JR九州715系 | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

ここは門司港駅横にある九州鉄道記念館。ここに、世界初の寝台電車として登場した電車の内の1両が保存されています。

 

581系、交流60Hz専用の交直両用電車として登場した系列で、昼間は座席車、夜間は寝台列車として日夜関西と九州を結んでいました。同じ車両は、JR西日本の京都鉄道博物館でも1両が保存されていますね。

 

案内看板もこの通り。‥がしかしこちらに記載の通り現在の外観は世を忍ぶ仮の姿、実態は山陽新幹線開業等による581系電車の余剰化により近郊型交流電車に格下げ改造された715系という形式が真の姿で、元特急型車両を普通列車として転用した稀有な例であったと思います。715系というと食パンこと先頭車化改造した車両が有名ですが、さすがに保存されるまでの車両ではないですね(^^;;

 

ステンレス切り抜きのJNRマーク。国鉄時代は715系化後も残っていたのですが、撤去された編成もいたようですね。

 

前面の特急マークは保存に際して復活させたものですね。ヘッドマークは京都にいる581系と同様、「月光」を表示しています。

 

側面方向幕もこの通り。右の二つ星は三段式B寝台を表します。

 

というわけで車内です。いくら外観を登場時に近づけても、内装まではいじれなかったようです(^^;; とは言え、こう評するのは酷なくらい国鉄も頑張って近郊型化してますからねぇ‥。

 

ドアです。ここのドアは近郊型化に際し追加で開けられたものですが、従来から存在するドアに合わせて折り戸式を採用しています。部品共通化や戸袋を設けなくても良いという点ではいい作戦ですが、ドア幅が狭いためラッシュ時を中心に乗り降りに時間を要し遅延の元になっていたそうな。

 

すぐ横に設置されていた広告枠には、581系がデビューした時の広告が入れられています。

 

車端部です。かつてはトイレの手前までボックスシートと寝台舟があったのですが、近郊型化の際に寝台舟の撤去やロングシート化が行われ詰め込みやすくした形跡が伺えます。寝台舟が無くなったため、特徴的な断面がよく分かりますね。左側がトイレ、右側はかつて洗面台があった部分で、洗面台跡は頑丈に作られすぎて撤去が出来ずに上から蓋をした(しかもタチが悪いのは元寝台列車のため洗面台が複数設置されていた)ということもあり、完全にデッドスペースになっています。

 

最前面です。581系は運転席後部に機器室を設けているため、これまた詰め込みが効きにくい一面を見せています。またここは元々デッキがあった区画ですが、半分近くの仕切りが残ってしまっています。どうしても撤去が出来なかったんでしょうね。

 

天井です。この系列は詰め込みが効かなかったということ以外にも、自重が重過ぎるため線路にかかる負担が非常に大きいという欠点も抱えておりました。その原因の一つが何を隠そう中上段の寝台舟が残されていることでして、照明がカバー付きの蛍光灯一列のみだったこともあり天井の高さの割に室内は薄暗かったそうです(私自身は419系にて体験済み)。東北に導入された1000番台は、寝台舟が撤去されていたそうですね。先述の通りこちらの車両も一部の寝台舟は撤去されており、ロングシート上にいかついパイプを取り付けて吊革を増設しています。

 

というわけでその寝台舟です。ストッパーが付けられ封印されていますが、どうせここで保存するなら展開してやればいいと思うんですよねぇ、当時は西日本の583系が現役でしたし、廃車後は必要な部品も確保出来たはずですから‥。

 

窓です。よりによってオリジナルでない窓ですが(笑)、このように頑丈そうなフレームになった部分もあります。

 

で、一部はこのように田の字窓に交換され開閉可能になった部分もあります。併せて日除けはベネシャンブラインドから爪を引っ掛けるロールカーテンに変更されています。

 

座席です。まずはボックスシートから、基本的なフレームはそのままに運用されておりますが、寝台への転換機構はロックが付けられ、通路側肘掛けにあったミニテーブルは撤去されています。寝台転換機構がロックされたのは、やはり悪知恵を持つ輩が多かったせいなんだそうな。

 

寝台転換を前提としているためシートピッチは広めになっています。それにしても、581系時代これで堂々特急料金を取るのは同じ区間を走っていた485系列と比べるとやっぱり遜色出ちゃいますよね。そうそう、九州の715系はこの車内設備に着目(?)してか、多客時には臨時急行列車「ふるさとライナー」や「ひのくに」として、まさかの速達長距離列車カムバックを果たした経歴があります。

 

1ボックスのみ、寝台転換した状態でセットされています。これを見ると、余計に中上段が恋しくなります。

 

意外なのは寝台灯が残されているということ。本当に残されていたのか、後付けなのかは分かりません(^^;;

 

ロングシートです。ここの区画はクロスシートの背ズリの上に仕切りが設置されているため、空いていればちょっと狭いオリジナル空間が形成されていたような状態となっています。ええ、伝わりますでしょうかこの言い方(^^;;

 

車端部側のロングシートです。先述のかつて運行されていた臨時急行には指定席が設定されていたのですが、その時はなんとこの座席まで指定席に設定されていたそうです。急行料金と指定席料金を支払ってロングシート…さすがにマズいと考えたか晩年は車種が変更されましたが、それもよりによって811系…。

 

優先座席です。灰色のモケットで区別しております。ロングシートは105系等に採用された座面低め・背ズリに角度が付いたある程度長時間の乗車を想定したものとはしています。ボックスシート背面には灰皿の撤去痕があります。

 

トイレです。現役時は片側が業務用室として封印されておりました。中は当然和式でございました。

 

~おまけ~

遜色急行で酷い目に遭った方の実体験エピソードがこちら。

715系急行「ひのくに」の記憶