吉備線と宇部線 | 鉄道きさらんど

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いつも列車・バスなど公共交通の事ばっか考えてます。

 

吉備線のLRT化計画が暗礁に乗り上げている。やはり沿線自治体もJR西もコロナ自粛による税収減や運賃収入減で新しい大規模投資をためらってしまうのだろう。というか、このLRT計画は路面電車化ということもさることながら老朽化した吉備線の非電化の線路などの設備や気動車をJR単独で更新や電化ができない(JR西日本がすすんでやりたがらない)から電化・電車化をJR西日本からの分離・新会社設立で実現するというのが狙いだと思う。

 

それがもしとん挫するとすれば、JR吉備線として残り続けるが中長期的なビジョンは描きづらい。JR西がLRT化を提起したのは沿線自治体を巻き込んで車両や設備の更新をしたいという本音があり、ならJRが単独でJR線のまま車両などを置き換える気があまり起こらないだろうから。国鉄型気動車が寿命を迎えて使えなくなる時になってどうするつもりだろうか。

 

 

車輛を新しくするなら今の気動車を新車に置き換えればいいがJR西日本はこういう都市近郊路線に向いた通勤型気動車を独自に開発していない。他社のキハ25やキハE130をベースに作れればいいが、軽快気動車よりは金がかかるし今になってJR本州3社のような業界大手が液体式気動車を(事業用でもないかぎり)新規に導入するというのは世間体的にもやりづらいだろう。なら電化となるが金はかかる(全くの新車でなくていいな他線からの転属で電車を賄う手もある。)蓄電池式車両もよさそう(819系のような)だがこれも給電設備はいる。沿線自治体がお金を出すという手もあるがJRという完全民営化した会社にお金をポンと出す意思決定もしづらいだろう(だから経営分離して3セク新会社で電化路線に電車を走らせるという構想、すなわちLRT構想が生まれたのだし)

 

今はまだ具体的な計画がないが、氷見線・城端線のLRT構想も同じようなものだと思う。JR西日本としては単独で設備や車両を更新する体力がない、自治体もJR西に直接税金で補助はやりづらいから新会社へ分離して設備や車両を更新するのが主眼。しかしこれもとん挫しかねない可能性もあり、そうなるとだましだまし極限まで今の古い気動車等を使い続けて限界になったらバス転換という事になりかねない。

 

 

こちらは構想を凍結したが、宇部線BRT化構想も似たようなものだろう。今は田舎町の自治体が大金を投じて地域交通の新プロジェクトをやるのは難しい。こちらも電化はしているが線路や車両の更新の時期が来そうで、しかしJR西日本には新車をいれる投資をして残し続ける体力がないから自治体を巻き込んでLRT化構想と違い鉄道は廃止するが単純なバス転換とは違う新しい交通モードに置き換えたいと。こちらも新幹線のぞみ停車駅に連絡・接続する役割があり一定の通勤通学利用があるから鉄道の廃線であるBRT化には反発がある。(例えばこのページ)確かに三江線などとは比較にもならないしたんにバス転換ではかえって不便になる。

 

 

しかし、新幹線連絡や空港最寄り駅(正式に空港連絡を謳っていないが)という特徴があっても長期的に利用が低迷しており、だから老朽化した車両がそのままという事態になっている。宇部には公営交通である交通局の市バスがあるとなると市バスと一体的に運行できる市出資の新会社や新たな専用道を作ってのBRT運行は悪くない。新幹線連絡にしても鉄道でなくバスが担っている区間は多い。盛岡から山田線と並行し山田線列車よりはるかに本数が多い106急行バス(さすがに宇部線と山田線を一緒くたにはできないが)、山口でも萩へは新山口から特急バスが担っている。

 

これらの路線は単にそのまま残すでも廃止でも新会社分離でのLRT化でもなく設備や車両の更新や電化に自治体がお金をだして残し続けるという考え方もあるだろうが、完全民営化して、外資率が高くそれでいて今のコロナ禍では業績が減っているJR西日本に税金投入は穴の開いたバケツに水を入れるかのようになりかねない。専用道化してBRT運行は初期費用が掛かるがLRT化より安いし長い目で見て出血が最小限になる可能性があるので検討すべきと
思う。