【神戸市営地下鉄】在来4形式を6000形で代替!世代交代が進む西神・山手線

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2路線ある神戸市営地下鉄のうち、山側を走るのが西神・山手線(西神中央駅~新神戸駅)です。西神・山手線では2019年2月に新型・6000形がデビューしました。

これにより、開業時からの1000形はもちろん、比較的車齢の浅い3000形まで代替対象とされています。

今回は世代交代が進む西神・山手線を取り上げます。

神戸市営地下鉄西神・山手線に走る車両

全国的に見ると、あまり知名度が高くない神戸市営地下鉄西神・山手線。同線では1000形、2000形、3000形、6000形、そして北神急行電鉄から転属した7000系が走っています。2023年度に統一されることから、6000形以外の車両は廃車になる予定です。

1000形は神戸市営地下鉄が開業した1977年にデビューしました。開業当初は4両編成でしたが、最終的に6両編成×18本まで増備されています。

非冷房の地下鉄車両が多かった1970年代、1000形は冷房車としてデビューしました。当時、多くの地下鉄車両は抵抗制御を採用し、冷房機と共にトンネル内の気温上昇が懸案事項でした。1000形は発熱が少ない電機子チョッパ制御を採用し、冷房化に成功しました。1978年度に一連の技術が評価され、ローレル賞を受賞しています。

現在はVVVFインバータ制御に改造されましたが、外観や内装はデビュー当初からほとんど変わっていません。6000形の導入に伴い廃車が進み、現在は10編成を切っています。

2000形は北神急行電鉄との相互直通運転開始に合わせて1988年にデビューしました。走行機器などは1000形を踏襲していますが、前面デザインは大きく変更されました。1000形に続き2000形もVVVFインバータ制御に改造されています。2020年12月現在、廃車は行われていませんが、4編成しかありません。

関西の地下鉄車両では「ベテラン」とは言い難い3000形も廃車が進んでおり、あと2編成しかありません。3000形は1993年にデビューし、6編成が製造されました。3000形は1000形、2000形とは異なった内外装となり、車内LED表示機が設置されるなど快適性が増しています。神戸市営地下鉄では初めて製造当初からVVVFインバータ制御を兼ね備えています。

比較的近代的な印象がある3000形ですが、神戸市が発表した資料によると2021年7月までに残り2編成も廃車となり、形式消滅する予定です。3000形は1000形や2000形、7000系とは異なり制御機器の更新は行っていないため、廃車が早まっているのかもしれません。

ところで3126Fは神戸市電のデザインを復活した「市電デザイン列車」となっています。新神戸方5両は昭和期の神戸市電の塗装を再現。神戸市電のデザインを踏襲したということもあり、3000形までの塗装と似ていますが、少しだけ色合いが異なります。前面下には「乗降者優先」と書かれ、芸の細かさを感じさせます。西神中央方1両は大正期の塗装を再現したマルーン色となっています。なお3000形は2編成しかないため、デビュー当初のオリジナル塗装も1本しかありません。

現在は神戸市営地下鉄の車両ですが、北神急行電鉄の市営化に伴い2020年に同社から転属したのが1988年にデビューした7000系です。制御機器は更新されましたが、車内の内外装は基本的に変わっていません。内装は北神急行電鉄の親会社である阪急電鉄に酷似しています。

なぜ6000形に統一されるのか

一路線に5形式が走っている西神・山手線ですが、なぜ2023年に6000形に統一されるのでしょうか。

6000形統一の背景には西神・山手線全駅のホームドア設置が挙げられます。神戸市営地下鉄では2023年度までに全駅にホームドアを設置する予定です。

しかし西神・山手線では乗降客数が最も多い三宮駅では既にホームドアが設置されており、最古参の1000形の扉とホームドアの扉の間にはズレは生じていません。

実は6000形にはホームドアと連動する装置が取り付けられているため、車両ドアとホームドアの開閉がスムーズに行われます。つまり全車両を6000形に統一するとダイヤ調整やムダな時間を生じることなく全駅にホームドアを設置することが可能になります。

在来車は手動操作が続けられていましたが、2020年3月14日から西神・山手線の三宮駅で新型QRコードを用いたホームドア開閉制御システムが採用されました。車両ドアとホームドアを同時連動させるための初期投資が少ないため、京急電鉄など複数社で採用実績がある方式です。

しかしながら、神戸市営地下鉄はあくまで在来車の“繋ぎ”としての採用の様子です。他社に比べて簡易的な導入となっており、6000形や他社では一般的な定位置停止検知などが省略されています。

このため、車両側のドア開扉からかなり遅れてホームドアが開くなど、機能は最小限に留まっています。

「快速」は復活するのか?

2018年9月に産経新聞が「神戸市営地下鉄が「快速電車」の復活を検討」という内容の記事を出しました。読者の中には「6000形の統一に伴い快速が復活するのでは……」と思うかもしれません。

西神・山手線では1990年代前半に「快速」を運行したことがありますが、待機駅が少ないため大幅な時間短縮にはいたりませんでした。また「快速」通過駅では停車本数の間隔がバラバラになり、全体的に見ればサービスダウンにつながりました。

このような状況を考えますと「快速」の復活はゼロと考えていいでしょう。実際、神戸市営地下鉄から「快速」復活に関する具体的なアクションはほとんど見られません。

2023年以降は6000形に統一されるものの、社会情勢の変化による終電の繰り上げを除けば、基本的なダイヤ構成は踏襲されるのではないでしょうか。

一方、3000形は2021年7月までに形式消滅するので、撮影は早めに済ませることをおすすめします。

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