International Railway Journalの2021年1月21日記事「Trainose receives first Pendolino for Athens – Thessaloniki line」を元に作成したブログです。

 

 

ギリシャの鉄道会社、Trainose(トレイノーゼ)は、2021年3月、ギリシャの首都アテネと、同国第二の都市であるテッサロニキ間に、車体傾斜式車両であるETR470を導入するようです。

 

Trainoseは、ギリシャの鉄道会社ですが、2017年にイタリア国鉄に買収されています。その影響で、イタリア国鉄の「お下がり」が回ってきたというのが今回の経緯と見受けました。合計5編成が導入される予定だそうですが、今回のニュースはアルストム社での改造を終えた最初の1編成が納品されたことをうけての報道です。

 

少し話は脱線しますが、ETR470について。兄弟形式で460、480、485とラインナップがありますが、外観は共通です。ETR460が1993年に最初に製造されペンドリーノとして知られた「振り子列車」です。日本での電車振り子の先駆けといえば381系電車ですが、それが自然振り子式に対して、油圧なので車体を強制的に傾かせる機構が備わった「強制車体傾斜式」が採用された電車です。いわずもがな在来線で曲線が多い路線での速度向上を狙って製造されてきました。ETR470はその形式特徴はそのままに、スイスとイタリアの合弁会社「チザルピーノ」が会社発足の1996年から使用していた車両となります。ちなみにチザルピーノ自体は現在解散しており、その編成の一部をTrainOSEのオーナー、トレニタリアが所有していたことが今回の「縁」となります。

 

下記はチザルピーノで活躍していた頃のETR470。

 

今回の導入に至るまでには、2018年9月にETR485を使用したギリシャ国内でのテスト走行を行っており、その結果をうけて2019年3月に導入が発表されていました。またこの区間の電化も2019年とのことでこの数年で急激に近代化しているようです。

 

こんな感じで歓迎のツイートも。

 

IRJの記事ではETR470ですが、このツイート内では車番を「ETR480」となっています。外形は460、470、480とも変わらずですが、乗り入れ先ので電力方式にあわせて形式番号が振番されていました。

 

ETR460 直流3kVのみに対応

ETR470 直流3kVとスイス国内の電化方式交流15kV、しているのに対し、

ETR480 直流3kVと交流25kV50Hz

 

記事内には、交流25kV50Hzへの調整工事がされていることが書かれていましたので、元はETR470だったのかもしれませんが、仕様を加味すればツイートの通りETR480が正解な気がします。

 

肝心の導入効果については、両都市間502Kmを、従来の所要時間では4時間10分要していましたが、ここから大幅に短縮し3時間となる予定とのこと。また、車内サービスでは旅行者向けの情報システムやWi-Fi接続可能な環境も準備しているそうです。

 

今回は、以上となります。
 

参考資料:European Rail Timetable October.2020

参考サイト:

TrainOSE(Wikipedia)

イタリア国鉄ETR480電車(Wikipedia)

チザルピーノ(Wikipedia)

 

本文内写真 ETR470 en:User:DF08, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, via Wikimedia Commons

カバー画像の写真:Kabelleger / David Gubler (http://www.bahnbilder.ch), CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons