今回の【駅】コーナーは、
和歌山県の紀伊半島西海岸、すさみ町東部の海岸沿いに位置する紀勢本線【愛称：きのくに線】の駅で、駅からは太平洋(枯木灘)を一望できる、
見老津駅 (みろづえき。Mirozu Station) です。
 
  
駅名
見老津駅 (駅番号なし) 
 
所在地
和歌山県西牟婁郡すさみ町  
 
乗車可能路線
JR西日本：紀勢本線 【愛称：きのくに線】
 
隣の駅
新宮方・亀山方……………江住駅  
和歌山方・和歌山市方……周参見駅  
 
訪問・撮影時
2020年8月
 
 

見老津駅は地平駅で、海側(西側)の和歌山市方(北寄り)に駅舎があります。
1938年の開業時より使用され続けていると思われる木造駅舎が現役です。線路と左を走る国道42号線に挟まれた狭い場所に駅舎があるため、正面に出入口を設置できず妻面に設けられています。駅外と駅舎の間に段差はありません。
駅舎前には郵便ポスト、電話ボックスとすさみ町コミュニティバスの停留所があります。
また、駅舎前には小さな駅前広場があり、ターンは必要ですが乗用車での送迎は可能です。
後方にはトイレ(車いす対応トイレ併設)と飲料自動販売機があります。
写真は北を望む。国道の左側は海です。
 
 

駅前の様子です。南を望む。
後方に駅舎があり、前方には先述のトイレ・飲料自動販売機があります。
右側を手前(北)～奥(南)に延びる道路は国道42号ですが、約600m北の山間部に国道42号のバイパスとなる紀勢自動車道が開通しているため、国道42号の交通量は少ないです。
国道の右側は海(太平洋)で、国道の左側には紀勢本線が走っています。線路のすぐ左には山が迫っていて、険しい地形になっています。
尚、駅前に民家、商店は存在せず、見老津の集落は約600m南東(前方)の海岸に形成されています。そこには漁港もあります。
 
 

駅前の海岸より西を望む。
この辺り一帯の海は「枯木灘」と呼ばれていて、砂浜ではなく岩場主体となっています。見老津駅付近に海水浴場はありません。
駅を出て国道を渡るとすぐに到達できます。列車の待ち時間に訪ねてみて下さい。
 
 

駅舎内の様子です。東を望む。右手に出入口があります。
見老津駅は無人駅で、待合室はあるものの左前方の窓口は閉鎖されており、自動券売機、改札口は存在しません。改札口の簡易ラッチも撤去されています。運賃は乗車時に整理券を受け取り、下車時または下車駅でお支払い下さい。改札口跡の先、右側にはきっぷ回収箱があります。
尚、2021年3月に紀伊田辺～新宮の全駅で交通系ICカード『ICOCA』が導入されますが、車内改札方式になる予定で、駅構内に簡易改札機は設置されないと思われます。
また、左手の扉の向こう側は、元駅事務室を利用してすさみ町観光協会による観光案内所とカフェ「のんびり屋」が営業しています。メニューは軽食とドリンクです。有料レンタサイクルの貸出もあります。但し、休業日が設定されていて(私の訪問時は土日祝とお盆が休業日)、営業時間も短そうなので「のんびり屋」を訪問されたい場合は事前に営業日と営業時間をご確認下さい。
そして改札口を通って左へ進むと構内踏切があり、渡ってからスロープを上がるとホームに到達しますが、ホームまで少々距離があります。少々傾斜が急ですが、車いすの通行は可能です。但しホームまでの通路に点字ブロックがありませんのでバリアフリーに対応していません。また正面に階段が見えますが、以前はこの階段と構内踏切でホームとの間を直接結んでいたかもしれません。
トイレは、前述の改札外の設備をご利用下さい。
また、見老津駅構内と駅前に売店・コンビニはありません。ご注意下さい(平日昼間はカフェ「のんびり屋」が営業しています)。
 
 

下り1番のりばに設置されている建植式の駅名標です。
電照式ではありませんが、反射板を使用しています。
JR西日本の標準デザインで、下部は「きのくに線」のラインカラーであるアクアマリンに塗られています。
尚、見老津駅に駅ナンバリングは導入されていません。
 
 

見老津駅は島式ホーム1面2線の地平構造ですが、駅舎から見てやや高い位置にホームがあります。概ね南北方向にホームが延びています。ホームはカーブを描いています。
右(西)が1番のりばで下り紀伊田辺・和歌山・和歌山市方面、左(東)が2番のりばで上り串本・新宮・亀山方面です。
ホーム有効長は4両分ですが、線路の有効長は9両分で、特急列車同士の行き違いが可能となっています。ホーム幅は全体的にとても狭く、特急列車が通過する際は注意が必要です。
上屋はホーム中ほどのベンチ部分にあるのみです。雨天時に当駅で下車される場合は要注意です。
後方の和歌山市方には構内踏切があり、右前方には駅舎があります。1番のりばの下り線の右側には構内踏切と駅舎を結ぶ通路が見えます。
写真は1番のりばより和歌山方・和歌山市方を望む。
 
 

こちらは和歌山方・和歌山市方を望む。
左から1番のりば、2番のりばの順で、1番のりばの左側にはトイレ・駅前広場・駅舎が見えます。
そして駅舎の左側には国道42号が並行しており、さらに左には枯木灘が広がっています。ホームから枯木灘を一望できます。
 
 

1番のりばより新宮方・亀山方を望む。海と山に挟まれた険しい場所を走ります。
紀勢本線は紀伊田辺以東が全区間単線です。2番のりば側には安全側線があります。
この先、左へカーブして見老津の集落を右手に見て走ると見老津トンネルで山越えをします。トンネルを出ると今度は右手に江住の集落と江須崎を見て東へ走り、左へカーブしながら短いトンネルを抜けると再び右手に海が見えてきて江住駅へと至ります。
 
 

2番のりばより和歌山方・和歌山市方を望む。ホーム端に構内踏切があります。
また、左側には保線用の側線があり、構内踏切の先で本線に合流します。また、1番のりば側には安全側線があります。
この先、右へカーブしてトンネルを抜けると枯木灘沿いを西へ走りますが、右へカーブすると今度はトンネルの連続で海から離れて山間部を北西へ走ります。そして双子山トンネルを出ると左へカーブして、やや開けた和深川の谷を西へ走ると双子山信号場を通過します。その後は和深川を渡ってトンネルを抜け、一瞬だけ海沿いを走りますがすぐに右へカーブして馬越トンネルをくぐり、山間部に戻ります。そして再び海が見えてきますが、またも一瞬でトンネルに入ってしまいます。そのトンネルを抜けるとすさみ町の中心市街地に入り、右へカーブすると程なくして周参見駅へと至ります。
 
 
あとがき
私が見老津駅で下車(乗車)したのは2020年の1度きりです。紀勢本線を乗り鉄した際に下車しました。駅は海と山に挟まれた険しい場所にあり、1面2線でホームは狭かったです。駅前には海が広がっているものの、民家は見られませんでした。集落は約600m南東にあります。
 
東京からですと東海道新幹線で新大阪駅まで行き、紀勢本線特急『くろしお』(新宮行or白浜行き)に乗り換えて紀伊田辺駅または白浜駅で下車します。そして新宮方面の普通列車に乗り継いで当駅下車です。普通列車の本数が少なく、また特急との接続が悪い場合がありますので事前に時刻をご確認下さい。タイトな日程になりますが、日帰り訪問可能です(最大滞在時間：3時間弱)。
一方、大阪からですと新大阪駅または天王寺駅から特急『くろしお』に乗り、以降は上記のルートで到達できます。少々時間がかかりますが、快速列車や普通列車の乗継でもOKです。若干タイトな日程になりますが日帰り訪問可能です。
(飛行機でのアクセスは考慮していません)
 
食料・飲料について、駅前にコンビニ、気軽に入れる商店・飲食店は一切ありません。駅舎内にすさみ町観光協会によるカフェがあるものの、営業時間が短く、休業日もありますので事前にご確認下さい。必ず事前に用意しておいて下さい。
 
東京・大阪とも到達難易度が高いですが、紀勢本線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は見老津駅でも途中下車されてみて下さい！
 
(参考：Google地図、Wikipedia)