西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

【急がば回れ智頭急行】特急スーパーいなば7号乗車記(岡山13:43→鳥取15:32)

 

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JR 西日本岡山駅。

今回はここから特急スーパーいなば号で鳥取へ向かいます。

 

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岡山駅山陽本線ホームで発車を待つ岡山13:43発の特急スーパーいなば7号。

自由席・指定席が1両ずつの2両編成です。

 

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車両側面には鳥取県の花である梨の花があしらわれています。
 

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暖色系で纏められた187系車内。

岡山発車時点での乗客は自由指定席とも1両15人程度だったようです。

 

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シートピッチは充分で、

肘置き内臓と前席背面の大小2つのテーブルが備わります。

 

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デッキにはバリアフリートイレも設けられていました。

車端の銘板を見ると車両製造年は2003年となっていましたが、

最近の新型車両との違いはコンセントの有無程度ではないでしようか。

 

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さて発車時刻までにスーパーいなば号の運転経路と岡山と鳥取を結ぶ優等列車の沿革について書かせていただきます。

特急スーパーいなば号は岡山を発車すると山陽本線を姫路方面へ走り、

最初の停車駅である上郡駅で進行方向を変え第3セクターの智頭急行線に入り、

智頭で因美線に合流して鳥取へ向かいます。(写真の赤線のルート)

走行距離は141.8km、鳥取までの所要時間は乗車中の7号の場合1時間49分となっています。

岡山~鳥取間の優等列車の歴史をさかのぼると、1997年までは津山線・因美線ルート(写真の青線)で運転された急行砂丘号がその役目を担っていました。 

 

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急行砂丘号に使われた急行型気動車。

津山線・因美線ルートの走行距離は132.1km と現在の智頭急行線ルートに比べ約10km 短かったものの、

全線が単線で岡山鳥取県境の峠越えもあったことから、

岡山~鳥取間では2時間30分程度を要していました。

下記は運転時刻が近接する両列車のダイヤの比較です。

1992年  2021年

砂丘4号 スーパーいなば5号

岡山11:04 岡山11:05

金川11:24 上郡11:42

福渡11:36       

弓削11:47 佐用11:57  

亀甲11:58       

津山12:08    大原12:09

加茂12:29

智頭12:58    智頭12:26

郡家13:20    郡家12:44

鳥取13:30    鳥取12:53

 

このように現在の特急より時間を要した急行砂丘号ですが、

岡山~鳥取だけでなく山陽新幹線接続で広島や京阪神と鳥取を結ぶ役割も担っていたことから、

すでに急行列車が姿を消しつつあったJR 初期に4往復から5往復に増発され、

半室ながら全便がグリーン車を連結するという異例の急行列車でした。

なお急行砂丘号は1997年11月まで運転がつづけられたのち廃止され、

1994年に開通した智頭急行線を経由する特急いなば号に引き継がれました。

高規格路線の山陽本線と智頭急行線を通るルートへの経路変更により、

先述のように運転距離が約10km長くなったにもかかわらず、所要時間は30分程度短縮されました。

特急いなば号は2003年に使用車両を国鉄型の181系から新型の187系に置き換え、車両性能の向上で、さらなる所要時間短縮も図られたことから、名称を「スーパーいなば」に改め現在に至っています。

 

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13:43定刻に岡山駅を発車した列車は岡山市街地を流れる旭川を渡り猛然と加速。

 

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早くも山陽本線区間の最高時速120km近くに達しました。

 上郡までの区間に限れば平均時速は90kmを超えます。

 

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熊山駅~和気駅付近で車窓を流れる吉井川。 

 この付近は2021年春のダイヤ改正で日中の普通列車の本数が1時間に2本から1本に減便されることが発表されています。

 

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 和気・吉永・三石と通過し船坂峠を超えると兵庫県西端の上郡駅に接近。

 進行方向左側から、これから向かう智頭急行線の高架が接近してきます。

 

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14:17。普通列車が50分程度かけて走る区間を34分で走り上郡駅に到着。

わずか2分の停車時間の間に、車内では乗客が座席を回転させ、

乗務員室ではJR西日本から智頭急行へと乗務員の交代が行われます。

 

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14:19。さきほど走ってきた山陽本線を見下ろして智頭急行線へ。

 

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14:31。姫路と津山・新見を結ぶJR姫新線との接続駅「佐用」に停車。

 

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直線が続く智頭急行線の線路(佐用~大原間 以前撮影)。

線内の最高時速は130kmが許容されています。

智頭急行線はもともと国鉄時代に姫路と鳥取を結ぶローカル線として建設が進められていましたが、モータリゼーションの進展や国鉄財政の悪化から一旦建設が凍結されていました。

しかしその経路を考慮すれば、高速運転が可能な高規格路線として開通させれば主に京阪神と鳥取を結ぶバイパスルートとなり充分な需要が見込めるとの判断のもと、沿線3県等出資の第3セクター鉄道として建設・開業に至った経緯があります。

 

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187系は強力なエンジンに加え制御式振子装置を搭載しており、

デッキに立つと高速でカーブに進入する際、前の車両から車体が傾いていく様子を見ることができます。

 

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14:43。岡山発車から1時間で大原駅に到着。

上郡の手前で岡山県から兵庫県に入った列車は、この付近では再び岡山県内を走行します。

  

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大原では上りのスーパーいなば6号岡山行と行き違い。

智頭急行線を経由する特急列車は1994年の路線開業当初は阪神方面からのスーパーはくと号3往復のみでしたが、

1997年から「いなば号」の運転がはじまり、現在ではスーパーはくと号7往復、スーパーいなば号5往復が行き交う特急街道に成長しています。

 

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大原駅を出てしばらく、全長5592mと智頭急行線で最も長い志戸坂トンネルを抜け鳥取県に入ると、車窓に雪も見えましたがその量は多くありません。

 

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14:59。左からJR因美線が合流し上郡から56:1kmの智頭急行線の終点智頭に到着。
ここからはJR線に戻り鳥取まであと約30kmの道のりです。

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JR因美線に入ると列車は千代川に沿って走ります。

北へ向かっていますが平地に降りると雪はほとんど見られなくなりました。

 

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15:23。最後の停車駅郡家に停車。

郡家は第3セクター鉄道若桜鉄道との乗り換え駅です。

特急スーパーいなば号は岡山から鳥取まで途中5つの駅に停車しますが、

他路線との接続がないのは大原駅だけであることに気づきます。

 

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郡家からの鳥取市近郊区間では、意外にも雪の量が増え、真冬らしい車窓が広がりました。

 

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14:32。雪景色の終点鳥取駅に到着。

 

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岡山から伯備線へ向かう特急やくも号に乗車すると、鳥取県の西の要米子まで約2時間で、スーパーいなば号の鳥取までの所要時間と大きく違いませんが、

実際に乗車した感覚としてはスーパーいなば号の方が短く感じられました。

また気動車ゆえのエンジン音は気になるものの、乗り心地でもスーパーいなば号のほうが勝っており、

全体として短編成で地味な存在ながら、かつてローカル線を走る急行としては異例の活況を呈した砂丘号の後を継いだ列車らしい実力が感じられる特急列車という印象を持ちました。

 

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最後までお読みいただきありがとうございました。


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