大畑駅【熊本県】(肥薩線。2011年訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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今回の【駅】コーナーは、
熊本県人吉市南部の山間部に位置する肥薩線山線区間の駅で、日本で唯一、ループ線の途中にスイッチバックを併せ持つ構造の駅であり、近年は観光列車『いさぶろう』『しんぺい』の停車時に多くの途中下車客で賑わう事もある難読駅、
大畑駅 (おこばえき。Okoba Station) です。
 
2007年には大畑駅、周辺の鉄道施設遺産、石造りの給水塔、および朝顔型噴水が南九州近代化産業遺産群の物資輸送関連遺産の1つとして選ばれました(Wikipediaより)。
 
尚、当記事では2011年訪問時の写真を使用しています。
現在は状況が変化していると思われますが、ご了承下さい。
 
 
駅名
大畑駅 (駅番号なし)
 
所在地
熊本県人吉市
 
乗車可能路線
JR九州:肥薩線 
 
隣の駅
八代方……人吉駅   
隼人方……矢岳駅   
 
訪問・撮影時
2011年10月
 
 

大畑駅の駅舎です。北西を望む。
1909年の開業時からの木造駅舎で、100年以上経過した今も使用され続けています。観光用に一度サッシに替えられた窓を木枠に戻しています。
手前には車寄せがあります。右側には飲料自動販売機が設置されています。
尚、大畑駅には駅前広場がありません。バス路線も当駅に乗り入れていません。
 
 

駅前の様子です。西を望む。右後方に駅舎があります。右側にはホームがあります。
手前から奥に延びる道路(県道189号大畑停車場線)は大畑駅への唯一のアクセス路で、麓にある大畑の集落まで3km少々の距離があります。集落へ下る途中には人吉梅園があります。
尚、駅前には民家は存在しません。駅から直線距離で約3km南には大野渓谷があります。
写真奥には、かつて蒸気機関車(SL)が使用していた給水塔跡があり、隣の小屋は保線用の詰所でしたがリノベーションされ、2018年にフレンチレストラン「囲炉裏キュイジーヌ LOOP(大畑駅レストランループ)」がオープンしました。
 
 

駅前の様子です。東を望む。左手に駅舎があります。
駅の東側は行き止まりになっていて、それより先には行けません。
右側には宮地嶽神社があります。
 
 

駅舎内の様子です。
後方に出入口があり、改札口の前方はホームです。
大畑駅は無人駅で、窓口は閉鎖されており改札口の跡が残っています。自動券売機や自動改札機は存在せず、ICカードも使えません。
現在の駅舎は雨風除けの待合室として機能しています。また、業務用スペースは『いさぶろう』『しんぺい』到着時などに駅舎とホームの間で営業する観光客向け特産品販売業者が使用しています。
改札口の先はホームで、遮断機のない構内踏切を渡って島式ホームへと移動します。段差は階段のみで、車いすの場合は介助が必要となります。
尚、駅構内にトイレは見当たりませんでした。列車内のトイレをご利用下さい。
そして、駅と周辺に商店は一切ありません。『いさぶろう』『しんぺい』到着時に営業する露店で食料を売っているかどうかは不明です。飲料は駅舎外に自動販売機があります。
 
 

建植式の駅名標です。
中央にシンボルイラストが描かれているJR九州の標準様式です。シンボルイラストは人吉梅園です。
尚、肥薩線には駅ナンバリングは設定されていません。
 
 

大畑駅は島式ホーム1面2線の地平構造で、東西方向にホームが延びています。
駅舎に近い左側(南)が1番のりばで下り吉松・隼人方面、右側(北)が2番のりばで上り人吉・八代方面です。2番のりばの北側には側線があり、終端部(後方)から分岐して右側に車止めがあり、本線から直接入線できません。
当駅はスイッチバック構造で、双方向とも奥から手前へ入線して、手前から奥へ発車して行きます。当駅で方向転換をします。
ホーム有効長は1番のりばが少なくとも8両分、2番のりばが少なくとも6両分あります。
上屋は設置されていません。1番のりばの中ほど(左前方)に構内踏切があり、左側の駅舎との間を結んでいます。
また、ホーム上の写真手前側には洗顔用の湧水盆が残されています。かつて人吉駅から連続した勾配を登ってきた蒸気機関車は、この駅で給水をする必要ありました(そのため、当駅に給水塔が設置されていました)。また機関士たちのみならず、トンネルの連続で乗客達も煤で顔や手が汚れるため、駅のホームにある湧水の洗顔場(湧水盆)で洗っていたそうです。(Wikipediaの本文を引用)
写真は2番のりばより八代方・隼人方を望む。
 
 

2番のりばより八代方・隼人方(西)を望む。
左手には給水塔と「囲炉裏キュイジーヌ LOOP(大畑駅レストランループ)」があります。右手には側線の車止めが見えます。
 
人吉・八代方はこの先、左へカーブして吉松・隼人方面の線路と分かれます。右手には吉松方面線路のスイッチバック部の配線が見えます。その後は横平トンネルをくぐってループ線の上段部の下を通り、トンネルを抜けると下り勾配とカーブの連続で西~北へと走ります。その後はしばし九州自動車道と並走し、その九州道が離れると球磨川を渡って人吉の市街地に入り、左へカーブするとくま川鉄道湯前線が寄り添いますが、両方の線路が接近する地点にはくま川鉄道の相良藩願成寺駅がありますが、肥薩線に駅はありません。その後はくま川鉄道線と一緒に西へ並走しますがくま川鉄道線が肥薩線に合流し、単線となって左へカーブしながら市街地を走ります。その後はくま川鉄道線が右へ分かれ、くま川鉄道の神城文化の森人吉温泉駅(人吉温泉駅)を右手に見るとすぐに人吉駅へと至ります。
 
一方、吉松・隼人方はこの先、直進して左へカーブする人吉・八代方への線路と分かれますが、すぐに右から隼人方からの線路が合流してスイッチバックの折り返し線に入ります。その後は方向転換して、大畑駅や八代方面への線路が右へ分かれるとこちらは上り勾配で大きく左へカーブします。途中にトンネルもあります。約270°カーブして南に進路を取りますが、すぐに右へカーブしてループ線の下層部(横平トンネル)の上を通ります。また、この地点には眼下に大畑駅を望める旨の案内看板があります。
 
 

こちらがその地点から眺める大畑駅です。小さいですが、配線が分かります。
その後は農村風景も見られる山間部をカーブしながら南へ走り、やがて深い山間部に入っていくつもの短いトンネルを抜けると山あいの田園風景の中を南下して肥薩線で最も標高の高い地点(536.9m)に位置する駅である矢岳駅へと至ります。
 
 

2番のりばより終端方(東)を望む。
右から1番のりば、2番のりば、側線の順です。
ホームの先で2番のりばと側線が合流し、2線になった線路は右へカーブします。その先は見えませんが、1番のりばの線路と2番のりばの線路が合流しているのかどうか分かりません。いずれにしても終端部には車止めが設置されているはずです。
 
 
あとがき
私が大畑駅で下車(乗車)したのは2003年、2011年の計2度です。2003年は肥薩線の乗りつぶし時に、そして2011年は肥薩線の車窓風景撮影時に、それぞれ当駅で数分間停車したため下車しました。山中にあるローカル線の駅そのもので、駅前には民家が見られませんでした。かつては秘境駅だったかもしれませんが、今は多くの観光客が押し寄せるため秘境駅のムードは薄らいでいます。
 
東京からですと東海道・山陽新幹線と九州新幹線を乗り継いで熊本駅または新八代駅まで行き、鹿児島本線と肥薩線の普通列車を乗り継いで人吉駅まで行きます(熊本~人吉には特急『かわせみやませみ』と特急『いさぶろう1号』も運行されています)。そして人吉駅で吉松行きの列車(『いさぶろう』も乗車可能)に乗り換えて当駅下車です。その日のうちに当駅に到達可能ですが、最終列車で訪問の場合は途中下車の時間がなく、下車してしまうと上下方向ともその日の列車がありませんので要注意です。日帰り訪問は無理です。
一方、大阪からですと新大阪駅から上記と同じルートで到達できます。タイトな日程になりますが(滞在時間3時間弱)、日帰り訪問は可能です。
(飛行機の利用は考慮していません)
 
食料・飲料について、駅前にコンビニ、商店はありません。駅前に飲食店「囲炉裏キュイジーヌ LOOP」がありますが、予算高目のフレンチ店で、予約が必要、水曜定休(休日は事前に要確認)とハードルが高いです。「囲炉裏キュイジーヌ LOOP」で食事をしない場合は食料のみならず飲料も必ず事前に用意して下さい!  

  
東京、大阪とも到達難易度が高いですが、肥薩線を乗り鉄・観光の際は、ぜひ一度は大畑駅でも途中下車されてみて下さい!
 
(参考:囲炉裏キュイジーヌ LOOPのHP、地理院地図、Google地図、Wikipedia)