対応手段としては、秋田に転出したものの引退済だが除籍されていない719系を活用した転用がシンプルでしょうか。

JR東日本では維持コストの削減を目的とした予備車両削減傾向があることは否定出来ません。

中長期的なメンテナンス効率向上を図ること自体は経営判断として正しいと思いますが、突発的な車両故障などに対処する余裕がなくなってしまった事例は少なくありません。

次々に新しい技術を投入し、ファンの予想を超えるような斬新な発想で課題を解決してきたJR東日本。今回を契機として、イレギュラー時に現場がより柔軟に対応出来る環境が構築されることに期待したいです。

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画像元ツイート紹介

今回の写真は、フォロワーの東北鉄道さま(@traintohoku719)より掲載許諾をいただいています。

(引用ツイート1つめの日付は誤りです)

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