■岳南電車
静岡県の岳南電車は、東海道線の吉原(よしわら)岳南江尾(がくなんえのお)の9.2kmを結ぶローカル私鉄。
 
「こんな短い路線で観光列車?」
「富士山見ながら走るの?」 
と思った方、残念でした😜
 
発想が斜め上をいっていました👍
沿線は富士山のふもとでありながら、工場地帯の中を縫うように走る路線で、夜になるといわゆる工場夜景が見られる路線なのです。
 
そこで考えられたのが、列車の照明を消した状態で運行し、工場夜景を楽しんでもらおうという「夜景電車」です。
誤解を恐れずに言えば、照明を消すだけなので、経費もほぼゼロ!?
 
 
夜景電車には2種類あり、定期列車の2両編成のうち1両を消灯する「夜景電車」と、編成まるごと臨時ダイヤで運行する「ナイトビュープレミアムトレイン」があります。
そこは迷わずに本格派の「ナイトビュープレミアムトレイン」を予約してみました。
 
 
■吉原駅
受付時間に吉原駅に行くと、車両はすでに入線済み。
岳南電車のエース9000形電車が、前後で違うデザインのヘッドマークを付けて停車していました。

まず感心したのは、停車中の車両の写真を撮りやすくするため、投光器で車両をライトアップしていること✨
さすが、鉄道ファン目線を持ち合わせている岳南電車です😂
 
 
元富士急行の1200形で、車内は転換クロスシートとロングシートが不規則に配置されています。
 
座席番号は指定されていますが、コロナ感染予防のため、1名参加の方も含めて相席にはなっていませんでした。
そして、窓は開けた状態になっています🍃

換気の目的もありますが、工場夜景の写真を撮るには窓が開いていた方が好都合です。
(冬場は寒いので、厚手の服装でお出かけください)
 
 
受付で頂いたグッズの数々。
オリジナルドリップコーヒー(夜景ブレンド)、岳南電車社紋入りどら焼きミネラルウォーター星型の乗車券光るきっぷ(当日または翌日利用できる1日乗車券)です。
 
 
車内には車内販売もスタンバイ。
 
 
つり革の部分には、提灯のようなオブジェが。
 
 
この提灯がどうなるのか、出発してからのお楽しみ。
 
 
■いざ工場夜景
運転士さん、車内販売アテンダントさんの他、夜景観光士の資格を持つというガイドさんが乗車。
出発10秒前から、乗客全員でのカウントダウンをして、出発進行!
カウントダウンだけなのですが、少し乗客同士の一体感が生まれました。
 
そしてほどなくで消灯😉
車内は提灯の明かりのみになり、夜景がバッチリ見れそうです。
 


出発して早速、工場夜景が見えてきました。
まずは日本食品化工という会社の工場です。
 
 
そして、オレンジ色のナトリウム灯で照らされた工場。
紫外線を発しないので虫が集まらないというメリットがあるそうです。
 
 
岳南原田(がくなんはらだ)を通過すると、日本製紙富士工場のパイプラインの下を通ります。
この辺りが最も工場らしい区間で、往路は徐行、復路は一時停車をしてくれます。
 
 
何だか探検気分でワクワクします。
 
 

■夜を演出
列車は、岳南富士岡(がくなんふじおか)駅で10分ほど停車。
この駅には、かつて使用されていた機関車などが留置されていることから、写真撮影タイムとなります。
 
ここでもガイドさんが、機関車に向けて明かりを照らしてくれたので、きれいに撮影することができました✌️
 
 
岳南富士岡駅を出てすぐのところに、甲高い音で鳴る電鈴式踏切があるということで、その音を聞いてみたりしながら、終点を岳南江尾駅を目指します。

全長9.2kmという路線なので、いくらゆっくり走っても終点はすぐそこ😁
終点の岳南江尾駅に到着です。
 
岳南江尾駅は、竹灯籠やシャボン玉でライトアップされていて、ファンタジーの世界のようでした🎉
 
 
竹灯籠とシャボン玉の演出には、工場夜景にはあまり興味なさそうにしていた子どもたちも大喜びの様子でした。
 

また、すぐ近くには、東海道新幹線の高架橋があって流れ星のように通過する新幹線が、夜景電車に華を添えていました🌠
 
列車は折り返して、吉原駅を目指します。
復路は途中の本吉原(ほんよしわら)で10分ほど停車。
駅の背後には、大日製紙の工場があり、何やらゴロゴロと音がしています🤔
 
 
また岳南電車の駅で特徴的な、アーチ型のホーム上屋も絵になります。
 
「夜景電車は素晴らしいですけど、夜は富士山は見えなくて残念ですね」とガイドさんにお話したところ、冬場の満月の日などは、月明かりに富士山に雪が反射することから、夜でも富士山が見えるとのこと!
ぜひ一度見てみたいものです🙌

2021年の夜景電車は、非常事態宣言の発出に伴い現在運休中ですので、お出かけの際には、最新情報をご確認くださいね。