京都鉄道博物館特別展示・117系 T01ー③ | 安芸もみじ ─ Photographs, Historys, Railways,-JAPAN┃広島
2021年02月10日(水) 21時30分00秒

京都鉄道博物館特別展示・117系 T01ー③

テーマ:鉄道関連のイベント

京都鉄道博物館で、昨年11月7~10日に特別展示された、117系 T-01編成の続きです。

前回の117系特別展示の記事のラストで『写真は度を増すのできっと「何が面白いん?」的になるんですけどねぇ』と宣言した通りです(笑)

京都駅へいると、今なら必ず会える現役車両ですから、博物館ならではの写真の究極となるとこうなります。



車両基地の一般公開でもなかなか見ることができないであろう、電車の床下・床裏を攻めてみました。

もし許されるなら、自撮り棒を使って展示4両の床裏をまるまる連写したいぐらいの気持ちです。

が、こうしてじっくり実車を観察できるチャンスこそ博物館の醍醐味なので、見える所だけでも楽しい時間でした・・・・本人はね。



しかしブログで電車の足や床裏の写真ばかり並べられても、見る方は『何のこっちゃ』カモ知れません。

でももし、ご覧になって頂いている方がメカ好きなら、この甘美な景観は絶対に共感できると信じてます(笑)

さて、80系電車が誕生した1950(昭和25)年から7年後の1957(昭和32)年、それまでの駆動方式とは一線を画す新型 90系電車が生まれました。



90系電車はその後、いの一番の形式 101系と改められ、ここから戦後の鉄道車両は新性能電車と呼ばれるようになります。

101系電車は通勤型電車でしたが、この電車をベースに近郊型電車の開発が進められ、電源の直流区間と交流区間を直通運転できる401系電車と421系電車が、1960(昭和35)年に登場します。

401系電車は東日本の交流区間 50kHz用、421系電車は西日本の交流区間 60kHz用の車両でした。



また、旧式となってしまった80系電車の置き換え用として、直流区間専用の近郊型電車として、1962(昭和37)年に111系電車が登場します。

利用者の増加によってデッキ付き乗降口と、全席クロスシートの構造と、旧型客車をベースにした車幅に、一世代前のモーター出力は輸送力の障害となりつつあり。

横須賀線等で使用されていた70系電車の車内構造を取り入れて、車幅をワイドボディとして両開きドアとしたデザインは、既に常磐線へ投入されていた401系電車で混雑緩和に有効であることが実証されていました。



401系・421系・111系電車は交流電源を直流電気に変換する整流器や変電装置が搭載されているかいないかだけの相違で、それ以外は定格出力100kW/hのMT46A形直巻電動モーターを搭載。

そして歯車比も同一の4.82、主制御器もCS12A形が採用されていて、事実上同一の汎用形式でした。

1963(昭和38)年には111系電車の定格出力100kW/hから120kW/hにパワーアップした113系と、長い下り勾配を安全に走れる抑速ブレーキ搭載の115系が登場します。



交直流電車も1965(昭和40)年に西日本向け 423系電車が、1966(昭和41)年には東日本向け 403系電車が、定格出力 120kW/hモーターを搭載して登場。

1967(昭和42)年には北海道向け交流電源専用の711系電車が誕生。

711系は冬季の極寒環境のため、急行型電車と同じくデッキ付き乗降口の構造として、前後2ドアで外気遮断し、窓も二重構造となっていました。



1971(昭和46)年になってやっと、50kHzと60kHzの共用整流器が実用化され、403系電車と423系電車が統一された新型形式 415系電車が誕生します。

国鉄近郊型電車は、この113系・115系・415系・711系電車の、この4形式で日本全国の電化路線総てがまかなえることから、これ以降の新形式は次世代電車となるだろうと思われていました。

しかし・・・・。



私鉄王国と呼ばれた京阪神地区で、劣性に甘んじ続けていた国鉄は1970(昭和45)年、特急列車同等の停車駅とスピードながら、特別料金を必要としない快速列車"新快速"の運転を開始していました。

運転開始当初は113系電車を使用していましたが、1972(昭和47)年には新幹線延伸によって余剰となっていた急行型 153系電車と差し替えて、利用者へのサービスアップを実施しましたが。

利用者の増加と共に運転本数も増えて行く過程で、急行型電車ならではの弊害として、立ち席による混雑とデッキ付き乗降口による遅延が問題化してしまいます。



その当時の普通列車は冷房装置は装備されておらず、エアサス台車に冷房装置搭載、ゆったりシートピッチという153系電車の快適性をそのままに、近郊型の特性である車内混雑緩和と乗降のスムーズ性を兼ね備えた新型電車の計画が上がりました。

そして誕生したのがこの117系電車で、1979(昭和54)年から1986(昭和61)年にかけて新製・増備され、主に153系の置き換え用として216両が製造されて、中京地区にも投入されました。

急行列車という種別そのものの減少もさることながら、この117系電車の登場こそが急行型電車を不要な車種とし、全廃への道を歩ませた分岐点とも言えます。



それだけ画期的だった117系電車も、新快速運用では後任の221系・223系・225系電車へと変遷し、117系電車の一部は115系3500番台へ改造されて広島地区にて。

他にも関西地区・岡山地区・下関地区で117系としてローカル運用をこなしていましたが、RedWing-227系の広島近郊地区登場によって。

115系3000番台と3500番台が下関地区へ転出されて、現在は関西地区と岡山地区でのみその姿を見ることができます。



また、特急型車両に改造されて WEST EXPRESS 銀河 として1編成が、季節により山陰・山陽・紀勢方面へ運転されます。

余談ですが、117系電車は京阪神地区限定の形式として開発されたため、115系電車は1983(昭和58)年まで製造され、ラストナンバーはMM'ユニットが3012、Tcセットは3021 / 3121となっています。

また、415系電車誕生当時には411系・413系電車は存在せず、実施されませんでしたが401系・403系電車を411系電車へ、421系・423系電車を413系電車へ改造する予定でした。

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建国記念日の意味、知ってる?

National Foundation Day,國家建國紀念日


さて、本文では117系誕生と今の物語りを記しましたが、写真は床下機器なので少し性能緒元にも触れておきます。

台車は0番台が、ウイングばね式インダイレクトマウント空気ばね台車のDT32EとTR69Hを履いており、100番台は円錐積層ゴム式ボルスタレス台車のDT50CとTR235Bを履いています。

主電動機はMT54Dで定格出力は120kW/h、 歯車比4.82となっており、ブレーキは抑速ブレーキ搭載で、イメージ的には115系電車をベースに高速運転車両を設計した様式となっています。


写真には1つ1つ解説を付けていませんが、前半は0番台(Tc)で後半は100番台(MM')なので、台車は見比べてみて下さい。

WEST EXPRESS 銀河への改造においては、基本的に台車、モーター、ブレーキなど走り装置には手を加えられていません。

117系のエアサス台車は、日本初のブルートレイン 20系客車と、同じく日本初の電車特急 20系電車 → 151系電車からの系譜です。


鉄道の台車は鋼性バネと空気バネの併用によって、荷重調整と遠心力と衝撃吸収を担っており、客車・貨車・気動車・電車の車種なく、特性に合わせて設計されています。

鉄道では黎明期からブレーキに圧縮空気を使用していたため、国鉄では新幹線の他、急行・特急型を始め、201系以降の通勤型、117系以降の近郊型と幅広く採用されるようになりました。

さて、今日は建国記念の日ですが、「建国をしのび、国を愛する心を養う日」と言うことで、思想とか理念など関係無しに、日本という国家が誕生する以前から、自然の営みの中で生きてきた先人達の悠久の歴史に、思いを馳せてみるだけでも良いですよね。

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