久しぶりの投稿ですが、生活もほぼ落ち着き車両レストアも再開しました。

本日のお題は「もっと酷い状態の80系ショーティがある」と以前に記したその品です。

 

熟成期間3年ほど。真鍮素材とまとめて出品されており、思わず落札した品でした。

 

さて、それなりにジャンク車両を扱って来た筆者。しかし車体が分断されたパターンは初めてです。

 

その昔、阪急電車5300系の先頭車5309号が、運転台部分だけ切り離せる構造だったのを思い出しました。事故復旧をスムーズに行うための工夫だったと聞いた覚えがあります。

なお現在は、リニューアルに伴い完全に一体化されたようです。

はて、前任者は何を思ったのか?

 

並べ替えてみると、どうやらフルスケールの先頭車と中間車を作れます。スケールモノへの執着が生んだ錬金術というわけですね。

 

で、こちらが残り。

トマソン建築ならぬトマソン電車と言いましょうか。

これは...どうしようもありません。

 

スケールに仕立て上げるのも選択肢の一つでしょうが、ここはやはりオリジナルへ復元することにしましょう。

5309号よろしく、阪急の匠の技に挑戦(?)です。

 

先ず塗装剥離。

 

接合方法について。

KSモデルの6×6アングル材を側面内側に取り付け、前後を結合。

隙間を真鍮板で裏打ちして仕上げることとします。

なお、アングル材には床板固定用のM2ネジ穴も予め施工。

 

アングル材を付ける車体部分にはハンダメッキを施した上で取り付け。お顔がくっつきました。

 

端材の真鍮板で裏打ちしていきます。

 

その間に妻面も接合します。

 

裏打ちが終わり、表面の方もハンダ盛りとキサゲがけで切れ目を目立たないよう処理しました。これが結構大変。熱を回しすぎると折角整った部分も流れ出してしまうのです。ハンダの溶融度合いを見極めながらコテ先と格闘する作業です。

 

引き続いてKSモデル真鍮帯板を購入、シルヘッダーに欠落部分にひたすら貼り付けていきます。

こうして1両目の復旧完了です。

 

 

 

 

 

続いて2両目。

 

先の車両と切断場所が異なります。車体長を測りながら接合すると、かなり隙間が残ります。寸法の都合で短く切り詰められたのでしょう。

 

とにかく、1両目と同じく裏打ちとハンダ盛りでせっせと埋め合わせて行きました。

 

こちらの車両はシルヘッダーにオリジナルパーツが大部分残っていたので、ハンダメッキして再取り付けしました。

 

接合部キサゲがけで何とか形に。

 

歪んでいた幌も修正。

2両目完了です。

ここまでにかかった時間、約1か月...。

 

 

 

 

 

あと1両残っていますが、気分転換がてらパーツ作成に取り掛かりました。

押し込み型ベンチレーターが3両とも欠品。実家にある完成車体を基に真鍮板で作成することにしました。

プレスなんて高等な機械も技術も持ち合わせていませんから、t0.3真鍮板で折り曲げて組み立てます。

イメージスケッチ...

 

切り出し、折り曲げ、継ぎ目をハンダで処理、そして肩のRをヤスリで削り出します。

 

早速取り付けてみます。うん、良い。

 

量産体制に入ります。

 

2両とも車体が仕上がりました。

 

時間を置くと錆が発生するため、取り敢えず先にこの2両を下地塗装することにします。

 

ホームセンターでベニア板を購入。床板を作成します。

 

パーツ仮置き。

 

t0.3真鍮板から妻面用のカプラーポケットを作成。

 

続いてt0.8真鍮板でボルスター作成。台車固定用にM3ネジをハンダ固定。

 

台車側の不足パーツ(手前)をt0.5真鍮板で作成。

 

塗装まで済ませて、床下は3両分出揃いました。

 

 

 

 

 

 

さあ、ラスト1両の復旧工事に取り掛かり。

 

こちらの車両、幌パーツがありません。

t0.3真鍮板で作成します。精度はまあまあ。

 

その後、下地塗装。切継部分はやはり凸凹が残っていたため、塗装とペーパーヤスリがけで処理をしていきます。5回は塗り重ねたでしょうか。

 

いよいよ車体色塗装へ。

湘南色は何台か持っているので、ここは関西人としてのアイデンティティと言うか自己主張というか、あの塗装にします。

 

先ずベージュ。

 

お馴染みの形にマスキングして...

 

そう、関西急電色です。

オデコの部分は車両毎にフリーハンドでマスキングするため、微妙にラインが異なっていますが、まあ良し。

 

光沢クリアで塗装。

 

床板と組み合わせます。いやあ、よくここまで来れたものです。

 

窓ガラスパーツは100円ショップのクリアケースを流用することにしました。

このサイズで2枚分取れるのでコスパ最強です。

 

窓ガラスをはめたところ。

 

 

 

 

 

電気関係をやっていきます。

セミ固定用台座をt0.5真鍮板から。

 

配線を行っていきます。

 

台車も再塗装することにしました。

 

尾灯用に麦球を購入。尾灯ケースにはハトメを流用します。組み合わせたところ。良い感じです。

 

偶に直径の大きな麦球があって、ハトメを切り開いて対応しました。

麦球がオリジナルの尾灯より大きいため、やや玩具チックな顔つきに。

 

T車の切替スイッチは単なるトグルスイッチを使用します。t0.5真鍮板から固定台座を作成。

 

短絡しそうな部分があったので、セミに紙を巻いて簡単に絶縁加工。

 

1台について、前照灯をはめようとしたら、口径が合わないトラブル発生。

急遽部分的に塗装剥離してやり直しました。

 

灯具類を装着、一応の完成を見ました。

 

帰省の際にM車用パンタを見繕い、ようやく完成。

何度か床板を着脱した為に一部塗装が剥がれてしまいましたので、いずれ時間を見つけてタッチアップしましょう。

 

床下配線も針金固定でスッキリ。

 

 

 

オリジナル車体に戻しただけなのに、トンデモナイ魔改造をした錯覚を感じるレストアでした。