なにかと鉄道会社から重大な発表がなされる時はタイミングがかぶるもので、先週末に各社から実に様々な発表が行われました

一つ一つ取り上げると、記事の数が多くなってしまいますので、ダイジェスト形式で管理人の雑感も交えてお伝えしたいと思います

 

●ムーンライトながら廃止

1月22日に、JR東日本とJR東海から東京~大垣間を結ぶ夜行快速「ムーンライトながら」を廃止にすることが発表されました

途中で車両は183系から185系へと変わりましたが、2009年春に臨時化されてから10年以上も走り続けたことに驚きを禁じ得ません

 

名門の九州ブルトレや一時代を築いた北海道ブルトレが次々に姿を消していくなかで、臨時化されたとはいえ、いままで運行を継続してくれたことは称賛に値すると思います

車両の老朽化に、コロナ禍が追い打ちをかけたこともあり、この列車とってはいまが潮時だったのかもしれません

 

例えば、「日本海」や「能登」のように、臨時化された後に何ら公式発表が行われることなく、姿を消した夜行列車も多いなかで、今回JRからきちんと廃止の発表がなされたことは異例中の異例といえます

思い返せば、同じムーンライトシリーズで、近年相次いで廃止された「ムーンライトえちご」や「ムーンライト信州」もひっそりと姿を消しました

 

私自身、この列車のお世話になったことはありませんが、大垣夜行から数えること実に50年以上の長い歴史を誇った列車の消滅に”1つの時代の終わり”を感じずにはいられません

 

●京阪3000系プレミアムカー公開

1月21日には、京阪3000系のプレミアムカーが報道陣に初公開されました

8000系のプレミアムカーとは違い、こちらは完全なる新製車両となっており、従来は6号車に連結されていた3550形を差し替える形で編成に連結されています

 

完全なる新製車両となったことから、8000系のプレミアムカーにあった窓枠で車窓が遮られる致命的な欠点が解消されました

こればかりは改造車という出自故に致し方ない側面もあったのですが、追加料金を支払ったにもかかわらず、車窓が楽しめないのは利用者にとってあまりよい印象を受けないはずです

 

なお、定員は同じく36名で変化していませんが、シートピッチは1020mmから1040mmに拡大されたほか、乗降ドアに近い京都方の4席には新たにシートヒーターが新設されており、利用者からの意見を踏まえた改良が施されています

 

ところで、編成から外された一般車ですが、京阪では「廃車にする予定はない」としており、何らかの形で活用が検討されているようです

3000系のプレミアムカーは1月31日から営業運転を開始します

 

▲プレミアムカーの営業運転開始が待ち遠しい京阪3000系

 

●HC85系、22年度から量産車を投入

1月21日にJR東海から、HC85系の量産車を2022年度から23年度にかけて投入し、現在「ひだ」と「南紀」に充当されているキハ85系を置き換えていくことが発表されました

HC85系の量産車は64両が製造される予定で、これに加えて量産先行車も改造の上で営業運転に供されます

 

気掛かりなのは、HC85系の車両数が改造によって戦列に加わる量産先行車を含めても68両しかないことでしょうか?

キハ85系が80両在籍していることを考えると、それよりも12両少ないことになるので、「南紀」を減車した分だけ製造数が抑えられているものと考えられます

 

また、この控えめな車両数から察するに、大阪ひだの存続についても不安要素が残ります

なお、量産先行車はグリーン車を連結した4両編成ですが、量産車では「南紀」用や富山ひだ用として2両モノクラス編成も製造されるのではないでしょうか?

 

▲名古屋駅で並ぶキハ85系「ひだ」(右)&「南紀」(左)

 

●羽田空港アクセス線

1月21日にJR東日本より、羽田空港アクセス線(仮称)の鉄道事業許可の降りたことが発表されました

これは、東海道線の田町駅付近から羽田空港新駅(仮称)へ向かう全長12.4㎞の路線を整備するもので、そのうち7.4㎞は現在休止中となっている東海道貨物線(大汐線)を活用します

 

新設される駅は羽田空港新駅(仮称)のみで、同駅と東京の間を18分程度で結ぶ予定となっています

また、羽田空港アクセス線は田町駅付近で東海道線(上野東京ライン)と接続することから、開通後は高崎,宇都宮,常磐の各線から羽田空港へ向かうアクセス列車が運行されることになりそうです

 

羽田空港アクセス線の開業は2029年度を予定しており、総事業費は車両費を除いて3000億円となっています

 

●JR東日本、事業用車両新製へ

1月19日にJR東日本から、バラスト運搬用の貨車を牽引するための電気式ディーゼルカーGV-E197系と、回送列車の牽引などに用いることのできる交直流電車E493系の2種類の事業用車両を新製するという発表が行われました

 

いずれの車両も国鉄時代から継承している機関車の老朽化が進んでいることから、それらの後継車両として2021年春以降に配備されます

プレスリリースの中には、機関車に特有の操縦方法やメンテナンスを無くすことが強調されているので、JR東日本として機関車を全廃にしたい意図も見え隠れします

 

そうなった場合に、機関車無くしては走行することのできないE26系「カシオペア」の将来も自ずと見えてきます

今後、JR東日本に所属している機関車がこうした493系やGV-E197系の導入によって引退に追いやられた時、それが即ちE26系にとっても引き際となりそうです

 

▲機関車全廃ならE26系も廃車?

 

●秘境駅・赤岩駅廃止へ

秘境駅として名高い奥羽本線の赤岩駅が、21年春のダイヤ改正にあわせて廃駅になります

駅の周囲に人家は皆無に等しく、既に17年から通年で全列車が通過しており、駅構内は除雪も行われておらず危険であることから、今回の発表をもって駅構内への立ち入りを禁止する旨もあわせて告知されました

 

●WEST EXPRESS 銀河、再び山陰へ

JR西日本の観光特急列車「WEST EXPRESS 銀河」が、3月26日から再び山陰方面へ運行されます

前回と同じく往復共に夜行運転となっており、下りは京都21時15分発→出雲市9時31分着、上りは出雲市16時00分発→大阪6時12分着となっています

 

6月末まで山陰コースが運行されることになっており、その次はいよいよお待ちかねのきのくに線を走行する予定となっています