ピロのブログVer3

Ver2の続きです

近鉄一般車 メモ

〈メモ〉近鉄5800系-車体側面の「L/Cカー」ロゴマーク

こんばんは

今回の覚え書き内容は表題の通りです。

近鉄では、室内座席を[ロングシート/クロスシート]の2形態に随時変更できる機能を備えた車両「L/Cカー(エルシーカー:ロング・クロス転換シート車両)」が各系統線区で走っています。

同じ機能を有する車両として、最近は京急で導入が予定されているトイレ付き通勤形車両の新造が話題ですが、近鉄が上記機能を初めて導入した車両もトイレ付きの通勤車でした。前者は通勤形ながら男性用含む複数種のトイレ付で竣工するとの事で、今現在、個人的に気になる存在です。


さて、2021年は近鉄が「L/Cカー」を登場させてから25年となりますが、最初の導入は車体更新と併せた既存車の改造によって行われました。この時に改造された車両は2610系2621Fで、従前までのボックスシートを撤去して設置した[ロングシート/クロスシート]の転換を可能とする新座席は「デュアルシート(Dual Seat)」と名付けられています。

改造後の同編成は、「デュアルシート」の試験車として大阪・名古屋線系統の営業でデータ(EX:乗降時の乗客の流れ・座席に対する反響)を提供しており、悪くない結果を受けての事か、翌1997年には当初から「デュアルシート」を備える新系列5800系が登場しました。同系が投入された線区は、奈良線・大阪線・名古屋線の3系統です。

〈大阪上本町/2016-02-16〉
〈五位堂検修車庫/2011-11-13〉

近鉄で最初の新造「L/Cカー」となった同系は、従来から活躍しているVVVF制御の一般車と同様の車体・塗色・塗り分けで竣工しています。ただ、「デュアルシート」装備車である事を外からでも分かりやすく示すためか、先頭車の正面と全車の側面各所に正方形のロゴマークが付されました。

ロゴマークは、正面がエッチング加工されたステンレス板(銀色)の取付・側面がカラーシール(黄色基調)の貼付で表現されており、現在も「L/Cカー」を表す代名詞的な存在として定着しているように思います。

〈大阪上本町/2016-02-16〉

「L/Cカー」にロゴマークが導入されたのは5800系登場時からで(※1)、先行して「デュアルシート」を採り入れた2610系2621Fには、当初「L/Cカー」である事を示す表記がありませんでした。ロゴマークは、5800系の登場に際して同編成にも後付けされており、2621Fと同じく1回目の車体更新時に「L/Cカー」へ改装された2610系・2800系の各編成に対しては工事完了時に付されています。

5800系登場後の「L/Cカー」は、基本的にロゴマークを出した状態で営業に就いていますが、側面のカラーシールについては、車体への特別塗装・ラッピングによって省略・掩蔽されたケースがありました。こちらはさらに、2010年代から検査・お色直し等実施後の再貼付が行われなくなっており、結果、2021年時点で車体側面にロゴマークを貼付する「L/Cカー」は存在しません。

※1)5800系のデザインプロセスについては、近畿日本鉄道株式会社発行の車両パンフレット『KINTETSU5800 L/C CAR』P17にて触れられています。検討段階の車両外部色およびロゴのイメージ画像が掲載されており、関心がある方は参考になるかもしれません。


「L/Cカー」の実車からカラーシールの貼付が消えて久しくなり、その車体側面にロゴマークがあった事も過去の出来事となりつつあります。

今回は、かつて「L/Cカー」の車体側面に貼付されていたロゴマークに関して、5800系を対象に過去のカラーシール貼付状況をメモしておく事にしました。


■ 第5〈メモ〉

●近鉄5800系-車体側面の「L/Cカー」ロゴマーク

「L/Cカー」のロゴマークを表現するカラーシールが車体側面へ貼り付けられるようになったのは、上述の通り、5800系の登場時からです。貼付されたカラーシールは、その面積の大小で2種類が存在しており、それぞれで貼付場所や位置が異なっていました(以下、面積が大きいカラーシールを「大きい方」・面積が小さいカラーシールを「小さい方」と呼称)。

〈高安南車庫[敷地外より]/2011-07-02〉
〈大阪上本町/2016-02-16〉
〈大阪上本町/2016-02-16〉

それぞれの貼付場所は、大きい方が先頭車前頭部運転室後部区画の側扉間中央(戸袋部)・小さい方が「デュアルシート」設置区画にある2連窓の下部中央です。

両者の貼付高さに関しては、VVVFロゴマークと違って車両毎で特にこれといった目立つ特徴はなく、奈良線・大阪線・名古屋線の各系統で活躍する各車の貼付位置は一貫していたように思います。

具体的には、大きい方が乗務員室側扉両横の手摺凹部上端にその下端を合わせる位置で・小さい方がその貼付で2連窓下のマルーン塗装部を約[1:3]に分ける位置で貼付が行われていました。


1997年からの約1年間で8編成が製造された5800系は、側屋根雨樋の白色化や裾帯付けの省略含む簡易塗装化が進む中においても、しばらくは全編成が赤白ツートンの通常塗装状態で活躍しています。

一方、2000年代に入るとそうした状況にも転機が訪れ、ボディペイント車やラッピング車として外部の装いを一時的に改める編成が登場しました。これに伴い、車体への特別塗装・ラッピングで側面のカラーシールが一時的に貼付省略ないし掩蔽される事例も多数出てきています。(以下、特に使い分けが不要な場合においては双方を特別外装車と呼称)。

〈Twitterより埋め込み・引用〉
〈Twitterより埋め込み・引用〉

5800系で最初に特別外装車となったのは、名古屋線系統で活躍する5812Fです。同編成は三重県経済団体首都機能移転推進協議会がスポンサーとなって登場したボディペイント車で、2001年8月下旬に五位堂検修車庫で白色をベースとする下地塗装が行われた後、首都移転先候補地としての「三重・畿央地域」をPRするラッピングが各車に施されました。

通常塗装と異なる見た目で活躍する5800系は、しばらくの間は5812Fのみでしたが、2002年度末には奈良線系統で活躍する5801Fが同系2番目の特別外装車となっています。同編成は近鉄(近鉄興業?)がスポンサーとなって登場した部分ラッピング車で、当時の近鉄あやめ池遊園地で催行された季節イベント「ドラえもんドキドキ大冒険」をPRすべく、運用開始前日にあたる2003年3月20日に西大寺車庫で車体へのラッピング作業が行われました。

〈Twitterより埋め込み・引用〉

5800系で初のペイント車・部分ラッピング車となった2編成は、共に近鉄か沿線に強く関係する団体が広告主となって実現した特別外装車でしたが、2004年度からは様々な民間企業・自治体がスポンサーとなる事が出来るラッピング広告電車も設定されるようになりました。その第1号となったのは5800系5801Fで、2004年4月1日より帝塚山大学をPRする全面ラッピング車として運行を開始しています。下地が既存塗装のままの全面ラッピングはこの時が最初です。

以上、3種の特別外装車でそれぞれの端初となったケースを紹介しましたが、いずれも塗装やラッピングに伴って、側面のカラーシールが一時的に除去ないし掩蔽されました。部分ラッピング車に関しては、その後、2連窓がある一部区画にのみラッピングが施行されるケースも登場しましたが、この場合、ラッピングを行った窓下のみカラーシールが掩蔽されています。


2000年代の5800系は、上記3種の特別外装車の登場により、編成によっては一時的に外装からカラーシールが消えるという事がありました。一方で、塗装やラッピングの広告期間が終了すると再び車体側面にカラーシールを出現させており、基本的には外へ向けてロゴマークを掲出するという方針になっていた事が伺えます。

2000年代は正面・側面共に上記方針が維持されていましたが、カラーシールの貼付状況に関しては、近鉄と阪神の相互直通運転開始前から少しずつ変化していきました。

〈大和八木-新ノ口/撮影日失念〉
〈石切/2009-07-06〉

最初に変化があったのは奈良線系統で活躍する5800系で、相互直通運転前に大きい方のカラーシールが剥離(当初のみ掩蔽?)されました。代わりに貼付されたのは相直対応車を示すカラーシール(水色基調/以下、相直シールと呼称)で、サイズは「L/Cカー」を示すカラーシールとほぼ同じです。かつてのローレル賞受賞記念ロゴマーク貼付時のように2種類のシールが並存する事はなく、後者が前者を置き換えて現在に至ります。

相直シールは、5800系に限らず阪神線桜川以西へ直通運転可能な全編成に対して貼り付けられました。貼付場所は各車両先頭車の正面と側面前頭部(運転室後部区画の側扉間中央)で、5800系の正面に関してはステンレス板で表現されたロゴマークと並存しています。貼付作業は直通運転開始の10日程前から一気に実施されており、全体では9020系を端緒に・5800系では5804Fを皮切りに相直シールが出現しました。これにより、以降、奈良線系統で活躍する5800系の外装から大きい方のカラーシールが消えています。

〈福-伝法/2016-03-02〉

奈良線系統の5800系から大きい方のカラーシールが消えたのは、2009年3月中旬の出来事でしたが、続く2010年には一部編成で小さい方のカラーシールも消えました。

具体的には、2010年8月上旬に五位堂検修車庫での検査・お色直し等を完了した5802Fより側面への貼付が省略されるようになり、以降に出場した「L/Cカー」も基本的には貼り付けられなくなっています。

〈松塚-大和高田/2013-03-12〉
〈大和八木/2012-08-04〉

大阪線・名古屋線系統の5800系に関しては、5802Fからの貼付省略を機に大きい方のカラーシールも貼り付けられなくなりました。ステンレス板で表現された正面のロゴマークについては、奈良線系統同様に残されています。他の「L/Cカー」でもこれは同じです。

こちらが全体で残された理由は不明ですが、一方でカラーシールに比べれば洗車等で剥がれる可能性が少なく汚れも目立たない事が想像出来ます。外からの容易な識別を可能とする点は恐らく変わりないメリットでしょうし、正面のロゴマークが現在まで残存しているのは、恒常的に取り外しておく意味が比較的薄いと判断された結果なのかもしれません。

〈Twitterより埋め込み・引用〉

但し、2010年代前半に関しては、[5804F・5805F・5812F]の3編成が貼付省略開始後もしばらくカラーシールを残存させています。意図は不明ですが、もしかしたらシール在庫や車体再塗装の事情が絡んでいたのかもしれません。

〈Twitterより埋め込み・引用〉

ちなみに、5801Fは2009年度末まで先述した帝塚山大学をPRする全面ラッピング車として活躍していましたが、こちらはラッピング剥離から半年経たない内に側面からロゴマークが消えています。同編成は、2010年までの総ラッピング期間が一番多い5800系でしたが、同時に「L/Cカー」のカラーシールを出していた期間が一番短い5800系でもあるので、見方によっては、カラーシールが付く同編成の登場時姿や簡易塗装姿は案外貴重な見た目だったという事になるのかもしれません。

〈大阪上本町/2016-02-16〉

5800系で最後まで側面にカラーシールを貼付していたのは、名古屋線系統で活躍する5812Fです。検査・お色直し等に伴う五位堂入場で同編成の側面からシールが剥離されたのは2016年10月中旬でした。

他の「L/Cカー」に関しては、この時点で既に貼付が省略された状態であり、同編成の貼付省略を以て「L/Cカー」からも側面のカラーシールが消えた事になります。

〈参考〉近鉄5800系-側面カラーシールの掩蔽・省略時期(編成別・古い順)

※カラーシールは大きい方を[大]・小さい方を[小]と表記

※奈良線系統車の省略は[大]→[小]の順で推移

※車体へのラッピングに際して一時的に剥離した場合は「撤去」と表記

※一時剥離か掩蔽か不明な場合に関しては「掩蔽」と表記

※各種広告車両の分類とその呼び方に関しては、ここでは2004年3月30日以前に登場した車両を一律で「ペイント列車」・2004年4月1日以降に登場した全車両に対する全面広告車両ないし特別形状のボディシート貼付車を「アートライナー」・2004年4月1日以降に登場した一部車両限定の部分ないし全面広告車両および規定サイズに準拠した形状のボディシート貼付車を「広告列車」と呼称


■奈良線系統車(WC付車両無)

●5801F

2003.03-2003.07([大・小]掩蔽):部分ラッピング車化 

-※ペイント列車「ドラえもんドキドキ大冒険」PR車/ボディシート広告(特別形状)

2004.04-2009.03([大・小]掩蔽):全面ラッピング車化(既存色の上からラッピング) 

-※アートライナー「帝塚山大学」PR車 (「帝塚山大学号」)

2010.03-現在([大]省略):全面ラッピング剥離時に相直シールで上書き 

2010.09-現在([小]省略):検査・お色直し等完了後も貼付省略 ※最初の五位堂出場は2010.09.21

●5802F

2004.08-2004.11([大]撤去・[小]掩蔽):部分ラッピング車化 

-※アートライナー「Porte(トヨタ自動車)」PR車 (「Porte号」)/ボディシート広告(特別形状)

2005.07-2006.10([小]一部掩蔽):部分ラッピング車化 

-※広告列車「シミズメガネ」PR車/ボディシート広告(L字形)

2009.03-現在([大]省略):相直シールに上書きされる形で貼付省略 

2010.07-現在([小]省略):検査・お色直し等完了後も貼付省略 ※最初の五位堂出場は2010.08.06

●5803F

2009.03-現在([大]省略):相直シールに上書きされる形で貼付省略 

2010.10-現在([小]省略):検査・お色直し等完了後も貼付省略 ※最初の五位堂出場は2010.11.08

●5804F

2005.06-2005.08([小]一部掩蔽):部分ラッピング車化 

-※広告列車「アスパラドリンクX(田辺製薬)」PR車/ボディシート広告(L字形)

2009.03-現在([大]省略):相直シールに上書きされる形で貼付省略 

2014.04-2015.02([小]一部掩蔽):部分ラッピング車化 

-※広告列車「あべのハルカス solaha」PR車/ボディシート広告(長方形[細長]/窓下のみ)

2015.02-現在([小]省略):検査・お色直し等完了後も貼付省略 ※最初の五位堂出場は2015.03.02

●5805F

2009.03-現在([大]省略):相直シールに上書きされる形で貼付省略 

2015.05-現在([小]省略):検査・お色直し等完了後も貼付省略 ※最初の五位堂出場は2015.06.12


■大阪・名古屋線系統車(WC付車両含)

●5811F

2011.08-2011.11(2両のみ[小]掩蔽):一部全面ラッピング車化(既存色の上からラッピング)

-※広告列車「第27回全国都市緑化ならフェア」PR車

2013.02-現在([大・小]省略):検査・お色直し等完了後も貼付省略 ※最初の五位堂出場は2013.03.12

●5812F

2001.08-2002.08([大・小]撤去):ペイント車化(事前塗りした下地色の上から全面ラッピング)

-※ペイント列車「三重・畿央地域」PR車

2016.10-現在([大・小]省略):検査・お色直し等完了後も貼付省略 ※最初の五位堂出場は2016.11.01

●5813F

2010.04-2014.04(2両のみ[小]一部掩蔽):部分ラッピング車化 

-※広告列車「上本町YUFURA」PR車/ボディシート広告(長方形)

2014.04-現在([大・小]省略):検査・お色直し等完了後も貼付省略 ※最初の五位堂出場は2014.05.08


〈参考〉


4年程前に消滅した「L/Cカー」のカラーシールですが、早い編成は約10年前から貼付が省略されたので、今では“ない”状態がすっかり見慣れた姿になってしまいました。

過去あった見た目・状態というのは、今となっては改めて記録する事も叶いませんが、それに関する情報なり記憶なり思い出(想い出)なりは、時おり何かしらの形で残しておきたいと思えます。

今回の〈メモ〉は以上です。


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近鉄電車が見える家で育った鉄道オタク。車両の差異や変遷に興味あり。鉄道の他に鳥も好きで、最近は鳩に癒される事がしばしば。