只見線の復旧がちかづいているが | 鉄道きさらんど

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いつも列車・バスなど公共交通の事ばっか考えてます。

この頃鉄道とバスのこと、鉄道の整備に田舎の自治体が税金を出して整備することについていろいろ書いてきた。それで思い出したが…。

 

只見線の会津川口・只見間はもう10年近く不通だが復旧工事が進み再来年度には鉄道として列車運行を再開するらしい。

 

JR東日本は廃止したい気持ちを隠していなかったのにあえて地元の県や市町村が負担をしても(交付団体なので純粋な自主財源ではないが)復旧に向けて県が第3種鉄道事業者となったり工事費用を出したりすることを決断したのはやはり只見線が地域のシンボルであり再び一本に繋がることが大事だという信念や、観光資源になるという信念があるから。特に全線が開通していない従来も、コロナ禍に見舞われる前は台湾など訪日外国人の観光の目玉として注目されていて「日本一美しいローカル線」「日本で訪れるべきスポット」として称賛されインスタ映えすると好評だったというのもある。だから地域の足としての利用がわずかでもインバウンドを呼び込む観光資源として復旧を決めたと。しかしこの前提も怪しかったのでは。もともと新型コロナウイルスの世界的な蔓延がないころから、東京オリンピック・パラリンピックが予定通り行われても2020年はともかく21年以降はインバウンド熱が次第に冷めていくと予測されていた。

 

そしてパンデミックに世界が襲われ予定通りの去年のオリパラ開催も実現せず、渡航が不自由になった現在。インバウンドは完全には元通りに戻らないと断言できないにせよ回復するのに何年かかるのか。いつまでも従来のインバウンド熱が蘇らない可能性もあり、そうなるとわざわざインスタ映えする観光資源として只見線を地元が大金をかけて(しかも交付税が含まれているから全国の国民負担でもある)復旧させる意味があるか問われるだろう。

 

只見線の会津川口・只見間は復旧後のダイヤは被災前の3往復が原則だという。被災前のダイヤと同じ水準というと聞こえがいいが、今は代行バスでだが同じ区間に1日6.5往復ありむしろ現状より減便されて不便になるとは以前指摘した。そういうことになるのに復旧に税金を投入し、当てにしていたインバウンドもなかなか回復しないとなるとどういう意味があるのだろうか。

 

インバウンド壊滅、国内の旅行や外出自粛ムードも継続、沿線のさらなる過疎化という現状から考えると運転再開後の実際の利用状況はもともとの需要予測さえも下回るかもしれない。1日3往復のダイヤも維持できないかもしれない。そうなると税金で鉄路を復旧させる意味が問われるだろう。

 

今でさえ福島県の外部監査でこういうふうに批判されているんだしね。