皆様こんばんは。ブログおよびホームページ管理人の神@北見です。

 

先日1987年4月の時刻表が届きました。私の趣味はほぼキハ58系オンリーなのですが、一口にキハ58系趣味と言っても、外観上の特徴、そしてそれを引き起こす製造時の設計変更、主に1980年代以降の細かな改造、そういった改造歴を複雑にする転配履歴、そして転配を引き起こすダイヤ改正など… キハ58系について調べると言っても、メカ的なことから配置表・車歴簿、時刻表などまで色々調べる必要があり、一生掛かっても纏めきれないのかなぁなんて思っています。そしてキハ58系が運用されていた当時の時刻表からその配置の背景などを調べるべく、購入したのでした。

 

1987年4月というと国鉄からJRへ移行した最初の時刻表になります。国鉄時代はまず1982年に広島地区で地方都市圏の電車型ダイヤのモデルケースを確立し、それは続く「59-2」「60-3」「61-11」改正で各地へ浸透し、旧型客車の全廃、都市型ダイヤの浸透が進められるようになりました。

 

ということはJRになった1987年4月というといわゆる長距離普通列車なんて無くなり、今と近い状態になっているかと思って時刻表をパラパラとめくっていると、今とはかなり様相が異なり、かなりスゴい列車や今では考えられないような列車が沢山走っていました。
 

ちなみに現在の長時間普通列車はその大半が飯田線に集中しており、次の2021年3月改正では1位が豊橋発岡谷行きの6時間55分で、以下6時間越えが第7位まで全て飯田線で占められています。その他5時間越えもあるようです。それ以外というと飯田線以外で唯一6時間越えで6時間5分の旭川発稚内行き、5時間18分の伯備線経由西出雲発岡山行き、同時間タイの高松発松山行き、5時間7分の新得発釧路行きなどがあるようです。

 

現在の傾向としては担当区所毎にエリアを分け、そのエリアを跨がず自区所エリア内で完結するような運用が増えているように思われます。これは他区所エリアに進出し長距離運行を行うと、遠地のダイヤの乱れを他地域へ持ち込んでしまうこと、車両故障等があった際に他区所から予備を出さなければならないこと、一部区間で運休や輸送障害があった際の対処が難しいなどが考えられるでしょう。一方で大都市圏では湘南新宿ラインや上野東京ラインのように、都市ターミナル駅で折り返していた列車を繋げることにより長距離列車が生まれる傾向があり、小田原で「高崎行き」なんてものを見るとちょっとびっくりしてしまいますね。

 

ではここでJRになった直後の時刻表から、どんなすごい普通列車が走っているかを時刻表の前から順に見てみたいと思います。目安として5時間以上走っている列車です。なお時刻表をパラパラめくって目に付いた列車のみをピックアップしていますので全普通列車を拾い上げて長時間順に並べるまでのことはしていませんのでご了承願います。

 

まずは東海道本線です。

 

↑東海道本線なんて何も無いと思いきや、いきなり「浜松発東京行き」なんていうのが出てきます。現在は東京発の最遠は沼津ですね。ギリギリ5時間越えの5時間2分です。

 

↑先ほどの列車の東京口です。列番は328Mとのことです。その他、改めて寝台特急の多さを実感します。

 

↑反対の夕方の下りです。こちらは2本ありますが5時間を切っています。ただ331Mの「浜松・山北行き」というのも凄いですね。

 

↑土休日ページです。長距離普通列車ではありませんが、寝台特急の多さと、「踊り子」号の多さ、そしてさり気なく走っている急行「東海」が今とは隔世の感です。

 

↑JR東海区間です。現在では浜松or豊橋で運用が区切れ、静岡管内と名古屋管内を直通する列車はありませんが、この当時は「熱海発大垣行き」なんて走っています。堂々の5時間59分です。

 

↑反対はもっとすごく、「美濃赤坂発熱海行き」になっており、5時間25分です。

 

愛知と静岡との国境を超える普通列車は1990年代まで存在していました。通常浜松で乗り換えるのですが5分の乗り換えでは乗り継ぎ先の列車が既に満員の事が多く座るのが困難でした。なので18きっぷを使って移動する際はこの国境を超えて直通する列車に選んで乗ったものでした。これは大垣で座れば熱海まで座ったまま行けましたからね。その代わり尻が痛くなりましたが…。

 

続いて紀勢本線です。

↑当時の紀勢本線(東側)の普通列車は、大半が亀山から新宮まで通しで運行されており、停車時間等で5時間を超えるものがありました。

 

続いて高山本線です。

↑高山を通り越して富山から美濃太田まで行く普通列車が2本あり、5時間を超えていました。このうち834DはJR東海のキハ48とJR西日本のキハ58系の併結で富山を出発する列車でした。このJR西日本のキハ58が美濃太田まで行ったかどうかは良く覚えていません。途中の猪谷か高山で切り離しだった可能性もあります。美濃太田~高山でJR西日本キハ58系が定期運用を持っていた記憶がありません。

 

続いて北陸本線です。


↑米原発富山行きというさり気なく凄いのが走っています。5時間26分ですね。この他福井発直江津行きというのもありました。

 

続いて紀勢本線(西部)です。

↑日根野発新宮行きという凄いのが2本も走っています。1本目の2332Mは5時間28分、2本目の2334Mは5時間37分です。特に2本目は日根野7:45発というラッシュ時間帯ですが、これ113系だったのでしょうかね? まさかこの時間に165系だったら大ごとです。

 

続いて山陽本線です。このエリアは数年前は長時間普通列車が多く走っていると話題でしたが、広島地区の運用が分離され227系化された際に列車も分断され、長距離列車はなくなっています。

↑見づらいですが、岡山発下関行きという長距離列車です。しかも途中「呉線経由」というオマケ付きで堂々の7時間29分です。いやぁこれは尻痛確定です。

 

続いて、意外なところで芸備線です。

↑全列車は挙げていませんが、普通列車は軒並み広島から新見まで全線通して運行されています。そして所要時間も5時間半から6時間近くかかっていますね。その他、広島から朝に三次に向かって下る客車列車や、備後落合始発の客車列車などが非常に気になります…。急行「ちどり」は当たり前のように米子行きで5時間越えですが、当時優等列車での5時間越えは珍しく無かった事でしょう。

 

次は5時間越えはしませんが意外な発見でした。因美線です。

↑現在では智頭で系統分離されている因美線ですが、当時は智頭はおろか津山も通り越して岡山と鳥取を直通する普通列車が多数運転されていますね。所要時間は4時間弱なので大したことはありませんが、現在からは考えられない運行です。

 

続いて山陰本線です。国鉄末期は門司発福知山行きという最長普通列車が走っていたことで有名な路線ですが、JRになってどうなっていたのでしょうか?

↑やっぱり山陰本線はヤバいことになっています。右の827レは出雲市発下関行きの普通列車で、9時28分発18時58分着で堂々の9時間30分です。これも尻痛確定です。左ページにある浜田発下関行きの6時間27分が霞んで見えます。ただ良く見ると浜田・益田・長門市といった拠点駅で30分以上の長時間停車しているので、腰痛体操したりお弁当を買う時間は十分にあるでしょう。また急行「さんべ」も一部普通列車ながら鳥取発下関行きで8時間56分かかっており、なかなかのものです。これは途中停車時間も少ないので尻痛という意味ではより過酷かも知れません。

 

↑山陰西部の朝の上りは軒並み凄いことになっています。

 

3220D 須佐4:34発 鳥取10:54着 6時間20分

3182D 益田7:47発 豊岡14:46着 6時間59分 

438レ 長門市5:25発 出雲市11:35着 6時間10分

3254D 長門市7:52発 米子13:44着 5時間52分

824レ下関5:45発 出雲市14:11着 8時間26分

 

軒並み5時間越えで、下関発出雲市行きは8時間越えになっています。

 

あと、快速とは言え益田発豊岡行きの6時間59分も凄いですね。これってキハ58系でしたっけ? 何か山陰本線にはキハ181系を使う快速が1本くらいあったような気がしますがこれでしたかな?

 

続いて九州ですが、九州はあまり長時間普通列車ってありません。以外と九州って広くないのでしょうかね。唯一5時間越えが日豊本線にありました。

 

↑大分を通り越して杵築発の宮崎行きです。5時間16分とギリギリ5時間越えです。大分止まりでしたら5時間超えなかったでしょう。

 

続いて四国です。九州ですら1本しかなかったのでこれより小さい四国では5時間越えなんて全く考えられないのでは?と思ってしまいますが、四国には意外と凄いのが沢山走っていました。結構多いので抜粋してご紹介します。

 

まずは予讃本線です。

↑松山から高松まで直通する普通列車は比較的多く設定されており、しかも「客車列車」もありました。客車は気動車より足が遅いので時間もかかる傾向にありました。この126レは松山6時19分発高松13時27分着で堂々の7時間8分です。

 

↑左の128レは松山発13時29分 高松着20時12分で6時間43分でした。右に184Dという同じく松山発高松行きがありますが5時間47分で1時間くらい早く走っていました。まぁ5時間は優に超えていますが…。

 

続いて土讃本線です。

↑高松発須崎行きという気動車普通列車があり、5時間8分とギリギリ5時間越えしていました。また一番左には4時間未満ですが高松発高知行きの夜行客車列車221レが走っており、なんとも興味深いです。

 

↑高松発須崎行きは昼間にもあり、こちらは昼間で退避等が多いのでしょう、堂々6時間44分かかっています。また右の方には「高松発川之江・高知行き」という客車列車があり、高知行きは5時間22分かかっていました。他の列車と比べると時間的には大したことないかもしれませんが、客車普通列車で途中分割するというのがミソですね。

 

なお土讃本線の上りは高知を通り越して高松に行く列車が無いのであまり長時間になっていません。それにしても九州よりずいぶん小さな四国ですが、長時間運行の普通列車が意外と多いのに驚きます。あと意外と客車列車が多いです。

 

ということで、JRになったものの依然として国鉄時代の運行形態が色濃く残っていることが分かりますね。まぁJRになったばかりなので当たり前なのですが…。現在のダイヤとは大違いであるのが分かります。JRになって既に33年も経過していますからね。ついこの間の出来事なんていうと歳がバレてしまいそうです。。。

 

ここで時刻表は関東から東北方面に飛びます。キリが良いので今日はここまでにして続きは次回にしたいと思います。東北本線では現在ほどでは無いにせよ仙台圏で運用が区切られており、また線形も良く表定速度が高いためあまり長時間走行列車はありませんが、意外なところで面白い列車が登場します。

 

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。それでは次回もお楽しみに!!