小田急の開業60周年を記念し、1987年に登場した小田急のHiSE。
11両の連接車が合計で4編成製造されましたが、最大の特徴であったハイデッカーがバリアフリー化の障害となり、先輩であるLSEよりも早く廃車となりました。

短命のロマンスカーとなってしまったHiSEですが、小田急に在籍した期間はどれぐらいだったのでしょうか。
今回は、各編成の竣功から廃車までの期間を見てみたいと思います。

4編成が製造された悲運のロマンスカー

ハイデッカーを採用し、塗装のデザインを一新して登場したHiSEは、1987年から1989年の約2年間で合計44両が製造されました。
1次車と2次車に分かれており、2次車では先頭車の側面扉が若干拡幅されています。

各編成の竣功日は以下のとおりです。

10001F:1987年12月4日
10021F:1988年1月6日
10041F:1989年6月24日
10061F:1989年7月7日

製造メーカーは2社に分かれており、10001Fと10041Fが日本車輌製造、10021Fと10061Fが川崎重工業となっています。

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それまでのロマンスカーとは塗装のデザインが全く異なることから、小田急線上ではかなり目立つ存在で、EXEの登場後に再度イメージリーダーに起用される等、引退直前まで第一線で活躍しました。

早期廃車と長野電鉄への譲渡

ハイデッカーを採用し、客席からの眺望が楽しめる車両だったHiSEですが、社会でバリアフリー化が求められるようになってくると、客用扉に階段があることが問題となってきました。
そこで、1980年に登場したLSEよりも早く、VSEへの置き換えを行うことが決まり、2005年から早くも廃車が始まりました。

各編成の廃車日は以下のとおりです。

10001F:2012年6月21日
10021F:2005年8月12日
10041F:2011年6月17日
10061F:2005年8月12日

2005年に廃車となった10021Fと10061Fは長野電鉄に譲渡され、現在も1000系として活躍中です。
10001Fはデハ10001のみが保存されており、ロマンスカーミュージアムに展示される予定となっています。

廃車時期は編成によって異なっており、各編成が小田急に在籍した年数を計算すると以下のとおりとなります。

10001F:約24年
10021F:約17年
10041F:約21年
10061F:約16年

第1編成である10001Fが最も長く、最終編成の10061Fは約16年とかなり短命に終わっています。
しかし、一部の車両のみとはいえ、10021Fと10061Fは現在も長野電鉄で活躍していますから、短命ながら幸せな余生を送っているといえるかもしれません。

おわりに

SE以降のロマンスカーでは、最も短命となってしまったHiSE。
最大の特徴であるハイデッカーが問題になってしまったのは、あまりにも不幸なことでした。