皆様こんばんは。ブログおよびホームページ管理人の神@北見です。
キハ58系形態についての投稿が続きます。今回もあまり注目されない床下についてが3連発する予定です。まずは1位側床下にある機器箱です。
↑以前から度々登場するこの箱です。
このハコ、キハ58系の全車に付いているかと思いきや…
↑長大編成対応番代のキハ58 438 ちょっと見づらいですが付いています。
↑同じく長大編成対応番代のキハ58 443ですが、付いていません。2位側から撮った写真ですが、向こう側のレールが見えますので1位側の床下に何も付いていないのが分かります。
↑同キハ58 446です。これは2位側の写真です。機器箱はありません。
↑キハ58系の床下機器配置図面です。これを見ると「発電動機」というものが付いているのが分かります。
キハ58系は新製時より客室内に蛍光灯を使用していますが、蛍光灯を使用するためには交流が必要になります。一方で気動車の制御回路は直流24Vでそのままでは蛍光灯に使えません。
そのため、直流24Vの電動機で交流発電機を回し、蛍光灯用の交流電源としていました。この蛍光灯用の交流を作る発電機と接触器が納められた箱がこの「発電動機箱」になります。
しかし、このハコはキハ58を見ると先に挙げた写真のように付いているのは昭和37年度第2次債務まで(私の分類で5次車まで、キハ58 440まで)になっており、昭和38年度の予算区分車(6次車以降 441~)は付いていません。これはキハ58の場合昭和38年度本予算(キハ58 441~)、蛍光灯がトランジスタ化されていることが関係しており、これにより発電動機が不要となりこの機器箱が無くなりました。
なお細かいですが、このハコの形状を良く見ると、
↑箱カバーには上下2か所ずつの止め金具が付いています。斜めで見にくいですが、カバーには「〇発」と書いてあるように見えます。
ちょっと箱の下が切れていますが、もっと大きい写真はこんな感じです。上下2か所の止め金具です。ちなみに箱には「〇サ」と書いてあります。
あと、箱の下部4か所には足のようなものが付いています。
↑ズバリの写真が無くてシルエット写真のようになっていてすみません。箱の下部には足のようなものが4つ付いています。上はキハ58 229、下はキハ58 239です。
このハコですが、キハ58系が登場した初期の頃の写真を見ると完全に真四角の箱で蓋に留め具は無く、また下部に足のようなものもありません。また前位側の面にはルーバーのようなものがついています。
これは、この発電動機、実は保守に手間が掛かっていたらしく、昭和47年より四国から静止型のサイリスタインバーターに置き換えられています。そのためこの際に箱の形状も変わったものだと思われます。上写真の「〇サ」と蓋に書いてあったものは「サイリスタインバーター」の頭文字をとって「サ」と書いてあったものと思われます。ただしその上の写真の車は箱は新しくなっているのに「〇発」と蓋に書いてあり、中身が発電動機なのかサイリスタインバーターなのか良く分かりません。この機器箱自体が「発電動機箱」と称されていたので、中身がサイリスタインバーターに置き換わった後も「〇発」と書いていたのか!? 今となっては謎となっています。
ちなみにこの発電動機箱、国鉄車は昭和47年より順次サイリスタインバーターに置き換えられ箱の形状も変わりましたが、「有田鉄道」にいたキハ58003は晩年まで古い発電動機箱を付けていました。それを思い出し今ネットで写真を検索すると、現在はJR車が付けていた「サイリスタインバーター箱」と同じ箱になっていますね!? 私はてっきり今でも古い箱を付けているものとばかり思っていました。いつの間に交換されたのでしょう!?
なお、キハ58では昭和38年度本予算(441以降)からこのハコが無くなっていますが、キハ56についてはそれより前の昭和37年度本予算以降(キハ56 42~)で蛍光灯がトランジスタ式に変更されてこのハコが無くなっています。
↑キハ56 47を改造したキハ53 505です。1位側からの写真なので見づらいですが、2位側床下に機器箱はありません。
ということで整理しますと、
キハ56:42から発電動機箱なし
キハ57:全車発電動機箱あり
キハ58:441から発電動機箱なし
となります。概して初期車には付いていて中期車以降は付いていないという感じですね。ちょうど長大編成対応の設計変更と一致しないのがまた微妙なところです…。どうしてこうも小出しでちょくちょく変えるかなぁ…。
ではここでNゲージ鉄道模型を見てみます。既出の内容ですがおさらいしたいと思います。
↑Tomixさんのキハ58です。写真は昨年発売された急行「のりくら」セットのキハ58 796です。思いっきりこの発電動機箱の表現があります。形状としては上下2か所ずつの留め具も再現されており良いのですが、796にこのハコは付いていないので除去した方が良いですね。
↑箱を除去し、隣にある乗務員ドアステップを黒く塗りました。これだけで後期車らしくなり引き締まります。
KATOさんのキハ58は…
↑KATO製のキハ58には全仕様ともこの機器箱の表現がありません。なお、写真の車は「スターターセット」に入っているキハ58 0番台(模型では303)ですので、実際は発電動機箱が付いている筈です。あと、昨日の投稿でもご紹介しましたがKATO製キハ58系はステップ類の表現が若干オーバースケールで、しかも床板と同じ灰色成形色なので目立ちます。
↑写真はKATO製キハ58 0番台を新潟の0番台に改造した例です。TN化した際に乗務員ドアステップは床板ごと切除しており、この際は銀河モデルのドアステップを黒く塗装し取り付け、さらにTomix製品から切除した発電動機箱を接着しています。
Tomixさんの製品は初期車後期車構わずこの発電動機箱が付いていますので、不要な車両(キハ58 441以降、キハ28の0番台車の一部及び2300番代)からは切除します。しかし撤去したパーツは捨てずに保管しておき、KATO製のキハ58 0番代に取り付けるようにして無駄を省いています。
なお、この発電動機箱取り付けに関しては一部追加車両がいます。それは主にジョイフルトレインで使用される車です。これまでに判明しているのは、
くつろぎ:キハ27 122~124(キロ29 1~3)
秋田お座敷車:キハ58 622(キロ59 501)、キハ58 759(キロ59 502)、キハ28 2389(キロ29 501)
エレガンスアッキー:キハ58 1517(キロ59 503)、キハ58 1532(キロ59 504)、キハ28 2408(キロ29 502)
四国団臨車:キハ58 577、キハ58 769、キハ28 2475
これらはカラオケ装置などの交流サービス電源の負荷が多くなったため、サイリスタインバーターが追加で設置されたものと思われます。主に1985年までに改造された車ばかりです。以降の改造車はこのハコが増設されていません。給電方式が変更されたか、床上装備になったのかは良く分かりません。
また、鳥取のキハ58 1044・1047(後年撤去)・1048にも似たような箱が付いていましたが、これらの車の箱の詳細は良く分かりません。ご存知の方がいらっしゃいましたらご教示いただけますと幸いです。
↑姫路停車中の急行「但馬」で先頭は鳥取車のキハ58 1047です。1位側床下をよーく凝らしてみると何か付いています。1996年の撮影です。
↑しかし2000年にキハ58 1047を撮影した際は何も付いていません。撤去されたのでしょうか。
↑同じく2000年撮影のキハ58 1048です。1位側床下に何か付いています。側面から見るとキハ58初期車の発電動機箱に似ていますが、箱には奥行きがあまりありませんので別物が入っていると思われ、詳細は不明です。
いかがでしょうか。このハコは意外と奥が深いですね。しかし今回は2エンジン車のご紹介でしたがこれが1エンジン車の特にキハ28になるとほぼ迷宮入り状態になっており訳が分からないです。次回は1エンジン車の発電動機箱のご紹介をしたいと思います。
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。それでは次回もお楽しみに!!
是非私のホームページ
http://kami-kitami.sakura.ne.jp/index.html
にもキハ58系各車の解説がありますのでご覧になってください。