2020年代のJR旅客会社の牽引車 | 鉄道きさらんど

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新型砕石輸送気動車および事業用電車の投入について https://www.jreast.co.jp/press/2020/20210119_ho01.pdf

 

JR旅客会社は老朽化して工臨や配給など用途がかぎられている国鉄型機関車の置き換えを進めていて、機関車全廃一番乗りの東海はレール輸送の機関車と貨車を気動車化した。そのキヤ97型を東日本もE195型として導入したが、それ以外のバラスト工臨や配給をどうするかが注目されていた。JR東海だと新車は日車豊川から自走で配給は不要、東海のみならずバラスト輸送はトラック輸送や保線機械に置き換えで車両置き換えはしない方針になっていたが東日本はバラスト輸送を置き換え用車両を作って続けるのか(それとも保線機械やトラック輸送に置き換えるのか)、配給を続けるのか(それとも国鉄やJR東海の様に自社発注の新製電車は工場から自走するとか、貨物に委託するなどの手法に切り替えるのか)が今まで不透明だったが、きょうのリリースによると置き換え用の車両を新製して工臨・配給列車の運転を続けるという事がはっきりした。

 

個人的な注目としては電車・気動車というが牽引に特化した車両を今あえて開発したこと。日本の国鉄時代からJRへの車両技術近代化の歴史は動力集中から動力分散型への変化の歴史であり、JR旅客会社が機関車列車の置き換えで電車化(ブルトレ→サンライズ)、気動車化(東海、東日本のレール工臨のキヤ導入)にこだわるのはそれが技術の進歩や効率化の手段だと確信しているから。(貨物のスーパーレールカーゴ導入もそうだろう)両方に運転台があり機関車付け替えがいらなくなるのは欧州などのプッシュプル列車もそうだが動力分散化は島秀雄の時代の湘南電車・電車特急こだまや新幹線デビューの頃からの日本のお家芸で、急カーブや急こう配でもスムーズに加速できるのが良さといえる。しかし、GVE197系とE196系のバラスト工臨はプッシュプル列車の様に牽引車両で付随車のホッパ車を挟む形で、ホッパ車はレールキヤの中間車の様に床下にエンジンを構造的につけられないとはいえ動力集中列車がJR発足から34周年の年に(事業用車だけど)旅客会社の車両としてデビューするというのは驚きである。

E493それ自体は2両編成の電車だが背中合わせの片運転台の車両2両が一体、牽引のための車両というのEH10のようでもある。電車でなく電気式気動車だったらDD50のようだったかな(笑)牽引用機関車といえば国鉄時代からクモヤ143などがあったが、国鉄時代の電車はユニットごとに切り離せたのでクモヤは先頭車がわりに中間車を切り離して運ぶために運転台と短く切り離された電車を牽引できる程度の電車としての動力があればよかった。しかしE493系は今の編成単位で管理され半端に切りはなせなないから編成単位で輸送しなければいけない電車を牽引できるだけの牽引力がいる(機関車の様に長編成貨物列車を引っ張れるほどの力はいらないとはいえ、国鉄型クモヤよりは強力でなくてはならない)機関車的な用途の車両として作られる。機関車的な形や機能なのに機関車を名乗らないのは機関車風の気動車のキヤ143や、逆に機関車だが運転台の構造や運転士の取り扱い方を極力電車に寄せた(電車運転士が特別な訓練なく乗れるようにした)電車的な機関車の名鉄EL120のようでもある。

 

機関車的な用途の牽引用電車・気動車や保守用車でない車籍を持つホッパ車が2021年にデビューするというのは興味津々だし運転開始が楽しみだと思う。